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4話



「ど、どうだったかしら私のオススメした店は」


「まあ、良いんじゃないか? 若干高めだが結構旨かった」


「そ、そう……」

 いや、なんでそこで落ち込むし、確かに高い場所は嫌だって言ったが、さっきの店は別に高すぎるって訳じゃないから問題ないってのに。

 

 俺達は今、夕食をとった後、のんびり街を歩いていた。視線の先には大きなお城が建っており、いわゆる城下町って奴なんだろう。


「そろそろ暗くなるし、ここんとこで解散しようぜ」


「そうね。その……また、会えるかしら」


「無理だろうな」

 別に言わなくて良いことをあえて言ってみた。シャルレは何となくだが貴族って事をよく理解していないように思える。だから今日知り合い仲良くなった平民と平気でまた会おうとする。

 貴族ってのは想像だがいろんなしがらみがあるもんだ。その一つに政略結婚がある。理由は様々で平和のため、お互いの利益のため、子孫をよりよくするため、まあ他にもあるんだろうけどな


 そんな貴族の嬢ちゃんが平民の男といたら変な噂で取引が無効、そういうのが起きる。


 俺も気が合うしまた会いたいっちゃ会いたいが……貴族の娘シャルレの事を思うなら俺から離れるべきだ。


「ど、どうして?」


「俺は別にこの街にずっといられる訳じゃない。各地を転々と旅をして来たんだ。今日この街に来たのは君と会ってしまったから。あくまでもイレギュラーに過ぎない。」


「……そ、そうよね。私なにか勘違いしてみたい……勝手に友達が出来たと思って、ちょっとした思いを抱いて……でもそれはシュウヤにとっては迷惑だったよね……ごめんな」

 少し言い過ぎたか、さっきの作り話もいらなかったかもしれない……。辛く泣きそうになりながらも笑って、そんな顔を見たくなくて……無意識に頭に手を置き、撫でていた。

 いきなりの事で目を見開くシャルレは子供のようで……本当の妹みたいに思えた。


「そこまでは言ってないだろ、ただ明日には街を出るからもう会えないってだけだ。それに……楽しくなけりゃ一緒になんて街まわんねえよ」


「っ!?……そ、そう……、あ、当たり前じゃない!私と街を回れるんだから嫌なわけ無いわよね!。私ばっかみたい!」


「また、気が向いたらこの街に来るよ」


「ほ、本当!? ならその時はまた、また街を回りましょう!案内したい場所いっぱいあるの!」

 しばらくはこの街を拠点のして生活するため……騙してるようで心が痛いが、我慢するしかない。この子のえなんだから


「ああ」


「そ、それじゃ、さよう……ううん、またね!シュウヤ」


「おう、またな。シャルレ」

 最後の会話を終え、シャルレは城のある方向へ……貴族街へ走っていった。今日はホントにいろいろな事があったと思う。異世界へ転移し、シャルレの裸を見て、シャルレの魔法やスキルを模倣コピーし、その力でシャルレと共闘し、フレイムトータスとかいう亀を倒して。街へ行くと、傭兵登録をして、その途中で受付嬢を泣かせてギルマス呼ばせて、結構な金を得て、シャルレと食事をし街を回った。


 改めて思い返すとシャルレの事ばかりである。その事に思わず笑い。シャルレが見えなくなってから来た道を戻ろうとした。


「まあ、転移してから殆どシャルレといたから仕方ないか」


「見付けたぞ!」


「え?」

 街角の影から数人の騎士達がそう言い、俺を取り囲んだ。どうなってる? なんで俺が騎士に囲まれるような事になった?。その騎士達の中には門番をしていた騎士もおり……


「な、なんかようっすか?」


「しらばっくれるな! よくも王女様を誘拐してくれたな! その行為万死にあたいする!」


「お、王女!? 俺はそんな奴といた覚えないぞ!」


「お、王女様をやつ呼ばわりだと!?……無礼な!!。っとそんな事は置いておこう、今先ほどまで一緒にいたではないか!」

 まさか……シャルレが王女ってのか? ああ、だからか……だからあんなに無知だったのか。そりゃあ王女なら政略結婚とか無いだろうし、気にしないだろう


「シャルレ……様の事か?。それなら門番をしていたお前なら分かるだろ?。俺はシャルレを誘拐なんかしてない」


「ああ、見ていたさ嫌がる王女を無理矢理背に担ぎ、王女を盾にして街に入るのをな!」


「なっ!?……」

 はあ!?何言ってんだよコイツ、そもそも俺が街に入れたのはシャルレが脅したからだろ。それになんで俺がシャルレを誘拐しなきゃ何ねえんだよ。そこまで考えたとこで気付いた。コイツ等が笑っている事に、本当に俺を誘拐犯だと思ってるなら普通は笑わない事に


「まさか……でっち上げの罪を俺に……」

 それを言うと同時にコイツ等の笑みに残虐さが滲み出てるように深く笑う。それが「正解だ」と分かる。目的は金か?

 民間の人達は物珍しそうに俺達を見詰めていた。そりゃあそうだろう、みすぼらしい格好の俺に騎士達取り囲んでるんだから


「姫様を誘拐した罪万死に値する!!そやつを捕獲するぞ!!」


「「「イエス、サー」」」

 わざわざ俺に、いや見ている人々に言い聞かせるように大声で言う騎士達。人々はギョッとした目で俺に視線を向け、納得したような顔をする。

 中には「良いぞ。罪人を叩きのめせ」とかいう酒飲みもいた


「そう言う手には生憎と乗る性根は持っていなくてな。お前らが剣を抜くなら俺も抜かせてもらおう。

 ちょっと格好つけてシャルレから貰った白銀の剣を抜剣した。返すと言ったが量産品だし気にしないわ。との事なので遠慮なく貰っておいた。


「我々騎士に歯向かう気か?、バカめ、余計貴様の罪が増えるだけだ!おとなしく捕まれ!」


「嫌だね!、冤罪をわざと作って自分の金を得る騎士(失笑)の言うことなんて聴くかよ!」

 「捕まれ!」の合図で取り囲んできた10人の騎士がいっせいに襲い掛かってきた。俺が持つ剣術スキルが導くように剣を振るい、十人の猛攻をさばいていく。残念ながらこの剣術じゃ十人を相手しきれないようで……




「はあはあ、、やっと捕まったか」


「離せよ!」

 あっけなく捕まった。当然と言えばと当然だが剣術スキルをえているとはいえプロと素人が戦えば素人である俺が負けるのは当たり前だ。しかも相手は複数人。

 周りは喝采で溢れ、賑やかだ。冤罪だと知らずに


「なあ、お前らはこんな事までして金が欲しいのか」


「は? 何言ってるんだ? 俺達はただ単に楽しみたいだけだ。拷問をな」


「……」

 周囲に聞こえないように言われた言葉は予想の斜め上をいっていた。拷問?マジかよ、って事は今から俺は……クソが!!、なんでこうなるんだよ!俺が何かしたかよ!ああ、分かってる。俺は何もしてないんだ。ただこいつらの標的になっちまった。それだけだ。


「さあ、行こうぜパーティーにな。まあ、お前にとっては死ぬ方がよっぽどマシなほどの地獄だろうがな」





☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆





 シュウヤと別れ家に戻った私の目に移ったのは家を取り囲むかのように警備している騎士達だった。確かに門の前にはずっと二人の騎士が交代交代門番をしているが今は少し見ただけでも十人を超えている

 確かに騎士にバレないようにこっそり家を出たけど、いつもは何も変わらずだし、お母さんには今日はどこに言ってたの?と聞かれるぐらいだ。


 なのに……


 家に入ろうと騎士達のとこへ行くと



「「「姫様!!」」」


「何!!……おお、姫様!よくぞご無事で」

 騎士達はこぞって私を呼び、その騎士達の声が聞こえたのか騎士達をかき分けながら、騎士隊長であるガイウスが出てきて。喜びの涙を流す。


「ガイウス、ど、どうかしたの!?」


「どうかしたの、ではありません!!姫様は今まで誘拐されていたのですよ!!」


「はあぁ!?」

 ゆ、誘拐って……さっきまで普通にシュウヤと街を歩いていただけじゃない。なのになんで誘拐とか大事になるのよ。そりゃ、シュウヤは髪とかボサボサで若干異臭がしたけど。犯罪者扱いされるほど酷くは無かったし


「私、誘拐なんt……」


「私達騎士にとって一生の不覚です。思い出すのも辛いでしょう。さあ、早くお屋敷の中へ」


「ちょっ、ガイウス!? 話しを聞きなさい」

 私を家に誘うガイウスは私の話しを聞こうとせず「良いのです。分かっていますから」と言うだけだった。本当にどうなってるの!?

 

 ガイウスと一緒に家に入ると玄関には騎士団長のルティウスとお母さんとお父さんがいた、三人とも難しい顔をしており、重っ苦しい話しでもしていたようだ。


「団長、姫様を無事保護いたしました。」


「おお!!シャルロット!!無事だったか!!」


「無事も何もないわy……いきなり、抱きつこうとしてんじゃ無いわよ!?」

 抱擁しようと両腕を開き迫ってくるお父さん(変質者)を回し蹴りで顔の側面にあて吹き飛ばした。蹴り飛ばされたお父さんは「何故だ……」とかほざいてるけど、年頃の娘に気軽に抱きつこうとしたんだから当たり前の結果である。


「お母さん!、いったい何があったの? 家の周りは騎士でいっぱいだし、ガイウスは私が誘拐されていたとか言うし」


「さっきね、誘拐されていた姫様を救出して逃がしたっていう警備兵からの連絡があったの」


「なんでそんな事なるわけ!?私、誘拐なんt……」


「良いのよ無理して隠さなくても、さあ、部屋に戻ってゆっくり休みなさい」

 何故か誰も話を聞いてくれない。お母さんに私室まで背中を押された私は途方に暮れた。何がどうなってこんな事態が起きてるか全く分からない。


「はぁ……いったい何なのよ。」

 多分、いや確実にしばらくは外出禁止になることを思うと嫌気がさしてくる。私もシュウヤみたいに旅人になれたら、そんな事が頭に過ぎるが……私はこの国の第一王女。王位継承候補第一位である。そんな勝手が許されるはずがない


「シュウヤ、今度はいつ会えるのかしら」

 一方その頃でシュウヤが自分を誘拐した犯人として捕まっている事に気付かず、思いをはせて呟くのだった。


 この時に気付いていれば結果(みらい)は変わっていたのかもしれない。今の現状でもシャルロットは気付くことが出来ていた。自分が誘拐されていたと周りが騒ぎ立て、困惑していたから。いったい誰が自分を誘拐したかを考えなかった。


 だから、転移初日でシュウヤは地獄を見る。死ぬ方が楽なほどの地獄を



 この事はシュウヤもシャルロットも気付かない。永遠と




なんか話しを飛ばしすぎたかもしれない……


子供が誘拐された時。人はその真相を子供には聞かない。言わせない。誘拐の事を思い出させてしまうから。それが王女となれば異常なほどに効果が倍増し、一切喋らせない。


と、そんな感じに何も言えなかったシャルロットであった(まる)


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