1/59
零話
優しく読んでやってください。
派手な飾りもなくかといって質素さも感じさせない部屋に数人。
揺ら揺らと揺らめく幾つかの蝋燭火を中心に部屋が灯される。
一人、口を開いた。
「では聞きます。あなた方二人はこれまでの常識、また今までの日常を捨てる事となりますそれでも、誓いますか」
惑いを決して受け付けない、欺く事は許されない言葉。
しかしそれも無意味な言葉。
投げられた言葉を前に一切逃げ臆すことはない。
「「誓います」」
二人の男女は迷うことなく、また後悔した様子も無く答えた。
その選択は正しいのだろう。間違っていたのだろう。
・・・・静かな沈黙を破る。
「そうですか。ではこれからについて、また全てについて話しましょう。」
始めの一人がどちらとも取れない口調でそう口にした。
その中で世界は、ここに来るまでの流れを作り出していた。
始めの一人は気付いているのだろう。
世界が如何謂ったものであるのかを、自分が何なのかを、二人の先を・・・。
だがそれに意味は成さない。
一人もまた、無力なのだから。
少し訂正いたしました。