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虹と戯れる砂の底魚  作者: 藤泉都理
第一章
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第六話 黒の砂岩+第七話 未知の声




 『砂の国』の四分の三の国境界線は『緑の国』と、残り四分の一は渦を巻く荒海と接していた。


 土羽梨の身長よりも高いながらも、今にも折れそうなほどに幅が細く、くねくねと曲がり立つ黒の砂岩の合間を進み、この先立ち入り禁止の看板と砂縄を通り抜け、さらに密集する黒の砂岩の中、歩みを続ける事、一時間。

 足の指を一本すら踏み入れば、あっという間に引きずり込まれてしまいそうな、大小様々な渦が湧き立つ荒海が見えて来た。

 あともう二十分も歩みを続ければ荒波に辿り着けるだろうその場所で、土羽梨は腰を下ろして仰向けになった。


 強い風が吹けば視界に入るこの黒の砂岩が倒れ込んできて、あっという間に埋もれて。

 その先を想像しながら、そっと目を瞑った。


 死へと誘う恐ろしい荒波のはずなのに、弾き出す音は不思議と心地よかった。

 『砂の国』のみんなはきっと、どこが心地いいのだ煩い不快だと言うだろうが。


 はあ。

 淡い吐息が自然と零れ、少しだけ身体の力が抜けたような気がした土羽梨が、荒波の音に引っ張られるように、意識を遠くへ遠くへとやろうとした時だった。

 瞬時に立ち上がり携えていた小刀を構え臨戦態勢を取り、周囲を警戒する最中。


「は?」


 これは幻覚だろうそうとしか考えられない光景が襲いかかった。























 じゃまだ。

 じゃまだ。

 あなたは。


 じゃまだから。


 うばわせてもらうよ。











(2023.8.6)




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