第4話 真実と過去3
今回で真実と過去は終わりです。
翌日、皆は明の部屋に集まっていた。
「さて、答えを聞きましょう」
「俺は、千代に会いたい」
一晩考えて決めた事。
「…わかりました。なら話しましょう、あの日…いえ、あの時何があったのか」
八年前
その日、明はちょっとしたミスをしてしまう。
「あ」
「千代さんですか?」
まだ完璧に力を制御していなかった明は、異世界から転移して来た所を千代に見られたのだ。
「…聞かせなさい」
「わかりました」
見られたからには説明するしかないと判断した明は自分の力などのついて教えた。
今考えると信じられない行動だが…
「ふ~ん…私も行かせて」
千代のこの言葉から始まった。
明はしょうがなく、無人の世界などに彼女を連れて行ったりした。
妖精なのが存在する世界。
神獣や、神が存在する世界。
など、どれも比較的安全で…地球ではお伽の世界と言われてる世界に。
しばらくそんな事をしていると、千代に異変が起きた。
最初は軽い体調不良…
明も慣れない世界に来た為に体調不良なったと判断し、しばらく異世界に連れて行くのは中断した。
その時から明は他の世界では『英雄』と呼ばれ、忙しかった為あまり彼女の容態を見れなかった。
しばらくそんな状態が続いていたある日。
地球で密かに化物達からの被害から守るために派遣されていた者達が消息を絶つという事件が起き始めていた。
初めの内は新種等によってその様な事が起こっているのだろうと、上は判断していたのだが、ある日死ぬ間際に派遣されていた者が送った映像にとある物が映った。
体中から魔力を噴出し、もだえ苦しむ少女…噴出される魔力だけで空間が歪み、裂けている。
少女の形が魔力により変わり始めた所で映像は切れた。
この映像を元に、上は少女の保護、及び抹殺する必要があると判断した。
上は当初最も強いといわれた者を根こそぎ送り込み、少女に向かわせた。
しかし、結果は全員死亡及び行方不明となった。
これが決めてとなり、上は英雄である明に頼み込んだ。
明は、数人ほど部下を連れ地球に向かった。
まずは現場検証から始まった。
犯人と思われる少女は魔力が体中から噴出していた…少なからず魔力が残っている筈である。
しかし、
「魔力反応なし…ですか」
反応なし…これがさらに疑問を呼ぶ。
「幾ら地球とはいえ、必ず魔力はあるはずです」
それが無いとなると…
しばらくの間、現場検証をしていると…襲われた。
襲って来たのは一人の少女。
「……貴方でしたか」
明は急いで部下に指示を出し、時間稼ぎと理由を解明する。
「うん、もうね…止まらないの」
体中から魔力を噴出し、すでに少女は原形を留めていない。
明でも少女の正体に気づく事はまず無いだろう。
それだけ少女の姿は変わっている。
「千代さん…いつから?」
知合い出なければ…
「体調不良で家で休んでいると…襲われたの」
襲われた……その言葉を聴いただけで明は判断した。
「そうですか、…わかりました」
「さすがはアンタね…ッ! もうだめ!」
瞬間、千代の意識は無くなり…暴走しだす。
「隊長! 準備できました!!」
部下の準備が出来たようだ。
「!!??」
襲いかかってくる千代の攻撃を軽くいなしながら誘い込む。
「千代さん、後は任せてください」
仕掛けに誘い込み瞬時に唱える。
「彼の者を王の都へと グリイニス」
金色の糸が千代を包み締め上げる。
「!?」
暴れるがもう遅い。
糸は魔力を空になるまで吸い出す。
しばらくし、魔力をすべて吸収した糸を消そうとした時…
ぶち…ぶちぶちぶち。
糸が切れだす。
「どうやら…」
糸に吸収された筈の魔力が逆に吸収されていく。
「失敗…みたいですね」
「!!!!??」
「仕方がありません。『眠れ』」
その言葉で千代の暴走は止まり、倒れる。
「あとは、任せて下さい」
倒れこんだ千代を背負い、その場を後にした。
その後、起きた彼女にこれからどうするか……どうするのかを伝えた。
「いいですか? 貴方はもうこの場所では住んでいけません」
「分かってるわよ…それくらい、また何時暴走するかわかんないんでしょ?」
「はい、場所は用意しました……もちろん千代さんの両親にもすべてを話し、了解も得ました」
明は千代が倒れている内に自分の正体を、そして事の全てを千代の両親に話し、謝罪した。
「あと一日だけ、時間を用意しました」
「わかった………ありがとう」
そして二日後、千代はこの場を去った。
………………。
「全ては、私の責任です。私が気を抜かずやっていれば、この様な事態にはならなかったでしょう」
「なんで……今まで黙ってた!」
光輝が明の胸倉を掴む。
「話した所でどうなるんですか? 貴方はその時何も知らず、何も出来ない」
「だけど相談は出来たはずだ!?」
そのまま殴ろうとすると声がかけられる。
「お主は何にも分かっておらん様じゃのぅ」
「訊さん!?」
声をかけたのは訊さんだ。
「どういう事ですか?」
訊さんを光輝が睨む。
「簡単じゃ、その子は秘密を知ったが故に…そうなった。つまり、明は…その子はお前を巻き込みたくなかったんじゃよ」
「巻き込みたくなかった?」
「その通りです。私はこれ以上巻き込みたくなかった…千代さんもそう言いました」
『二人を、光を巻き込みたくない……だから』
「黙っていました」
「千代が?」
光輝が明から手を放し、明に聞く。
「そうです、ですが…」
二人は今ここに居る。
「俺達は今ここに居る……明、千代に会わせてくれ」
頼む、と光輝が頭を下げる。
「大丈夫です、ちゃんと会わせます」
「ほ、本当か!?」
「はい。ですが、会う前に言っておく事があります」
明が目の前に画像を出し、皆に見せる。
画像に書かれた文章を読み、皆が驚く。
「千代さんは、自分の意志でしていないとはいえ、人を殺しています」
「な、何とか出来ないのか!?」
書かれていたのは千代の裁判について…
「死刑がほぼ確定なんて」
恵美も信じられない様だ。
「大丈夫です。安心してください」
「そ、そうか…」
「よかった~」
明の言葉に安堵の空気が流れる。
「裁判は…急ですが、明日結果がでます。なので明日朝、行く事になります」
「今日は駄目なのか?」
光輝は今すぐ会いたいが…
「すいません、すこし準備ありますので…」
「わかった」
裁判の事でだろうと皆思い、それ以上何も言わなかった。
その後、皆も明日の準備のために部屋に戻っていった。
…明達…
「それで、皆に言わんのか?」
皆の気配が無くなり、訊が明に尋ねる。
「仕方ありません、こうでもしないと…」
その時、部屋に突如魔法陣が現れ、人が出てくる。
「お待ちしておりました…元帥」
「ふぉふぉふぉ、本当にやるのかの?」
元帥と呼ばれたのは髪がオールバックで白髪、黒いサングラスを掛けた老人だ。
「ええ、これで少なくとも良い世界になるでしょう?」
「そうじゃな、すまんの~巻き込んで…」
「良いんじゃよ…どうせ明は他の理由もあるんじゃし」
「……あの事か?」
元帥が苦虫を潰したような顔になる。
「はい、償いはしてもらいます」
「皆に嫌われるかもじれんぞ」
訊が茶化すように言う。
「それでも、私はやりますよ」
明の顔は何時にも増して真剣で、無表情だった。
「それにこれも、後で必要になります」
「明、お主……本当にするんじゃな?」
「それはこれについてですか? それとも…」
「両方じゃよ」
空気が変わる。
「全く、末恐ろしい奴よの…お主は」
「何が何でも成功させたいんですよ」
そう言い、明はいつもの顔に戻る。
「では、明日のためにキチンと計画を立てるかの」
「そうじゃな」
「はい」
その日明は一度も外に出る事も無く、朝方まで明の部屋は明るかった。
次回は第5話 再開と計画
呼んでいただいてる人に感謝します(^v^)v