#9 夜戦
「こりゃあ一度、天日にさらしてから油を塗りなおした方がいいな」
「はい……すいません」
「かまわねえよ、それをやるのが、俺たち整備科の仕事だからな」
人型重機の関節部から、異音がするようになった。原因は、あの時、海中に飛び込んだことだ。その結果として腕や足の関節内に、乾いた海水によってできた塩がたまっている。
それらを一度、真水で洗い流してから天日にさらし、油を差しなおさないと故障の原因になりかねない、そう整備科長は判断した。
「やむを得んだろう。あれだけ無茶をすれば、当然のことだ」
「面目ないです……」
例の冒険活劇を見せられた後だと、この人型重機というやつは単に武骨で格好の悪い機械にしか見えない。が、その武器だけは驚異的だ。こんなことで壊れてもらっては困る。
と、いうことで、この一日の間は人型重機に頼ることができなくなってしまった。
その間は、五隻の駆逐艦と七隻の海防艦だけで対処するしかない。敵が現れないことを、願うばかりだ。
が、その日の夜のことだ。間の悪いこういう時に、敵が現れる。
「レーダーに感! 距離およそ四十キロ、艦影八!」
手足は動かないものの、電探だけは使える人型重機が、その日の夜半に敵を捉えた。数は大したことはない。艦影の大きさからして、駆逐艦隊であることもわかる。
とはいえ、こちらは三十隻以上の輸送船にほぼ戦闘では使い物にならない海防艦、および戦闘艦がたったの五隻だ。
「進路は、分かるか?」
「時速二十キロでこちら向きの進路をとり、接近しつつあります。このままだと、あと二時間後にはあちらのレーダー圏内に入る模様」
それを聞いた僕は、艦橋に立つ艦長に報告する。
「敵は十二ノットで接近しつつあり、距離四十キロほど。電探の索敵範囲はおよそ二十キロほどのため、我々をまだ捉えられてはいないでしょうが、このままの進路では進めば二時間ほどで敵に発見されてしまいます」
「つまり、時間の問題だな。かといって、進路を変えるわけにはいかない。物資を心待ちにしている我が皇国陸海軍のため、一日も早く届けねばならない」
「では、どのようにいたしますか?」
「戦闘艦五隻で、敵の駆逐艦隊へ向かう。海防艦は護衛に残し、五隻で敵撃滅に向かうことする」
「はっ!」
敵はおそらく、我が皇国へ向けて船団が移動しているとの情報を察知したはずだ。だからこそ、この進路上の海域に現れた。
ところで、僕は今、人型重機の後席に乗っている。場所は、艦橋のすぐそば。手足の動かせない人型重機をとりあえず艦橋のそばに立たせて、その電探を使って索敵を行わせていた。ここならば、電探で捉えた敵の艦影をいち早く艦橋に伝え、我が船団に発光信号を使って知らせることができる。
「敵艦隊出現、駆逐艦八隻、距離四十」という情報は、無線封鎖中の各艦、輸送船に向けて光信号にて発せられた。
「それにしても、随分と少ない数の敵ですね。いつものように、大船団では現れないんでしょうか?」
「さすがについ先日、機動部隊を壊滅させた後だからな。得体の知れない敵がいると分かっていて、敢えて戦力を集中させてくるとは思えない。分散し、小規模で現れたのだろう」
「にしても、どうしましょう? こんな時にフェルゼンヴァーレが動かないなんて……」
いや、申し訳ないが、それはお前の落ち度だろう。海中にさえ飛び込まなければ、今ごろは敵の駆逐艦隊に接近し、全滅することは容易だったはずだ。
だが、こちらはその切り札を使えない。となれば、艦隊による夜戦でやつらを撃滅するしかない。
「これより巡洋艦『なち』、『はぐろ』、駆逐艦『あさしお』、『まいかぜ』と共に、敵艦隊撃滅に向けて進路変更する。通信兵、四隻に向けて『コココ』信号だ」
「はっ!」
艦橋脇に立つ通信兵が、照明灯をカチカチと点滅させる。送っているのは「コ」の文字信号の連続だ。これは海防艦、輸送船団には意味不明な信号だが、我が五隻の戦闘艦の間ではあらかじめ、艦隊攻撃を仕掛ける際に決められた「出撃」を意味する符号である。
この艦隊の旗艦は巡洋艦「はぐろ」であるが、そよかぜが事実上の護衛艦隊指揮を担っている。このため少佐である艦長が、艦隊の進路を決める。これは人型重機という最強の索敵兵器をもっているためだ。
「敵は駆逐艦のみとはいえ、数の劣勢は否めないが……勝てる見込みは、あるとおもうか?」
「艦長、我々には敵にはない強力な電探があります」
「それはそうだが、その電探を用いた管制射撃を行えるわけではないだろう」
「いえ、それでも我が艦隊に、正確な砲撃をもたらしてくれます」
僕には、確信があった。というのも、あの電探が捉えられるのは「艦」だけではないからだ。
潜水艦の潜望鏡や、艦艇の主砲弾すらも捉えられる。となれば、我が艦隊が放った砲弾の弾着地点を正確に追える。これならば、弾着補正も容易だ。無論、敵の弾も捉えられるから、避けることもできる。
たった五隻とはいえ、敵駆逐艦相手に正確な砲撃を行い、大いなる打撃を与えることができたなら、輸送船団を守るだけでなく、味方にとって大いなる戦意高揚につながる。
前回の艦隊決戦は完全なる敗北に終わった。昼間に、それも制空権のない戦いを強いられたからだ。が、今回は夜戦で、航空機はいない。我が皇国海軍は、夜戦にはめっぽう強いとされており、負ける気がしない。
我が海軍の真価を今、発揮する時だ。
「艦隊前進、面舵一杯!」
「おもーかーじ!」
こちらの動きに合わせ、味方の残り四隻の艦、駆逐艦あさしお、まいかぜ、巡洋艦なか、はぐろが順に追従することになっている。
船団から離れること一時間、ここで僕は、無線封鎖解除を艦長に進言する。
「艦長、味方の艦隊との連動のため、無線封鎖解除を願います」
どのみち、敵も我々を電探で捉える距離に入った。無線を封じたところで、たいして意味がない。ならば五隻の艦の連携をより密にすることで、敵艦隊を一隻でも多く沈めた方がいい。
無論、それはこちらの「目」を利用し、正確な射撃を可能にするためでもある。
「敵艦隊、まもなく距離一万七千!」
敵も我が艦隊を捉えたようだ。徐々に陣形を単縦陣を変えて、こちらの艦隊と並走しつつ攻撃に備えるべく動き始めた。が、すでにこちらは攻撃態勢にある。先に撃ったのは我々の方だった。
「標的、敵艦隊先頭艦、右七十七度、仰角四十三!」
「交互撃ち方、発令発射! 初弾観測、弾着位置修正後に効力射! 主砲、撃ち―かた始め!」
「初弾発射、撃ち―かた始め!」
すでに斜めに向けられた二門の主砲の内、片側が火を噴いた。ドーンという腹に響く音が、僕のいる場所まで届く。こちらの砲撃に合わせて、後方にいる四隻も一斉に砲撃を始めた。
「きゃあ!」
「おい、軍人だろう。砲撃音に驚いてる場合か。砲弾を追え」
「は、はい!」
電探の映像を見ると、本当に砲弾が点となって映っている。なんて高精度な電探なのだと感心するが、それがふっと消えた。敵の目前で消えたということは、つまり外れだということか。
「弾着位置、敵艦隊左側面、およそ七十! あ、『あさしお』の弾は左三十! 次いで『まいかぜ』の弾、右に四十、ええとそれから……」
他の艦艇の弾もそれぞれ弾着し、それらの着弾ずれ量を次々と報告するヘレーネ少尉の言葉を、伝令兵が書き留める。まずは我が艦の弾着補正を伝えると、片側だけ砲身が下がった主砲が方向、射角を微調整し始める。同時に通信兵が、他の艦に向けても弾着補正量を伝えるため打電している。忙しいことだ。
「弾着! 命中です!」
そんな具合で五、六発ほど放ったところで、「そよかぜ」の放った砲弾が先頭の艦に命中した。当たったのは、三基ある主砲の三門から放たれた三発の内の二発。十二センチ徹甲弾が、敵の甲板上に着弾した。激しく、炎が上がる。
もちろん敵も反撃してくる。次々に水柱が立つが、めったに砲弾というものは当たるものではない。命中率は四から六パーセント。そう簡単には命中しない。
あちらも電探でこちらを捉えつつ弾着補正を行い、砲撃を続ける。が、一万七千では敵の電探は捉えられても、目は我々を捉えられない。
一方の我が観測員の目は、一万八千メートル先の敵をも捉える。おまけに、驚異的に高精度な電探を持っている。火の手の上がった艦ならば、ますます見逃すはずがない。
「距離一万六千、右七十二度!」
「効力射、撃てーっ!」
まずは火の手の上がった敵艦を沈めるべく、立て続けに砲弾を放つ。暗闇の中で自ら光を放って丸見えとなった敵に向けて、次々と主砲が放たれる。そんな中、さらにその後方でも火の手が上がる。
「巡洋艦『なち』の砲弾、敵艦に命中!」
それは敵の戦列で四番目の艦だった。もちろん、「なち」の砲は燃え盛る敵駆逐艦へ撃ち込まれ続ける。
「巡洋艦『なち』、被弾!」
ところがだ、味方にも損害が出る。二十八センチ連装砲塔を四基持つ重巡洋艦が、その大きさゆえに被弾した。
幸い、甲板に当たっただけだが、火災が起きている。これでは敵の攻撃を集めることになる。
「も、燃えちゃいましたよ。どうするんですか」
「どうにかしてやりたいが、どうにもならん。とにかく貴様は砲弾の行方を追え」
「は、はい!」
敵は多い、さすがに被害皆無とはいかないだろう。この艦にも、多数の砲弾が迫っている。目前で水柱が多数上がる中、ひるむことなくそよかぜの主砲は火を噴き続けた。
そうこうしているうちに、さらにもう二隻の敵艦が炎を上げる。八隻の敵艦の内、四隻が丸見え状態だ。敵も必死に撃ってくるが、夜戦のこの距離では、そうそう当たらない。
それはもちろん、我が艦隊とて本来は同じだが、その命中率を上げる仕掛けがこちらにはある。
「巡洋艦『はぐろ』、弾着補正、右に三十!」
こちらの弾がどれくらい外れたかが、こちらの電探は捉えている。その補正値を伝えるだけで、徐々に敵艦に弾が当たっていく。
砲撃戦が始まって、およそ二十分が経過。先に沈んだのは、巡洋艦「なち」が当てた艦だった。艦を大きく傾けつつも、沈んでいくのが見える。
一方で我が艦が最初に当てた艦はなかなか沈まない。さっきから四発は当たってるはずなのだが、巡洋艦とは違い、駆逐艦の砲は貫通力がなさすぎる。
しかし、ようやく敵の先頭駆逐艦も左に傾斜し始めた。傾斜角は二十度を超え、もはや主砲を放つことができなくなった。沈没か、それとも現状のまま戦列を離れられるかはわからないが、攻撃不可能な敵を相手に構っているほどの余裕はない。
「標的を変更する、炎上する敵二番艦へ砲撃!」
「標的、敵二番艦! 距離一万五千、右七十八度!」
「撃てーっ!」
ドーンという音と共に、十二センチ砲弾が放たれる。手前で弾着し、水柱のみが上がる。
「弾着補正、右七十!」
ヘレーネ少尉が、すぐさま弾着補正値を知らせてくれる。それを聞いた伝令兵が、伝声管で射撃指揮所に伝える。
すぐさま、二番艦への第二射が放たれる。が、これは外れ。再び補正し、三発目で着弾する。
「やった、当たったぞ!」
甲板では整備兵らが叫んでいるが、こちらとて攻撃されているんだ。能天気に甲板に立っている場合ではないだろう。
「おい、整備兵! 貴様らは艦内倉庫へ退避せよ! まぐれ当たりでも死ぬことになるぞ!」
「何を言ってるんですか、副長。この艦は幸運艦ですぜ、そうそう簡単に……」
そんな会話をしている時だ。その整備兵の目前で、大きな水柱が上がる。と同時に、ゴンという嫌な音が響いた。
「うわっ!」
その水飛沫は、この人型重機の操縦席にまで飛んできた。ヘレーネ少尉が叫ぶ。が、僕はその飛沫の向こう側の惨状を目の当たりにする。
そこには、四人の整備兵がいた。が、内、二人が倒れている。残りの二人も、甲板を這うように後ずさりしていた。
倒れている二人は、すでに人の形をしていない。一人は頭部を、もう一人は上半身の大部分を失った状態だ。その脇の柵は、大きくえぐられている。
直撃弾ではなかったが、着水時に爆発した砲弾によって被害を受けたようだ。言わんこっちゃない。僕は顔面蒼白で狼狽する残り二人にこう命じた。
「艦橋の陰に入れ! また砲撃が来るぞ!」
慌てて生き残りの二人は、艦の中心部に立つ楼閣の陰へと這うように進む。今の衝撃で大きく船が揺れ、傾く。その際に、甲板に被る波が戦死した二人を洗い流すかのように海中へと連れ去っていった。僕はただ、敬礼する。
「い、今のって、せ、戦死、ですよね……」
狼狽するヘレーネ少尉に、僕はこう答える。
「ここは戦場だ! 油断すれば死ぬ、当然のことだろう!」
「そ、それはそうですが」
「それより、弾着観測を続けろ! まだ戦闘中だぞ!」
「は、はい、了解であります!」
同じ軍人とは思えない。こいつだって、戦場に身を投じた経験はあると聞いたが、あの程度の惨状は未経験だというのか?
しかし、この一件は我が艦が「幸運艦」であることを、さらに高める結果となった。あの至近距離での爆発で、ほとんど無傷。柵が一部吹き飛んでしまったが、船体そのものは凹んでいない。
あれが直撃していたら、僕自身も危なかったかもしれないな。
砲撃戦は続く。炎上する敵艦はすでに五隻を数え、巡洋艦「なち」と「はぐろ」がそれらに集中砲火を浴びせる。我が「そよかぜ」をはじめ、「あさしお」「まいかぜ」もこの人型のもつ電探を頼みに、砲撃を加え続ける。
気づけば、敵は二隻になっていた。その二隻も戦闘継続を諦め、炎上を続けたまま戦線から離脱していく。
かなり大破し、主砲が撃てないほどの傾斜の艦もあるから、いずれ沈むか自ら爆沈処理される可能性はあるものの、戦況報告書には「撃沈六隻、大破一隻、中波一隻」と書き記すのみだ。
一方で、我が艦隊にも被害は出た。最初に被弾した巡洋艦「なち」をはじめ、駆逐艦「あさしお」「まいかぜ」にも二発づつ被弾し、「あさしお」は主砲が一基、使用不能となった。
かくいう「そよかぜ」も、船体の損害は軽微ながら二人が戦死した。だが、夜戦での強さを発揮でき、敵から輸送船団を守るという目的は果たされた。
「おっはようございまーす!」
で、その翌朝、夜中まで戦闘をしていたというのに、疲れも見せずに明るく振る舞うヘレーネ少尉が、士官食堂へと入ってきた。艦長と僕、そして「そよかぜ」の砲雷長である酒井准尉が食事する中、意気揚々と入ってきた。
が、それを見た僕は、少尉にこう告げる。
「ヘレーネ少尉、昨日の二人の戦死を目の当たりにしたこと、それほどまでに衝撃であったのか?」
その振る舞いにいつも以上のあざとさを感じた僕は、ふと尋ねてみたくなった。
結果は、図星だった。
「う、うう……」
やはり、昨晩のことを気にしていたな。僕の直感通りだ。
「わ、私がもう少しちゃんと、こちらの弾着に気付いていたなら……」
「気にすることはない。戦場で油断した、彼らの責任もある」
「で、ですが……」
「確かに我が艦だけで二人、戦死した。だが、貴様の電探による指示で、それ以上の命が救われたのだ」
「そ、それはそうですが、あのお二人は私の機体整備を手探りながら懸命にやってくれた人たちなのです」
「いい人だから助かる、と言えないほど、戦場というところは甘くはないんだ。それは、少尉も承知しておいてほしい」
「は、はい……」
一見すると納得したような答えぶりだが、内心、納得していないだろう。だから僕は続けた。
「世の中なんてものは、不条理だ。そもそも我々がスラブ大帝国との戦争に突入するきっかけだって、不条理な要求を突き付けられてきたからだ。僕の士官学校時代の同期も、多くが亡くなった」
「そ、そうなのですか……」
「それゆえにだ。生き残った者はその分だけ、この世で成すべきことを成す。人はいつか、必ず死ぬ。早いか遅いか、それだけのことだ。僕だって、明日はないかもしれない」
「そんな……今日、私の機体は直ります! 誰も死なせやしません!」
「いくら優れた機体があっても、人がいつ亡くなるかという運命には逆らえない。明日は我が身と覚悟し、その瞬間を精一杯生きる。僕は、そう考えている」
「大尉の言う通りですな。小官とて砲雷長である以上、弾薬のすぐそばで指揮を執る身、いつ爆薬ごと吹き飛ばされるか分からない、危うい場所で戦ってますからな」
「艦長だからと言って、いつも安全な場所にいると思われては困る。艦がやられれば、私はこの艦と運命を共にする覚悟だ」
僕に続いて、艦長の君島大佐、砲雷長の酒井准尉がそれぞれ、自らの覚悟を語った。常に死と隣り合わせ。戦時下の軍人として、当然のことではあるのだが、死とは常に僕らのすぐそばにいる、そうヘレーネ少尉に僕らの思想を語る。
「そこまで覚悟をされて、戦場に出られていたんですね。私なんて、そんな覚悟一つ持たずに、軍人になっておりました」
「あくまでも、我々の思想を話したまでだ。貴様には貴様なりの考えや理念があるだろう」
「いえ、考えてみれば私だって、いつどうなるか分からないんですよね。宇宙でもここでも、軍人たるもの常に死と隣り合わせなのですから。なので、あのお二人の分も目一杯、生き延びようと思います」
彼女の宇宙での戦闘というものを、僕は知らない。それほど死の実感のない戦場だということなのだろうか? しかし昨夜の戦いでの出来事は、彼女の中に何かを成長させたように思う。その顔つきを見れば、何となく分かる。
それから丸二日かけて、輸送船団はようやく皇国へ到着する。
途中、本土を狙う敵の爆撃隊三十機を発見するも、復活した人型重機によって半数が撃ち落されて、撤退していった。そんなこともあったが、全体としては平穏無事な航海であった。
それが逆に、気味の悪さを感じさせる。
あれほど物量を誇るスラブ大帝国が、なぜこれほど急に消極的になったのか?
その理由が明らかになるのは、皇国に到着してから三日後のことであった。