監督ここって……。
実際にあった私が体験談した二つを披露させて頂くことにします。
・監督ここって……。
・あれ? みんな寝てるの?
・嬉野温泉へ向かう道中にはお気をつけて
以上3話となっております。
■一つ目のお話■
もう辞めてしまったが、以前、現場監督代理なる仕事をしていたことがある。
何故代理なのか? 当時は建築ラッシュで人手が足らず、現場工事が24時間体制で行われことも多く現場監督すらも寝る時間がな無かった為だ。
そんな訳で私は現場監督達の代わりに夜勤担当として業務を務めた。
突貫工事による粗悪な現場では、屋根が落ちそうになってきた百貨店などもあり凄く肝を冷やしたものだ。
さて、ようやくいくつかの現場をこなし身体も人間関係も慣れてきた頃のことである。
基本わたしは現場の作業員さんの見回りをしていた。
どんな仕事をしているのか覚える為でもあった。
深夜帯にもかかわらず作業に来てくれている人々に声を掛けてまわる。
何か問題があれば報告し私で手に負えない問題が発生すれば連絡しなくてはいけない。
今回の現場は山の上にある病院で近くにコンビニなどもなく。色々なものを持ち込んでいた。
夜勤なのでましなのだが、夏でもありその建物が各所にわたり締め切られていたので。昼の余熱がすごかった。
湿度も高くなり非常に暑い。なのでみんな休憩は地下室へと逃げるのだ。
地下室は流石にひんやりとしていて快適だった。
また一人の作業員がやってくる。
『ガラガラ』と氷が敷き詰められたクーラボックスから缶コーヒーを取り出し彼に手渡した。
「監督~ここって営業してるんですね?」
「えっどういうこと? 全改装だから一般人は居ないはずだけど?」
「僕がエレベーターに乗ろうとしたら出てきまして、すれ違ったんですよ~」
「そんなわけないじゃん~この病院の患者さんは全員移動済みだよ?」
「でもさっきパジャマを着た女の子に会いましたよ?」
「だめだって一般人立ち入り禁止、あぶないんだから~。
ほんとにいたの? どこ案内して」
そういって私はその作業員に案内を促しました。
彼に連れられ先ほど乗ってきたエレベーターを呼び、4階で降りると彼は右手を指さします。
「僕は左手からきて乗ろうとしたら空いたのでラッキーって入ったら、ふわーっと出てきたんですよ。
今にして思えば、あれ? 寒気がしてきた」
「で、反対側っていっても~トイレしかないんだけど……」
そこのあるのは女子トイレのみでした。
思い切って声を掛け入ってみるも誰もおらず。
その後、夜勤者全員に関係者以外を見かけたらすぐに報告するように伝えましたが、報告者は結局あらわれる事はありませんでした。