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2話

「ギャ!ギャ!」


ゴブリンは石の当たった場所を痛がるように抑え、こちらを睨みつけている。

それを見て、少しずつ後ろへ下がる。

あわよくば逃げれればと思っていた。


「ギッ!」


しかし、そんな淡い期待はすぐになくなった。

苛立ちを抑えられず、そのままこちらにゴブリンが棍棒を振り上げて襲いかかってきた。


「っ!ちょ!」


おおきく振りかぶってきたので体を横にずらして転がりながら避ける。

そのままゴブリンから目を離さず距離を開ける。

ゴブリンの棍棒はそのまま地面に思い切りぶつけていた。


「ギャッ!ギギ!」


ゴブリンはさらに苛立ち地団駄を踏み、またこちらに向く。

また同じ状況。

おそらく俺を狩るまで終わらない。

石を当ててしまったがためか、或いは縄張りに入ってしまったのか。


「落ち着いて欲しいんだけど石を当てたのは悪かったから見逃して欲しいんだけど」

「ギギ!」

「っ!そうですよね!」


話しかけた瞬間、またこちらに棍棒を振り回しながら迫ってきた。

こちらも警戒していたのでまた体を逸らして避ける。

ただ、それで終わらず今度はさらに向かってくる。

次の振り下ろしに体の体制が整っていないため避ける事ができない。

なので左腕でガードして棍棒を防ぐが鈍い音がした。


「痛っ!!」

「ギギィ!」

「げぼっ…っ!」

「ギィ!?」


さらにそのまま、横っ腹に棍棒が入り、咳き込む。

ただ、そこで動きを止めると更に追撃を食らうので体をゴブリンに当てて吹っ飛ばした。

飛ばした後、体を無理矢理動かして走って逃げる。


「はぁ…はぁ…。痛ってぇ…くそが…」


殴られた左腕と脇腹が痛い。

ただ、ここで止まるとまた怒っているゴブリンが来るかもしれない。

さすがにこの状況では分が悪すぎる。

誰かいないかと周りを見ながら走るがやはり誰もいないし、どこを走っているのかが分からない。


「ギッ!」


だから反応が遅れた。

突如、茂みから現れたゴブリンに頭を棍棒で殴られた。

いや、逃げる場所を間違えたのだ。

森の中の草の生い茂る中、背丈の低いゴブリンは姿を隠すのには格好の場所である。

正確に言えば隠れた訳では無いだろう。


「ぁ…づっ…」


脳震盪を起こして視界がグラグラする。

そのグラグラした視界に見えるのは薄笑いを浮かべながら棍棒を振り上げ、振り下ろす直前だった。


「くっ…そ!」


両腕をクロスさせて振り下ろす棍棒を防いだ。


「〜〜〜〜!」


腫れた左腕でまだ防いでしまい、痛みが脳に響き渡る。

更に腹、肩、足、など色々と殴られた。

もう一度頭を殴られたら気を失うので頭だけは守ったがそれ以外の部位を殴られ続ける。


「ギギ!」


腕の間から見るゴブリンの表情は笑いながらこちらをいたぶっている。

まるでこちらを壊してもいいおもちゃのように。


そもそも何故、逃げる必要があるのか。

何故、恐れているのか。

別に、死んでもいいじゃないか。

だったら…


手に力が入る。

視界に歪みは無い。

ただ、体が痛いだけだ。


ゴブリンは下衆の笑いを浮かべながらもう一度棍棒を振り上げた。

その瞬間に体をひねり、右の拳が油断していたゴブリンの頭を捉え、上に乗っていたゴブリンを吹き飛ばした。


「ギッ!?」

「さっきはよくもやってくれたな?」


口の中に入っている血を吐き出す。

口の中が鉄の味がするがそんなことはどうでもいい。

ゴブリンが飛ばされたと同時に手を離していた棍棒を拾う。


「ギッ…ギギ…」


こちらが攻勢に出た瞬間、ゴブリンの目が恐怖に染まっていた。

一歩出る度、一歩下がる。


「ギギィ!」


耐えられなくなったのか逃げ出した。


「待てやコラ」

「ギィ!?」


持っていた棍棒を全力で投擲し、それが足へと当たり、ゴブリンはまた倒れる。

俺は手頃な石をみつけ、それを持って近づく。

ゴブリンはまた逃げようとするので、棍棒を当てた足を踏みつけた。


「ギギ…ィ」

「まだ、礼がすんでないぞ」


痛みに悶えるゴブリンを他所に顔に石を振り下ろす。

1度だけでは潰れずもう一度、さらにもう一度、と何度も繰り返し石でゴブリンの顔に叩きつける。

既に石が血塗れで、手にもその血は付着していたが、お構い無しに叩きつける。

動かなくなるまで…。

でなければこちらがやられてしまうから。

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