10.プレゼント
「 寒っ 」
天子はそうつぶやき、手に息を吹きかける。
「天子~っ! おはよ♪」
後ろから、花音が手をふり追いかけてきた。
「おはよぅ 花音 」
「寒いね~ やっぱ冬はこーじゃなきゃ!」
「寒いの好きなの?(笑)」
「ふつう(笑)」
体育祭も無事終わり、12月になった。
12月は、クリスマスなどの行事がすぐ間近。
そして・・
聖夜の誕生月でもあった。
「そーいや、聖夜の誕生日って今月だったよね?」
花音は、人差し指を立ててそう言った。
「うん・・ どうしよっ 何あげよう!!
てか、あたしがあげていいのかな!!?;」
天子は少々あわてぎみ。
「な~に言ってんの! 天子があげなきゃダメでしょ(〃`◇´)!」
「そ、そっか・・///」
そう、2人で盛り上がっている時だった。
「お~ 花音、天子!」
後ろから聞こえた声に2人が振り向くと、棗がこっちに歩いてきていた。
その隣には、なんと聖夜もいる。
「よ、はよー 寒いな」
聖夜は笑って言った。
「おっ おはよ!」
天子は頬をピンク色に染めて言った。
「おっはー♪」
花音は相変わらず、いつものテンションで言う。
最近は、ずっとこんな感じ。
聖夜に天子の記憶がないとはいえ、仲良くやっていた。
「あっれ~、棗・・いつもの寝ぐせはどーしたの?(笑)」
花音が、わざとらしく棗に言う。
「はぁ!? 寝ぐせとはなんだ!!
あれは寝ぐせじゃなくて、ワックスで今日は寝坊したから時間が・・・って、お前ら!!!!!;」
3人は、花音につっこむ棗を無視して、
学校へ向かってどんどん進んでいた。。。
「オレをおいてくなんてひっでーな!;」
棗は急いで追いかけてきた。
「えー だって、棗が遅いから」
花音はニヤッと笑って言う。
「ちぇっ ケチな奴らだ!!」
―――――――・・・
「ねぇね! 今年の冬休みはさぁ、4人で遊ぼーよっ☆」
休み時間。
花音が提案した。
「お、いーなそれ! 遊ぼーぜ!!
12月24日ってどーだ? ちょーど聖夜の誕生日!!」
棗は花音に賛成。そして提案。
「まじかw あけとくー」
聖夜も一応賛成。
「天子は!?」
花音が身を乗り出して訊く。
「うん、いいよっ!」
そんな花音に、天子は苦笑して言った。
「決っまり~☆」
必要以上に喜ぶ花音に、天子と聖夜は首をかしげる。
・・実は。
これは、花音の“作戦”であった。
(いい? 棗。失敗とかナシね!)
(了解☆)
花音と棗は、目でそんなやりとりをしていた。
もちろん、天子と聖夜は気づいていない。
「みんな、聖夜の誕プレ持ってくることーぉ!」
花音が手を腰に当て、言った。
「ほーぃ」
「はぁーいっ」
棗に続き、天子も返事。
キーンコーンカーンコーン・・・
「やべっ 席つこーぜ;」
チャイムが鳴り、みんなは自分の席に戻っていった。
(えへへ・・/// 楽しみだなぁ・・・♪)
授業中、天子はずーっとうかれた気分だった。
(プレゼント・・何買ったらいいかな・・^^)
そんな天子は、授業なんて全然聞いてなかったりする。
「じゃあここ・・・・ 春咲!」
「はぇッ!!?」
「な、なんだ、その返事は;」
先生は少々驚く。。
アハハハハ・・・
クラスの生徒たちが笑う。
「ほ、ほぇえ・・;」
天子は苦笑い。
(あ~っ またバカやっちゃった~・・;;)
―――――――・・・
「あ~~~何あげよう!? 花音っ;」
天子は結局何も思いつかず、
今、花音と一緒に『聖夜の誕生日プレゼント』を選びに来ている。
「し~らな~い♪ 天子がくれるんなら、聖夜は何だってうれしいでしょ」
「え――っ ううぅ・・ どぉしよ;」
天子は、また店内にならぶ商品とにらめっこ。
と、その時。
「あっ・・!」
天子の目にとまったのは・・・ マフラー。
(そぅいえば・・ 聖夜、登校する時いつも寒そーにしてるんだよね・・)
「天子、マフラー買うの?」
花音が声をかける。
「うーん・・・」
「マフラー・・にすんなら、手編みにしたら!?」
マフラーを買うかどうか悩んでいた天子に、花音が提案。
「えっ! そっか・・ いいかも!!」
天子はパアァッと顔色を変えた。
「きっと、聖夜も手編みマフラー欲しいだろうね(‐∀‐)ニヤ」
「も~っ また花音はっ!///」
――――― ・・
聖夜のプレゼントは決まり、天子は毛糸を買ってきた。
「よぉしっ! 作るぞぉ~っ!!」
毛糸を片手に、気合を入れる天子。
「ここをこうやって・・・ って、ありゃ!!?;
や、やっぱこっちをこぅだ! って、あれぇえ!?;」
・・・先は長い予感☆
―――――――――――――――――「はぁ~・・・」
そのころ梨羽は、窓から夜空をながめていた。
「天子ちゃん・・・ 聖夜くんのこと好きなのかな?」
梨羽の瞳は少し曇っていた。
ギイッ・・
ベッドに腰掛ける。
「なんか・・・ このへんがそわそわするなぁ」
梨羽は、胸に手を当て、つぶやいた。
「私・・ 好きなのかな? 聖夜くんのこと・・・・」