ホットケーキパニック
甘い匂いに支配された大都会!
逃げ惑う人々に迫る、とある研究所から脱走した、生物兵器として作り出されたホットケーキ人間たちっ!!
奴らが放つシロップをかけられると、自分もホットケーキ人間にされてしまう。
主人公は、仲間たちと共に、この状況を打破することができるのか?
今、新たな恐怖が幕を開け――。
「だあああぁ!駄目だ駄目だ!!」
原稿用紙をぐしゃりと丸め、俺は大きなため息を吐く。
とあるサイトのホラー小説に応募しようとしているのだが、こんなのはホラーでも何でもない!パニックものとしてもB級以下だ。
家の近くにある、いまいち何をやっているのかよく分からない研究所から着想を得たのだが、得たつもりになっていただけのようだ。
「ただいま~」
鼻先に甘い香りを感じたとき、彼女が帰ってきた。
「最悪!季節外れの蚊に刺された!!」
「ご愁傷様。……なんか、蚊にしては腫れ過ぎな気もするけど」
腕を捲り、刺された箇所を見せる彼女に、俺は「あの手の虫って病気を媒介する場合もあるから、病院に行った方がいいんじゃないか?」と言った。
「それより聞いて聞いて、さっき研究所の近くを通ったら、なんか研究員っぽい人たちが慌てた様子でなんかしてたの!」
「なんかじゃちょっと……」
「ごめんごめん。んーっと、なんちゃらが逃げたとかどうとか?」
疑問形で話され、俺は苦笑いを浮かべる。
だが、厄介な何かが逃げた、というのなら大問題だ。
「そんな心配しなくても大丈夫っしょ!あの人たちだって、何かしらの対策は考えているだろうし、事が大きくなれば、すぐにニュースで流れるよ」
「確かにな。俺たちには関係ないことだし……」
だんだん考えるのが面倒になってきて、俺は欠伸を漏らす。
彼女はテーブルの上に買い物袋を置き、ビールを取り出す。
俺は、買い物袋を覗き込み、「あれ?」と首を傾げた。
「甘い匂いがしたと思ったんだけど……」
「ビールとおつまみだけ。甘く無いヤツ!!」
「……気のせいか」
「ちょっと、映画見ながら飲むんでしょ?」
ふたりしてソファーに腰かけ、ビールを飲む。
また、ふわりと甘い香りがした。




