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第十四話「目的意識」

結婚式という名の大激戦から数日後。

「別にー私は戦えなんて一言ってないけどー。」

カエソニアはすねていた。それもこれも人の心を慮らない男、キョウタのせいだ。彼は、

「せっかく戦ったんですからなにか無いんですか?」

とのたまったのだ。ボコボコにされたくせに恩着せがましいものである。だが、しかし。カエソニアには巻き込んでしまったという負い目があった。子どものわがまま程度今ならまあ聞いてやろうという普段数倍の度量があった。そしてこれが最大の理由だが、異世界人という異物を魔王という異物と対消滅させたいという目論見があった。確かにカエソニアは自分が魔王を2秒で殺し尽くせる自負があるが、それはそれとして面倒くさいのだ。ということでカエソニアは弟子たちにいくつかの目的を与えることにした。……キョウタには特に魔王を倒さないといけないようなものを。

「ということで、俺たちはここで一旦解散だな。」

「あー、一人もう勝手に出てった奴いるけどな。」

「キョウタさん、でしたか。ものすごく強い変な人。」

「変な人というかあれもう狂人だね☆……真面目な話、妹に狂っててよかったあ。少なくともあたしたちに構うことはないわけだしぃ。」

四人は黙って頷いた。魔王が垂れ流している強大な魔力、それが途切れたら妹を人間にできる(かもしれない)やつを教えてやる……そう言われて一直線に魔力を辿りだした阿呆は、成長速度、強さ、話の通じなさから見て将来物凄い脅威になると直感していたからだ。

「いずれにしても、今度会ったら飯でも奢ってやろう。」

ちゃんと優しいアベイルだけそう思うのであった。

「妹妹妹妹妹」

「うわっ、なんだコイツ」

さて、裏でボロクソ言われていた当の本人は、龍との戦いで成長した能力の一つ、魔力感知を集中して行使し、不眠不休で魔力をたどっていた。幸いにも魔王の魔力はあまりにも異質、かつ垂れ流されていたので辿ることは難しくない……超遠いことに目を瞑れば。そこはキョウタ。妹のためなら1週間くらい不眠不休飲まず食わずで歩き続けるのなんて余裕なのだ。

「妹妹妹妹妹妹……サヤカサヤカサヤカサヤカサヤカ」

どうやら近くなってきたようだ。実際、道中ドン引きされながら進んでいたのに、今はもうそんんあことはない。絶望し、憔悴し、目の前の事象に関心の持てない死んだ目の人々が多くを占めていたからだ。まあ、そんな明らかやばげな兆候も、妹ではないからキョウタは気付くこともなく進むのだが。

「我を讃えよ!我を讃えよ!」

「いと気高き魔王様……我らの唯一無二のお方……」

「ワーッはハッハハハは」

さて、だんだんと大きな声が聞こえてきた。常人ならば、寝食も、眠ることも忘れて彼の賛美を行ってしまう……傲慢なる魔王、ルシフェルの能力である。彼に起因する事象を何であれ感じてしまったものは、彼を賛美する奴隷になってしまう。それは、弱っているとき、油断しているときならばとは言え、龍も例外ではない。特に龍のような上位種には、尊厳を大きく傷つけることで打撃を与える、まさしくカエソニアの言う、殺すことは容易だが、面倒くさい相手というにふさわしい力であった。まあ、妹でないならキョウタが賛美する理由はない。ずんずんとキョウタは進んでいく。

「ハーッははははハッハッハははは……は?」

さて、魔王の根城へとやってきたキョウタ。魔王は、貢物の高級品を散らかした心底下品な部屋、そこで寝そべっていた。そんな退廃の極みに突如現れた別次元の退廃の極み。当然魔王は良く思わない。

「死ね。」

魔王の命令は、当然人間は逆らうことが出来ない。……特にルシフェルは、自分に従わせるという能力を持つ。龍ですら、一瞬の隙が出来てしまうほどの力があった。が、妹の言う事以外キョウタは聞く気はないのだ。一部の隙もなく心は妹への好きで埋め尽くされているのだ。

「妹妹妹妹妹」

淡々と、妹を振るう。ルシフェルを一刀のもと斬り伏せるため。

「は?」

ルシフェルは、避けずに死んだ。彼の傲慢は、虫けらの反抗など避けるまでもないと判断したのだ。当然、魔王ゆえに相応の防御力はあった。だが、龍との戦いを経て、常に理外の力を振るうことにできるようになったキョウタと妹に、切れぬものなどあんまりなかったのだ。そうして七大魔王の一角傲慢の魔王ルシフェルは、あっけなく終わりを迎えたのだった。

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