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6.本当は、すっごく会いたいよ・・

「どうしよう・・」

天子は、うつろな瞳で教科書を見つめる。

「宿題・・終わんないよ~!!」

部屋中に、天子のなげきがひびいた。

「どうしよう!? 新学期まであと1週間しかないよぉ・・」


コンコン”



「ん~?」


天子が机にぐったりしていると、ドアをノックする音が聞こえた。



ガチャッ



「てんっ! ちょっとゴミ出し行ってきてよ」


ドアが開き、ひょこっと顔を出す女の人。

それは、天子のおばさん“アカネちゃん”であった。(恋♥叶①参照)


「え~~!!」


「え~っじゃない! ほら、さっさと行く!」


アカネちゃんは、天子に燃えるゴミの袋を持たせ、家から追い出した。。


「う~・・宿題がー!!」


天子はそう言いながら、しぶしぶゴミ捨て場の空き地に向かって歩き出した。






―――――――――・・・






ドサッ


天子は、ゴミ捨て場にゴミ袋を置いた。


「あっつ~い!」


8月の終わりで、気温の高さはピーク。


「も~ アカネちゃんってば人使いあらすぎ!!」

天子は家に帰ろうと、今来た道を戻っていく。


「あははっ 流衣くんてば、も~!!」


(・・ん? 流衣くん・・って、言ったよね!?)


天子は顔を上げた。


天子の目の先では、流衣が、女のコと2人で歩いていた。


「えっ・・雅!?」


その女のコの顔がチラッと見えた時には、

天子はその言葉を口に出していた。


「え・・? 天子っ!?」


その声にふりむいた雅が、天子に気づく。


「わ~っ ひさしぶり!! 元気だった!?」


雅は天子にけよる。


「うんっ 雅こそ!!」


雅も天子も、心からの笑顔だった。


「水月くんとは上手くいってる?

そうじゃなかったらゆるさないけどっ☆」

雅はジョーダン半分に笑って言う。

「っ・・」

天子は、言葉が出なくなった。


――聖夜が、自分のことを忘れてしまった。


とてもじゃないが、上手くいっているとは言えない・・。



「天子? もしかして、別れたの・・?」

「雅っ!!」

流衣が、雅を止める。

「流衣くん?」

雅は、そんな流衣を不思議そうに見る。

「今の聖夜には・・春咲さんの記憶がないんだ・・・」

「え・・ええっ!?」

流衣の言葉に、おどろく雅。

(うそっ・・ 私、何も知らずにあんなこと・・っ)

「ごめんっ 天子・・気にしないで?;」

雅はあわてて言う。

「ううん、あたしは大丈夫だよ・・」

天子は、ニコッと笑顔をつくる。

「春咲さん、あんまり聖夜のことは気にしない方がいいよ。

聖夜なら・・きっと、思い出してくれるから・・」

流衣も天子に言う。

「うん・・ありがとう」

天子は笑って、自分の家の方に向かって歩き出した。


流衣は、心配そうに天子の背中を見つめていた。


「流衣くん・・まだ、天子のこと好き?」


そんな流衣に、雅は言った。


「・・そうじゃないよ」


流衣は笑って言った。









―――――――・・・





「やーった~! 退院だぁ♪」

病院の出入り口の自動ドアの前に立ち、はしゃぐ女のコ。

「こらこら、まだ1週間は家で安静にしてなきゃダメよ! 梨羽ちゃん」

そう、梨羽は、今日が退院だったのだ。

「えっへへ~♪ わかってるよ!」

「本当かしらねぇ~?」

看護師さんと、楽しそうにしゃべる梨羽。

「本当にありがとうございました!

梨羽がすごくお世話になっちゃって・・(^o^)」

梨羽の母親が、看護師に言う。

「いえいえ(^v^)」

「それじゃあ、失礼しますね!」

「看護師さ~ん、ばいばーい☆」

「バイバイ、梨羽ちゃん」

梨羽と母親は、車に乗り込んだ。


ブロロロ・・


母親の運転で、車が走り出した。


「2学期からは、学校に行けるんだね~♪」

梨羽は、とてもうれしそう。

「そうね~」

母親も、そんな梨羽に笑顔を向ける。

「ふふっ 楽しみだなぁ♪」

「梨羽の学校は、花岡高校だったわよね。

友達、たくさんできるといいけど!」

「えへへっ♪ もう、2人できたの!

天子ちゃんと、聖夜くんっていうんだよ!」

「へぇ、よかったじゃない~(^o^)」


(ふふっ 聖夜くんに会えるかなー・・?)





――――――・・



「あ、天子お帰り~ 遅かったな」

天子が家に帰ると、アカネちゃんはアイスを食べながらテレビを見ていた。

「うん・・途中で友達に会っちゃって!」

「ふーん?」


アカネちゃんと話し終わり、天子は、階段を上った。


「はぁ~・・」


ガチャッ バタン・・・


自分の部屋に入り、ドアを閉める。

「雅・・流衣くんと付き合ってるのかな?」

天子はベッドにすわり、ポツリと言った。

「幸せそうだったなぁ・・」

雅の笑顔が見れて、天子はとてもうれしい気持ちになった。

確かに、それもあった。

でも・・・


「今ごろ・・

聖夜はなにしてるのかな・・」


聖夜に自分の記憶がないことを改めて考えると、

切なさと悲しさで、心がいっぱいだった。


「新学期が始まったら・・聖夜に会えるかな・・。」



(本当は、すっごく会いたよ・・ 聖夜―――・・・)











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