表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/59

第8話 力と思い


いつも読んでいただきありがとうございます。


それは一方的だった。


一振りで数千の兵が吹き飛び、数艦沈む。


兵が……戦艦が弱い訳ではない。


「キーワード……『滅びの矢』」


空中に万の矢が浮かぶ…


その矢一本一本に『破』の魔法が掛けられている。


振り下ろす、それだけでまた兵と戦艦が落ち、倒れていく。


「何だよこれは!?」


「数千万の兵と数千の戦艦だぞ!!」


先程の笑みは消え去り、騒ぎ出す。


「これは……予想できなかったわぁ」


そう言う女性の顔も引き攣っている。


既に数は最初に比べかなり減り、六割ほど減っている。


「これで、最後です」


明きの真上に魔法陣が現れる。


………それも先程兵達が出て来た物より遥かにでかい。


「『神々之晩餐』」


何かが出て来る。


あれは…


「なんだ………これは?」


けして見ては、存在しては………いけないもの。


それは人の様だが、人には見えない。


体中から神々しさ、禍々しさが吹き出ている………


『邪神』『堕天使』『聖魔神』『魔天使』


それも存在さえ消されたとされる者。


堕ちる。


一振りで地形が変わり、二振りで世界が悲鳴を上げる。


「無理だろ?」


ポツリと漏れたその言葉に皆が狂いだす。


狂う者が出始めた。


ある者は生きたいが為に立ち向かう。


ある者は必死になって逃げようとする。


また、ある者は泣き叫びながら許しを請う。


そして、ある者は……


「この子がぁ、如何なってもいいのかいぃ?」


人質を取り、有利な位置に立とうとした。


だが、狂った者は巻き込まれ。


生きたいが為に立ち向かった者は無残に殺され。


必死になって逃げようとした物は仲間に殺され。


許しを請いた者は消し飛び。


人質を取り、有利な位置に立とうとした者は……


「……………」


「ひぃ………如何なっても…ぁ、あ、あ、アアアアアアアアアアアアアアァァァァッ!!」


慈悲の無き、無を受けた。














雨が止んだ。


だが周りでは水の流れる音がする。


血だ。


数千万の兵の血。


それは先程まで降っていた雨と混ざり、流れ……溜まっている。


…………。


誰も、言葉を発しない。


状況についていけてないのだ。


ほんの数分で敵は全滅。


目で理解できても脳ではまだだ。


しばらくし、皆が理解し終えた所で明が思いがけない事を言う。


「光、千代さんを生き返らせることが出来ますが………どうしますか?」


「いき…返る?」


「そうです。まだ彼女は完璧には死んでいません……私が引き留めている状態です」


そんな馬鹿な?


つまり明は死んだ者の魂を扱えるとゆうことなのか?


「しかし、一度は死んで輪廻に組み込まれるはずの魂です」


「ど、如何すればいいんだ!?」


光輝があたふたとし始める。


「彼女を……引き寄せる強い思い、それが必要です」


「思い」


光輝の顔が真剣を帯びていく。


覚悟を決めたようだ。


「俺は、やる」


「わかりました。いいですか? 機会は一度のみ、もし思いの力が弱く失敗すれば……終わりです」


こくりと頷いた光輝を見て、明が唱える。


「兼ねてより決められし規約を破棄し、ここに目覚めし者


 その者の願いは彼の者により叶えられ、ここに叶わん」


千代の体が光りだす。


「ケケケ……誰だ?」


突如空間が裂け、何かが出て来る。


全身をボロボロの黒い服で包んだ…死神。


「……………」


明がそんな死神に近づき、二言しゃべる。


それだけで死神は去った。


「明、今何を?」


戻ってきた明はどこか顔色が悪い。


息も荒くなってきている。


恵美が心配し治療をし始め、幾分良くなってきているが……


「私の事より、千代さんを」


「!? そうだな、戻って来てくれ……千代!!」


千代の手を掴み、祈る。


幼い頃からずっと隣にいた千代。


居なくなり、千代の存在が自分にとってどれ程の物だったのか。


夢見まで見た再開……


そして最後に伝えられた……伝えたい思い。


「戻って来てくれーーー!!!」


様々な気持ちを込めて、叫んだ……







いつも呼んでいただいている方々に、感謝します。


次回 第9話 届く思いと代償


次回も読んでいただけると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ