もう1つの恋♥叶 ~雅の物語~ 【後編】
―――約束の土曜日。
今日は、流衣くんと初デートっ!!
いや、これってデート…?
と、とにかくドキドキやめいっ 私!!!!!
「雅~っ」
流衣くんの声にドキッ。
振り向くと、流衣くんが走ってきているのが見えた。
「ごめん、待った?」
息を切らしながら言う、流衣くん。
「ううん! 全然! 今来たよ~」
「じゃぁ、行こうか?」
手を差し出す流衣くん。
「うん♪ …って、え? 流衣く…」
こ、これ、手つなぐってことデスカ!?
そうなの!? 流衣くん!!?
「何してんだよw ほら、早く♪」
とまどっていると、流衣くんは黙って私の手をとった。
ちょちょっ、流衣くんっ!?
今日はなんだか大胆すぎやしませんかぃ!??
まぁ…いっかぁ;
「着いた♪」
何十分か歩いて、映画館に着いた。
私たちは中へ入る。
「何の映画見るの?」
私が聞くと、流衣くんはニコッと笑って言った。
「見てからのお楽しみ♪」
なんでかな?
その笑顔を見るとドキッとしてしまう…。
これって気のせい??
――― 映画が始まった。
館内に貼ってあったポスターと、
流衣くんが持ってたチケットを見てみる。
どうやらジャンルはラブストーリー。
私、映画なんて久しぶりー♪ なんて、最初は楽しく見てたんだけど…。
○×#□☆※△$…!!!!?!!?
って、ちょっ、ベッドシーン!!!!?///
こんなの恋人どーしが見るもんじゃないのッ!!?
私がおどおどしていると、流衣くんがそれに気づいた。
「どした? 見ないの?」
そう言って、目をスクリーンに戻す。
おそるべし…。。
なんでそんなヘーキな顔で見れんのさッ!!///
―――映画終了。
やっと終わった…。
もぅくたくただよぉ~。
てか気まずいし、絶対顔赤いって私っ!!
「雅? さっきからどうしたの? 顔赤いけど、気分でも悪い?」
流衣くんは、心配そうに私の顔を覗き込む。
「だ、大丈夫…っ!」
この男… 天然か!? 天然なのか!?;
てか、近いッ!;
…しかも今、雅って呼んだ!!?
なぜか顔が熱くなる。
なんで!? 私絶対おかしいって!!!
「次はどこ行こっか~」
「うーん…」
「じゃぁ、僕の行きたいとこついて来てくれる?」
「 ? うん、わかった」
どこなんだろぅ…??
―――着いたのは、おしゃれなカフェだった。
流衣くんはブラックコーヒー、私はミルクティーを頼む。
って!
ブラックコーヒー!?
流衣くんまだ中3だよね!!?;
「苦くない?」
「え? 雅こそ甘くない?」
「おいしーよっ?」
流衣くん、大人だなー…
「ふぅん… 一口交換しよっか♪」
「えッ!?」
流衣くんはスッと私のマグカップを手に取り、
私には流衣くんが飲んでいたコーヒーのカップを渡す。
「やっぱ僕には甘いな~w」
流衣くんは、笑って言った。
ドキッ…
まただ。
その笑顔、反則だよ。
「雅は? 飲んでみたら?w」
ぽー…っとしてる私に、流衣くんが言う。
「あっ! う、うん!!」
ごっくんっっ
思わず、コーヒーを口の中へドボドボ流し込む。
「に、にっが~!!!;」
「あはは、そんな一気に飲むからwww」
流衣くんが笑う。
う~っ はずかしいっっ///;
―――――――――――夜。
なんだかそわそわして、頭には流衣くんのことばっかで、眠れない。
本当に私ったら、どうしちゃったのかな?
流衣くんが好き? そうなの?
まさかぁ。
そうゆうんじゃ…ないよね?
でも、このドキドキは何?
何なの??
自分で自分がわからない。
わかんないよ…
「――雅ってばっ! 大丈夫~??」
あ、もぅ朝かぁ~
てか、ここ学校じゃん~
私ってば昨日、一睡もできなかったんじゃん~
「聞いてる? 雅~?」
あ。
瑠香が呼んでた。
「何っ瑠香!?」
「ぷっ、大丈夫っぽいねw
雅ってば、さっきから話しかけてるのにずっとボーっとしてるから」
「ご、ごめん!!」
笑う瑠香に、私はあやまる。
「ううん♪ それより、雅どーかしたの? めずらしく考え込んでるね??」
瑠香は、心配そうに私を見てる。
「あのね…――」
私はゆっくりと、昨日の話をした。
「それ、好きなんじゃない? 水月くんのこと。
そーじゃなかったら、ドキドキなんてしないんじゃないかな?」
「そうなのかなぁ…」
なんか、ピンとこない。
「もう少し考えてみたら? 誰もせかしたりしないよ(^∀^)?」
「うん… そだね!」
お昼休み。
いつものように、瑠香と昼食をとっていたときだった。
~♪
メールだ。
見てみると、流衣くんから。
『今すぐ屋上来て!』
件名もなく、内容はそれだけ。
屋上って…。
今雨降ってなかったっけ?
やんでる。
「なになに? 水月くんからのお誘い?」
「えっ、瑠香!」
見ると、瑠香が私のケータイを覗き込んでいた。
「雅、行ってきなよ♪」
「でも…」
「いいからっ! ね?」
「…行ってくる!!」
私は、教室を出た。
歩いていた足がどんどん速まり、ついには走り出した。
なんだろう?
早く流衣くんに会いたい。
これって…
気のせいじゃない…!!
ガタンッ!
屋上のドアを、思いっきり開けた。
「はぁ、はぁっ… 流衣くんっ」
流衣くんは、私を見てちょっとビックリしていた。
「雅? どーしたんだよ、そんな息切れしてw」
流衣くんは、いつもみたいに笑う。
私は… この笑顔が好き。
流衣くんは私に近づき、いつもみたいに私の目を覗き込む。
「雅?」
私は… この心配そうな顔が好き。
「今すぐとは言ったけど、そんなに急いで来なくても」
私は…
流衣くんが好きなんだ――。
「雅? 何か言いなよ?」
「ずるい…」
「…え?」
「ずるいよ… 流衣くん」
気がついたら、口が勝手に動いていた。
「どうしていつもそんなに優しいのっ
どうしていつも…私が…!!
テレたりドキドキしたりするようなこと言うのっ!」
「え、雅?」
なんで?
なんで私泣いてるの…!?
口が勝手にっ…
「私…流衣くんのことっ 好きになっちゃったじゃないっ…!!」
言ってしまった。
気づいたばかりのこの気持ち。
終わっちゃった…。
せっかく気づいたのに、終わらせてしまっ…
フワッ
私の唇に、何かやわらかいものがふれた。
――私のファーストキスを、流衣くんがうばった。
「僕が雅のことを苦しめてたなら、ごめん」
「流衣くん…?」
「僕も、雅のこと好きだよ?」
う・・・・そぉ・・・・・・
「雅?」
私の目を見て、流衣くんは言う。
「告白、雅に先越されちゃったからさ… 今度は僕から言わせて?」
「えっ」
「好きです。僕と付き合ってください」
流衣くん…っ
嬉しすぎて、頭真っ白だよ…―――
「返事は?」
流衣くんは、いつもよりずーっと素敵な笑顔で言った。
「――はいっ!!」
―――――…。
「てか、どうして私をここへ呼んだの?」
「あっ、そーいえば… ほら、あれ!」
流衣くんは、思い出した! というように言った。
「わぁっ…!!!」
流衣くんが指差すほうを見る。
「虹だぁっ! キレイ!!」
「あれを見せたかったんだ」
私、これから先…
ずぅっとずっと、流衣くんのこと好きで居続けられる気がする。
「ねぇ、流衣くん」
「ん?」
「ありがとうっ!!」
♥Fin♥