表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/15

もう泣いていませんか






「ーーー最悪だ…」

「リラ!?無事か!??」


先程見た天井が映っている。

無事ではない。心は曇天だわ。

ゆっくり体を起こして、焦った顔をしている第二王子ルーベルトーールトの方を向く。



「…えぇ、気分は最悪だけどコンディションはバッチリよ。私はどれくらい気を失っていました?」

「5秒くらいだ」


あーまじでルーベルトだ。青髪に金の瞳。

何度も攻略したから間違えるはずもない。

転生したら好きだったゲームの世界、だなんて本当にあるのね。


「姫様、おやすみになられていた方がよろしいのでは…???」


ハルが心配そうに聞いてくる。

護衛騎士のジジは黙々と割れた花瓶を片付けていた。一度目の目覚め時の爆音の犯人じゃない?ハルも片付けないと、後でジジに叱られるよ??


大丈夫、と答えてルトに手渡されたショールを羽織る。


「目覚めて早々だが、」


ベッドの横の椅子にルトが腰掛ける。


「今回の下手人は、新しく雇った料理人だった」

「あら?新しく雇った方なんかいたかしら」

「急病人が出て、その代理で急遽雇ったんだと。申請が遅れた料理長も減給させる」


問題ないかとルトが視線を向けてくる。

もちろん異論はない。私は死んでいないし料理長まで死刑に処したくはない。

大きく頷いておいた。


「まぁ使用人に毒味をさせないお前にも非はあるからな。お前はもう少し王女という立場を自覚しろ」

「……あら、心配してくれたの?」

「し、ッてねーよ!!ふざけんな!」


親父が泣いてうぜーんだよとぶつぶつ言っている。

ツンデレ、ごちそうさまです。


「……で、お前に護衛をつけることにした」


護衛?騎士ならばジジがいるのに。


「騎士団長の息子との婚約が決まりそうだろ。こういう時は色んな方面から狙われやすい。親父ーー陛下と相談して、臨時で護衛を増やすことにした。ってか王女の護衛が一人の時点でおかしいんだがな」


「いらない。団長の御子息様にあげるわ」

「譲渡すな」


入れ、とルトが空いている扉の外へ声をかける。


「団長の御子息サマは鍛えてっから心配いらねーよ」

「あら、団長様」


ずっと控えていたのか、呼び掛けてからすぐに筋肉隆々のダンディな男が入ってきた。

騎士団長のアルバート様だ。


「姫様におかれましてはご機嫌麗しく?」

「まぁ、他人行儀ね。お義父様?」

「いいねぇ、息子しかいなかったから嬉しいよ。ただ、息子よりも俺の嫁さんになって欲しかったけど」

「ご冗談を。夫人に恨まれてしまいますわ」


夫人、の名を出すと、ニヤニヤしていた色男はさっと顔色を失った。恐妻の噂は本当らしい。


「まさか騎士団長様が直々に護衛してくださるわけではないのでしょう?」

「そうしたいのは山々なんだが、うちの若いやつで我慢してくれ。ーー入れ」


失礼します、と騎士らしく現れた彼に、私は目を奪われた。



「騎士団副長、ゼノ・ユーフェルです」



 

ーー脳裏に、泣き笑いしていた彼が見えた。







あまり進捗が良くなくケツ叩きのためにあげ始めたので、応援するよー面白いよーって方は評価やブクマをしていただけると励みになります!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ