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ギルバート兄様は女好きです

ーー数日後。


「ギルバートにいさま、おねがい」


アルバート様に伝授していただいた、胸の下でセクシーに腕を組み腰をくねらせる秘伝のポーズ。

これさえやれば男なんざ掌で転がりまくると言われたけれど、本当かしら。


「やだ」


効かない、だと…!?


「チッ」

「いやそのポーズのまま舌打ちするのやめて」

「色気が足りないのかしら…」

「リラエルはまだ十四歳だし妹だしねぇ。さすがに僕もそんなホイホイされないよ」


しかも君のお願いなんて怖そうだし聞きたくない、だなんて失礼な。

優雅にソファに腰掛けでにやにやしている。

イケメンでなければ気持ち悪い罪で通報ものだ。


これでも例の乙女ゲームでは攻略対象で人気キャラだったのだから世の中分からない。

普段にこにこ余裕顔で女好きが、だんだんとヒロインに一途になり振り回されるのが萌えたそうな。


私は宰相&第二王子推しだったからなぁ。


「ただ建国祭で私とルトと舞を踊ってくれるだけで良いんです」

「えー、めんどい。だるい。それに目立つじゃん。狙撃でもされたらどうするの」

「私が守りますから!」

「えー…」


悩んでいる様子の兄様。

これはあともうひと推し…!?



「ーーー今ここで頷いていただければ、兄様のタイプのご令嬢をご用意します!必ず!」


おっと気が急ぐあまりセールストークみたいになってしまった。

兄様はきらりと目を輝かせる。


「タイプのご令嬢?」

「えぇ!王女の権限を駆使してでも」


「のった」


ただし二つ約束を守ってもらう、と続ける。


一つ、君が僕を守る。

二つ、宰相の妹を連れてくる。


「宰相様の妹ーー?」

「いやぁ僕これでも王子だからさ、大抵の女の子とはお近づきになれるんだけどさ。この国の貴族で、話したことのないご令嬢って宰相の妹さんだけなんだよね〜」


ガード固くってさと笑う兄様。

この国の貴族で話したことのないご令嬢が宰相様の妹さんだけなことに驚けばいいのか、それとも宰相様のガード力を褒めるべきなのかよく分からない。


まぁ私の返答は一つしかない。


「わかりました…!必ずや宰相様の妹様とのお茶会を開きます」





バタン。

兄様の自室の扉を閉めた途端、ズキリと頭に鋭い痛みが走る。


『お前が、こんな目じゃなければ…!!』


兄様の今は亡き母君が目尻を吊り上げて、涙を流している。その涙で濡れた視線の先にはすやすや眠る三歳児くらいの男の子。

兄様の母君がその子の首に手を伸ばしてーー…。



「………姫様?」


映像が切れてパッと目を開けると、心配そうな顔をしたゼノ様がこちらを覗き込んでいた。

大丈夫です、と枯れそうな声で返事をする。


ーーあれは、ギルバート兄様の過去…?


兄様は、乙女ゲームで神子姫に、誰の魂と話したいと願ったのだったか……。



思い出そうとしても、頭はズキズキと痛むばかりだった。


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