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9話

「さて、今日は少し魔力について色々と話そうと思う」


翌日、訓練場にてアーミラが言う。

ちなみに昨日のことに対してアーミラは気をつけろの一言だけそれ以外は何も言わなかった。

何か少し不気味だが藪をつついて蛇を出すこともないので何も言わないことにした。

で、なぜ魔力云々の話になったのかと言うとどうやら昨日ミズチと話していたことがアーミラに伝わっていたらしい。


「昨日、どこまでミズチから聞いた?」

「どんなものにも持っていて生命エネルギーみたいなもので体の強度で変わるって」


なるほどと、アーミラは頷く。

ちなみにアーミラから敬語はムズムズするから辞めてくれという要望で普通に話すことになった。


「うん、大方間違ってはないな。魔力は使うことで自身の強さに直結してくるから、できるなら入隊試験までに使えるようになってもらうぞ」

「けど俺は魔力を持ってないぞ」

「それはない、とは言い切れないがお前の魔力の特性か何らかの影響で見えなくなっている可能性が高い」


そういえば、どんなものでも持っているって話だから俺も一応持っているには持っているのか。

けれど使えなきゃ意味が無いと。


「それを使えるようになればいい」

「といっても、魔力って結局どういうものなんだ?なにか目に見えて変わるものとかあるのか?」


ふむ。とアーミラは一度顎に手を当てて訓練用の剣を取り出してこちらに渡してきた。


「それで思いっきり私に切りかかってこい」

「は?」


急にぶっ飛んだことを言われて素っ頓狂な声が出た。

少し触ってみたけれど結構切れ味があった気がする。

しかも当の本人は大まじめだし。


「本当にいいのか?」

「いいからさっさとしろ」

「あ、はい」


せかされ背筋が伸びる。

じゃあ、というわけで受け取った剣を振り上げた。

よけるよな?と思いながら思いっきり振り下ろした。

アーミラは腕を上げて振り下ろした剣をうけた。

腕と剣が衝突した瞬間、こっちの振り下ろした剣が真っ二つになってしまった。


「え?」

「今のようにこうやって軽く魔力を込めることでこういったことができる。無論、今のは相手との魔力の量に差がないとできない芸当だがな」


折れた部分を見ると何か手品をしたわけでもなくただ、持っていた剣が力負けしたことになる。

結果が思う逆なのに対して一瞬脳が困惑した。


「まあ、流石にこういったことは戦闘中にはしないし、基本的に自然体でいないといけないがな」


軽く苦笑いながらアーミラはそう言った。

何か変わっているようには見えないが多分、魔力を集中させていたんだろう。


「大体のものが自然体の魔力で硬くなってくる。たとえばおまえの殺したゴブリンとかもな」


説明させてが、なんでもゴブリンは本来、集団でかかってくるらしく一体だけでも一般の兵士だと相当苦労するくらいには狡猾でしかも結構皮膚も魔力も相まって硬いらしい。


「実は俺って相当馬鹿なことをやってた?」

「普通の人が聞いていたら笑って一蹴するだろうな」


ですよね。

まあ、けどあの時結局逃げれなかったからな…。

正直、完全に運がよかったとしか言いようがない。

多分あの時、普通に見つかっていたら多分こんな待遇もなかっただろうし。


「魔力があるってことは魔法もあるのか?」

「ん、あるにはある。が、今は考えなくていい」


少し濁らされた気もしたがおそらく魔力も使えない俺にはまだ必要ないことなんだろうな。


「さて、今からわたしからお前の体に魔力を流していく。上着を脱いで、背中を向けてくれ」

「あ、はい」


言われるがままに上着を脱いで、背中を向ける。

少し抵抗感はあったが気にしたところでアーミラが気にするわけがない。

背中を向けたら、背中に掌の感触がきた。

そうしたらじわりと背中に何かが入ってくるような感じがした。


「何か感じるか?」

「ん…なんか…変な感じが…」

「今、私の魔力を送っているからその違和感が魔力だ」

「いや、そうじゃ…な…く…」


目の奥になにかが見える。

辺り一面が真っ赤に染まる。

さっきとは違う場所で熱を感じる。

体温が上がったとかそう言うレベルではなく、真っ赤に染った世界が、炎が全身を包んで体をおおっている。

その中で、一人、真っ赤に染まった世界の中心で立っていた。


【オレハオマエヲ許サナイ】


頭の中にその言葉が入ってきた。

その言葉は怒り、憎悪が込められていて、炎が包まれている炎が強まる。

全身が灰になるような、そんな感覚が襲ってくる。

死ぬ。

そう思ったその瞬間、世界がぐにゃりと歪んだ。


「おい!しっかりしろ!」

「っ!?あ…れ?」


アーミラに頬をひっぱたかれ元の景色へと戻ってきた。

体を見てもなんともなってない。

ただ、先程見た光景、体を焼かれた熱、憎しみの篭った言葉が頭から離れない。


「何があった」

「わからない。急に頭んなかに何かが…」

「いい、ゆっくり話せ」


アーミラに促されるまま、ゆっくりと先程見た光景を話した。

そして、アーミラは1度考えて、


「魔力による何らかの弊害…いや、或いは…」


独り言をブツブツと言って、また目をつぶって、


「魔力の訓練は中止しよう。体の方は大丈夫か?」

「ああ、大丈夫だけど」


それに対してよし、と言ってアーミラは少し下がって訓練用の剣を構えた。


「じゃあ、昨日のように模擬形式で打ち合いをするから構えろ」

「わかった」


こちらも慣れないながらに訓練用の剣を構えた。

また、ボコボコにされそうだなと考えていたら急に後ろから両肩を大きな手で掴まれて、


「体が硬いぞ!新入り。そんなんじゃ一発でドンだ!」


びっくりして振り向くと俺よりも一回り大きい男が笑いながら立っていた。

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