7話
それから数日が過ぎた。
その間、カーミラがちらちらと見に来ていたが一瞬見てどこかに消えて行ったりほかの人が来るとカーテンをかけて見えないようにしていた。
病室でセクシー医師のミズチにセクハラ看護を受けて、ようやく解放された。
「うんうん、頭も体のほうももう問題なさそうだね。ほかにきになることはあるかい?」
「特にないです」
「なんだったら、今からもう一回、体の隅から隅まで…」
「特にないです」
訂正、まだ解放されてなかった。
とりあえず、一旦最後の診断をしていて今日で退院という形になる。
ミズチは医療のほうはすごいのに普通に関係ないところでも服を脱がそうとしてくるのが困ったものである。
そういった話をしているとカーミラがやってきた。
「もうよろしいのですか?」
「ああ、もう普通に動いてもらっても問題ないよ。また具合が悪くなったら来ておくれ。いつでも歓迎しよう」
「あ、はい」
この真面目にしているときとの温度差をどうにかしてほしいところであった。
ーー
その後、カーミラに連れられて訓練場まで歩いてきた。
わかっていたけどこのタティウスの屋敷はだいぶ広い。
慣れていないと、一人で歩いていると迷子になりそうだ。
訓練場もいくつか存在してるし、ここに来るまで5分くらいかかったし。
「姉さん、連れてきました。どうぞ、タオルです」
「ああ、ありがとう。ふぅ…」
そこには汗まみれになっていたアーミラがいた。
丁度、終わったようで剣を持っていた。
カーミラからタオルを受け取り顔をふく。
「では、わたしはこれでお掃除してきます」
「また終わり次第、迎えに来てくれ」
「はい、失礼します」
一礼してカーミラはその場から立ち去る。
残っているのは俺とアーミラで…
「さて…」
そのアーミラの目がこちらを向いた。
まだ、終わった後で体から蒸気が出ている。
普通にこちらを見ているはずなのに少し逃げたくなるのはなぜだろうしいと「もう動いても大丈夫そうか?」
「はい、大丈夫です」
肩を軽く動かして大丈夫な事を示す。
それに対して軽く頷く。
そして、こちらに近づいてきて、アーミラは持っていた剣の柄を向けた。
それに対して、取らずにいると
「持ってみるか?」
と聞いてくる。
「…はい」
恐る恐る、その剣を握ってみる。
剣を握り、アーミラが手を離すと重さが伝わってくる。
もちろんこんな真剣なんて持ったことないし見たこともない。
するとどこから出したのかアーミラは槍を持って横に振り払ってきた。
「っ!?」
ぎりぎり見える範囲で振り払いでぎりぎりで受け止める。
さらにそこから止まることはせず俺の腕を持って引っ張って足払いをして転がされる。
いきなりのことでほぼ何の抵抗もなく転ばされた。
「痛って…なにするんですか!」
「いまは反応できただけでいいがいずれはこれくらい対応できるようになってもらうぞ。仮にもタティウス様の所有物になったんだからな」
転ばされた後、アーミラはそう言って手を伸ばしてきた。
その手をつかもうと手を伸ばそうとしたが一瞬躊躇い、その手を掴み顔面に向かって、殴りにいく。
しかし、わかっていたのか、顔を軽く逸らし、掴んでいた手を掴み返され、片手だけで一本背負いされた。
「その程度で当てれると思うなよ。まあ、面白い試みだったがな」
「痛た。俺はこれからどうすればいいんですか?」
「とりあえず、現状、この国に認識されていないお前をここから出すわけにはいかない。見つかればよくて、国外永久追放、悪ければ死刑…と言いたいところだが、タティウス様はまだ、見捨てはしないだろう」
お国の神様の家に見知らぬ奴がいるんだ、そりゃ見つかれば騒ぎどころの話ではないだろう。
見捨てないと言っても色々と面倒になるんだろうな。
「と、いうわけでだ。ユウリ、お前には3ヶ月後にある国の入隊試験に出てもらう」
「入隊試験、ですか」
体を起こしアーミラのほうを見る。
既にその手に槍を持っていなく、少し気になったがそれよりも入団試験という方が気になった。
「一応神兵も、国の兵士であることに変わりはなくてな。もちろん例外もあるが、基本入団試験を受けてもらうのが通例だ。だが、今のお前だと…」
「一瞬で落とされそうですね…ハハ」
今までそういったのと無縁の生活をしてきたんだ。
いきなり兵士になれと言われても無理に決まっている。
あれ?
「もしかしてだけどこれって…」
「ああ、この3ケ月でみっちりしごかせてもらう。ただ病み上がりだから少しは優しくしてやる」
その日、ゴブリンと戦った時よりも地獄を見た。