表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マスク  作者: Aju


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/52

21 微かなシミ

 『第7回ダンスコンクールJカップ・アマチュア部門』出場希望者募集。


 スクールの掲示板にその情報がUPされたのは、まだミラクル・ヴォイドのコンサートの熱量が残っている頃だった。

「ユウノシンも出てみないか? ナイアスは当然出るだろ? ってか、この間のエキストラダンサーは全員出てもらうぞ?」

 シャスルコーチがそんなふうに2人に話しかけてきたのは、情報がUPされた当日だった。


 年1回催されるJカップ・アマチュア部門は、プロの登竜門とも言われる大会だ。開催は2ヶ月後。

 ソロと団体の2つのエントリー枠があるが、スクールからは団体にエントリーするという。

「12人程度の編成で組み立てる予定だけど、上位の4〜5人にはソロパートも用意するつもりだ。それとも、ユウノシンはソロでエントリーするか?」

「そ・・・そんな、自信はありません。今・・・。」


 最近よくなった——。とコーチには言われているけど、正直ユウノシンには何が変わったのか、がよく分かっていない。

 ただ、できるだけスーツの機能やアイテムに頼らないで踊る——ということを心がけているだけだった。

「やろうよ、ユウノシン!」

 もちろん、ナイアスと一緒に晴れ舞台で踊ることは、ユウノシンにとって目下の目標でもあった。否なはずがない。



 ユウノシンのモチベーションにエンジンがかかった。

 ナイアスとのデートも、ミドルスクールの勉強も、ダンススクールの練習も、全てがフルで回り始め、充実した日々になってゆく。


 ダンススクールに再び、あのユウノシン(・・・・・・・)が戻ってきた。

 一緒に練習する仲間たちがそんなふうに思っている中で、ひとりユウノシンだけが一抹の不安を抱えている。


 たしかに、以前に比べるとダンスに力が出てきたような気がする。ナイアスの持つ、あの力だ。

 ただ、何が変わったのか、その具体的な何かが分からない。ひょっとしたら、ただナイアスを反射しているだけなのかもしれない。彼女と恋人・・になれたことで・・・。

 だとしたら・・・・。


 ユウノシンは暗い深淵から浮かび上がってきそうなその恐ろしい考え(・・・・・・)を、見えないところに押しやって、明るい方向に顔を向けた。そこにナイアスがいる。


 僕はナイアスを放したりはしない!


 それは・・・・

 自分のダンスのため・・・?



 コンクールが近づくにしたがって、チームはいい仕上がりを見せるようになってきた。

「全員、いい感じになってきている。絶対、上位に入賞できるさ。特にソロパートを踊るうちのトップ5は、ここまでくれば個人受賞も射程内だ。」

 シャスルコーチもコルンコーチも異口同音に、そんなふうに太鼓判を押してくれていた。


 しかし以前と違って、ユウノシンはそうして褒められるたびに自分の中のあの微かな不安が、じわり、とそのシミを広げるような気がしてならなかった。

 それを振り払うように、ユウノシンは練習に打ち込んだ。


 ソロパートの組み立ても、順調に仕上がりつつあった。

 リロイアも、カトランも、メイジュも、ナイアスも。それぞれの持ち味を活かしたソロパートの組み立てをほぼ終えていた。

 負けるわけにはいかない。そしてみんなの足を引っ張るわけにもいかない。団体戦なんだから——。

 コンクールまであと2週間。


 そんなユウノシンに、まさかの災厄が襲いかかる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ