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三頭の鷲  作者: アドラー
戦場の景色
8/8

傍観する大国

 統一暦600年 9月


        共和国首都ガリア


 この日、ベオグラードでの内戦の拡大を受けて、共和国にて首脳部会議が行われていた。


 『僅か二週間でここまで内戦が拡大するとは… これはまずいのではないかね?』


 『早急に介入の準備を始めるべきであります。南部交易路の維持を最優先して暫定ウィーン政府を支援すべきです。』


 『しかし資金援助などで効果はあるかね?』


 『やはり…武力介入しかあるまい』


 『どうやって国民に説明する!?もう一度ベオグラードのために死ねと?共和国民が?』


 『15年前のハンガリー防衛戦争から共和国では不干渉・非戦主義が蔓延しています。出兵をすれば選挙に響きますぞ。』


 『しかし、このままではベオグラード政府に注ぎ込んだ多額の支援金は水泡と消えるのだぞ。』


 『金と人、どっちが大事なのかね?』


 『そんな次元で話はしておらぬ。わしは大陸のパワーバランスをだな…』


 

 共和国大統領 アルベルト・サローは平行線をたどる論争を止めるべく、口を開いた。

 

 『きちんとした情報がなければ、議論することもできまいて。ラヴァル大将、はいりたまえ。』


 『失礼します。レオン・ラヴァル総司令官であります。』


 サローたちはラヴァルが総司令官にしては若いに関わらず、左目の眼帯が似合うほどの風格を携えていることに驚いた。しかし、そのことに触れることはこの会議の場において憚られた。


 『ラヴァル大将、早速だが我らに状況をご教授願えるかな?見ての通り、パニック状態でね。』


 ラヴァルは一瞬沈黙したが、すぐに気を取り直すと、

挿絵(By みてみん)

 『…はい。まずはこちらをご覧ください。これが現在の戦況です。鉄衛団はベオグラードで決起したのちに各地で同様または他の反乱軍が蜂起しオーストリア・ルーマニア王国は鎮圧に成功し、政府機能を保ってはいますが、ハンガリー・セルビア・クロアチア王国軍は壊滅し鉄衛団とハンガリー市民革命軍に占領されています。』

 


    モスコヴィーン連邦

         首都モスコー


 『では、反政府勢力が圧倒的に有利であると?』


 連邦評議会議長 アキム・パーニンはそう言った。しかし、


 『いえ、鉄衛団には勢いがありますが、正規軍は弱体化しているとはいえ15年前の戦争の経験もありますし、総数も多いです。』


 そうなのだ。なぜ鉄衛団はここまで鮮やかに短期間でクーデターを成功させてみせたのか。


 『共和国か?しかし…』


 『共和国にはクーデターを支援するメリットがあまりないと思います。打ち切ったとはいえベオグラードに援助していましたし、唯一挙げるとすればこれ以上の大国の存在を許さないためですが…』

 

 先ほどからパーニンの疑問に答えている、この男は若くして連邦評議会の外交・軍事においての右腕、国務委員会書記 ウラジミール・マレンコフである。彼は軍人ではなかったが、引き締まった体であり、ウォッカを毎日浴びるように飲む大酒のみであるのだが、そんなにはマレンコフの深いところに何か暗いものがあるとパーニンは思っていた。


 『ハンガリー市民革命軍を支援しますか?』

 

 マレンコフは支援をすることはないだろうと思っているようだった。実際に、ハンガリーと連邦の対立は深く国民感情が許さないことや、共和国と対立することを恐れているからだ。


 『ハンガリー侵攻のペナルティーにより我々に介入権はなく、状況は共和国へ委ねられた。こちらからアクションはしない。諸外国が関与してくるのなら対応策を打つ。』


 拡大したベオグラード内戦は、大陸に不穏な空気を漂わせ始めた。


 

 

 


 


   

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