プロローグ
──星導師、という。
体のどこかに星を持ち、何がしかの異能を持つ者たちのことを。
彼らは遠い昔に神々たちと契約を交わし、その役目と力を授けられた。
すなわち、この世のありとあらゆるものに宿るとされる八百万の神、彼らを守るという役割と、そのために必要な異能力を。
世には様々な闇が潜む。
そしてそれらの殆どは、人の心から生じたものだ。
憎しみに悲しみ、狂気、嫉妬、差別意識。
人の弱い心がそういった感情に乱れた時、本来ならば相容れない存在である「悪」や「魔」が取り憑いて、真の「闇」として成長してしまうのだ。
神々は闇を厭う。
光が喰われてしまうからだ。
ゆえに、星導師たちをこの世に送り、闇を祓って光を取り戻すようにと命じられた。
彼らは決して歴史の表に顕れる存在ではない。
ひそやかに、だが着実に、その「星」の力と役割を後世へと伝えてきた。
どんな名声も得られなくとも、彼らがこれまでに救ってきた命は数かぞえきれない。
その存在は、光の無い闇夜でも人々を照らし、導く、まさしく星そのものだ。
そしていつからか、彼らを知る者は、その在り様をこう呼ぶようになった。
星を持って闇を祓い、世に光を導く者たち、つまり──
──星の導師、と。