第3話 真実と過去2
今回は、少し長い。
部屋に戻った光輝は昔を思い出していた。
ずっと続くと思っていた…
楽しくて、懐かしい日々。
8年前…当時9歳
ぴぴぴぴぴぴ……
その日は特に何も無く…
「zzZ」
一人の少年が部屋で寝ていた。
トントントン……がちゃ。
少年と同じ位の女の子が入ってきた。
髪は紺色、目はエメラルドで軽いポニー。
「はぁ、光輝朝よー」
鳴り響いていた目覚まし時計を止め、少年を起こす。
「…zzZ」
揺すったり、布団を取ったりしたが起きない。
仕方なく耳元で…
「……起きろー!!」
「ぐぁああああ!?」
耳を押さえながら少年が起き、周りをきょろきょろと確認して…
「あー、おはよう…千代」
とりあえず、起こしてくれた女の子に挨拶をする。
「あー、じゃないわよ」
「いや、せめて挨拶くらい…」
バタン…トントントン。
何も聞かず降りていく…
「今日何かあったっけ?」
誰も返事してくれる事も無く着替えて外に出た。
外ではすでに二人友達が来ていた。
「おはようございます」
「おはよう」
「…何で居んの? 明、恵美」
なぜかリュックサックまで持って、いかにも行きますよ! て感じで…
「千代さんに必要だと…そう言われたので」
「うん」
「…何にも聞いてねえし、準備できてないんだけど?」
「あたり前よ、言ってないんだから」
先に下りたはずの千代が後ろから歩いてくる。
「いや、せめてなんか言おうよ? 朝飯食ってねぇし、昼mぐぼぁああ!?」
「これでいいでしょ?」
投げられたのは水筒とおにぎりの塊。
「は…腹が」
突然の事に反応できなかった光輝は朝から瀕死だ。
「では、行きますか」
こうして、その日は外に出かけた。
30分後
4人は公園に来ていた。
季節は夏、そんな時に日陰の少ない公園に来たので当然…
「あちー」
「うん」
「これはさすがに…」
上から光輝、恵美、千代…幼い三人はすでに暑くて辛そうだが…
「う~ん…良い天気ですし、温かいですね」
一人汗も掻かずに笑顔の明がいた。
「はぁ、ありえねーだろ?」
「「うん」」
暑いと言う事なので…
「えー、砂遊び&水浴びをしたいと思います」
てな訳で、濡れても良い服に一旦皆着替え…
「只今より、砂で各自一つ城を作り一番うまかった人が優勝するゲームをしたいと思います」
「「「わー」」」
砂場は四角形なので、必然的に角に移り準備をしだす。
「では、制限時間は一時間…開始!」
その言葉を合図に作業が開始された。
一時間後
途中で千代の…
「ビニールシートで城を隠して順番に見せましょう」
と言う意見により、光輝がビニールシートを持ってきた。
「制限時間になりました…最初は俺だな」
ビニールシートを退かし、出てきた物は…
「…何ですか? これ」
「………えと」
「ただの山じゃない」
出てきたのはバケツの形をした山。
「うるせー! どっかの誰かがビニールシート取り行かせたからだろうが!?」
片道歩いて30分、走ってビニールシートを探し戻ってきた為10分位しか時間が無かった。
「いい訳ね」
「ならお前のも見せてみろよ!」
いいわよ、と千代がシートをめくると…
「これは…」
「こわい」
「魔王城か!?」
出てきたのは禍々しいオーラを漂わせた城。
濡れた砂の色もあってかドクロが妙にリアルだ。
「さすがは千代て、とこか?」
「へー、アンタ私の事そう思ってたんだ」
千代の目から光が消える…
「さ、さぁて…今度は恵美のを見てみようかな?」
急いで話題を変える。
「私のは…お城だよ」
いや、城だしお題。とは誰も言わなかった。
「へえ、案外普通だな」
「そうですね、良いお城だと思いますよ」
お伽話に出てきそうな城だ。
「左右対象ね」
「次は明だな」
正直明の作る城に皆は興味があった。
「私は…これです」
シートをめくると…
「「「……………」」」
なんだこれは?
「あの、変でしたでしょうか?」
「「「いや全然」」」
現れたのは砂の芸術…城は土台がコマの様な形になっており、その上に作られている。
ここの砂はあまり良い砂ではないので固まり難く、扱いづらい…なのに。
「何で城の周りを何の支えもなしにらせん階段が建ってんだよ」
そう、しろはやや普通なのだがいかせん周りがすごい。
「…町とかもあるわよ」
城の周りのは町、村、協会など…
「うわ~…兵隊さんや神父さんたちもいるよ」
「剣まで…お祈りしてるし」
「一時間でこれはないわ」
皆あきれている。
「そうですか?」
「「「そうだよ」」」
ハモった。
「さて、お次は…一番最後まで城が残るのか選手権!」
「「「わ~」」」
真ん中に穴を掘り、水を溜めていく。
しばらくすると…
「なに! 俺様の城が……」
「私のも~」
光輝と恵美が脱落。
「くっ! 私の魔王城も堕ちたわ…」
「「「(なんか字が違う気がする(します))」」」
続いて千代の城も落ちた。
「町が危ないですね」
とのんきな事を言っている明の城を見ると…
国の国境で警備をしていた兵隊達が水で溶けてはいるが…溶けた兵士におかげでまだ平気だ。
「…それほんとに砂か?」
しかし、そこはどうでもいい…問題は。
「花が咲いてる」
「おかしいでしょ!」
「そうですか? 皆さんでも出来ますよ??」
城の土台である部分に、砂の花がたくさん咲いている。
「水が染み込んで来ないように下の町には井戸設備も付いていますし」
町の井戸を見てみると確かに水が入ってきている。
「もちろんこれだけではありません」
「まだなんかあんのかよ?」
「はい、この城には題名がありまして…『終わりと始まりの都』と言います」
題名が付いていた事にも驚きだったが…次の瞬間息を呑んだ。
夏の日差しにより城は水不足に…城は徐々に崩壊して、町に降り注ぐ。
町に作られた人間達は飲み込まれていき、町が後形も無くなる…
水が一気に入り込みすべてが流れる…そして、
「綺麗」
井戸にたまっていた水が、濁りを少なくして湧き出てくる。
その周りには、流されずに残った村。
流されず潰されずに生き残った人々が立っている。
「…これ砂じゃないだろ?」
「「うん」」
改めて明の不思議要素が増えた。
その後も、昼に一旦昼食を取りながら鬼ごっこやかくれんぼをして遊んだ。
「あ、もう五時だよ」
「そうですね…帰りましょう」
「そうだな」
幾ら夏とはいえ、まだ子供だ…門限の事もあり帰る準備をしだす。
「…………」
「ん…どうした? 千代」
何もせずじっと立っている千代に疑問を抱き、尋ねる。
「ううん、何でもない……それより、今日はごめんね」
「なんだ? 突然」
「だって、いきなり遊ぶ事にしたし…」
「気にすんな…俺とお前の仲だろ? 別になんとも思ってねぇよ」
その言葉を聴き、千代が振り返る。
あいにく、逆光でその表情はわからないが…
「…ありがとう、やっぱりアンタ…ううん、何でもない」
さ、行こ! と光輝は千代に引っ張られていった。
光輝は何だ? と思ったが、何か聞けなくて…その日は家に帰るなり、昼間の疲れもあってか…すぐに寝た。
翌日、千代は居なくなった。
光輝は必死になって探したが見つからず、半年が過ぎ…一旦あきらめた。
その時だ、光輝が力を求めだしたのは。
明の紹介で訊さんを紹介してもらい、そこで修行をした。
「今思い出せば……あれは逃げていたんだろうな」
椅子に座り、呟く。
千代の様子に気づけなかった自分に…大事な物を、守れなかった自分から……
だから、だからこそ今回は。
「何が何でも…たとえ嫌われても」
千代に謝りたい。
気づけなくてごめんと、気づいてやれなくてごめんと。
もうあの時みたいな後悔はしたくない。
だからこそ、今回は……
「引けないんだ」
ほかに誰も居ない部屋でこぶしを握り締めながら。
決意を込めた呟きは、誰に聞かれる事も無く…消えていった。
次回第4話 真実と過去3
呼んでいただいてる人に感謝します(^v^)v
感想またアドバイス待ってます。