序 〜創世神話・旧〜
本編に加えるには長くなったので分けました。
神は、昼と夜をつくった
神は、人が暮らす大地をつくった
神は、数多の生き物をつくりだし、野に放った
神は、十の神殿をつくった
神は、世界を維持する二十の使徒を遣わし、神殿に封じた
神は、使徒に人の暮らしを守ることを命じた
神は、人に使徒の世話を命じた
使徒は、世界を支えた
人は、使徒に仕えた
神は、退屈していた。
自分以外の存在のない世界で、気を紛らわすものもなく。ずっと、悩んでいた。そこに時間の概念はなく、悩むことにも飽きてきて、なにもしないことにした。そうしていると、ふと、意識が途切れる瞬間があった。はじめての変化に、また、なにか起きないかと期待した。だが、期待してもなにも起きず、すべてを放棄した時にまた、意識が途切れた。
神は、眠ることを覚えた。
いつ眠っているのかわかるように、「夜」をつくることにした。「夜」がわかるように、「昼」もつくることにした。世界に、「時間」が生まれた。
神は、なにかをつくりだすことを覚えた。
神は、思考している自分がなにか考えた。
神は、「自分」をあらわすものをつくったが、すぐに消えてしまった。だが、「夜」と「昼」は変わらず存在していた。
神は、思案した。
「自分」をつくるのではなく、「自分の中」に「もの」をつくろうと考えた。
神は、自分の中に「世界」をつくった。すべてを満たす「海」の中に、自分を模倣する様々な「もの」をつくった。だが、「海」の中はよく見えなかった。そこで、「陸」をつくり、自分を模倣する「もの」をつくった。こうして数多の「生き物」が生まれた。
次第に、「海」と「陸」で「生き物」は「進化」していった。
神は、面白くなって、「陸」を大きくした。
そこで問題が起こった。「自分」の力が「世界」に届かなくなった。
神は、「陸」の「人」という生き物に真似て、「力の入れ物」をつくることにした。
神は、一対の番の「力の入れ物」をつくった。その「力の入れ物」を「使徒」と名付け、「陸」の中央に住まわせた。
しかし、大きくなった「陸」には、力が足りなかった。そこで、もう一対の「使徒」をつくり、先の番とは離れた「陸」に住まわせた。
今度は、世界が均衡を失い、荒れた。
そこで、もう二対の「使徒」をつくり、最初の一対を中心に、「陸」の二方に住まわせた。世界は均衡を取り戻した。
神は、「陸」を見て大いに喜んだ。
「陸」には神の力が溢れ、草木が茂り、様々な生き物が増えていった。
また、「世界」に力が足りなくなってきた。
神は、困った。
そこで、もう六対の「使徒」をつくり、「陸に」住まわせた。「世界」は安定し、大いに栄えた。
神は、自分の存在が希薄になっていることに気付いた。
神は、悩んだ。「使徒」に与えた力を少し、回収した。
「世界」は荒れた。
神は、自分の中の世界に法則を持たせることにした。
自分の力で育まれたものたちの中から、特に恵まれたものを選び、「使徒」と同じに世界に力を分けられる仕組みをつくった。
神は、十の「神殿」をつくり、その奥に番の「使徒」を住まわせた。そして、選ばれたものが逃げ出さないように、「神殿」に暮らす人に「使徒」の世話をさせることにした。
「世界」は再び安定した。
神は、大いに満足した。
ずっと書きたいと思っていた、異世界ファンタジーです。