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1話


「やっと帰れる」

 そう誰にいうでもなく呟いたのは黒髪の青年。髪は何日も風呂に入ってないかのようにぼさぼさで(実際に1週間ぐらい入っていなかったりする)、身長は170ぐらい、顔は少し整ってはいるが普通の域を出ない。

 まあ、そんな感じのごくごく普通(?)の少年だ。今いる場所が山の奥底でなければの話だが


「ったく、なんでいきなり1週間もどこかわからん、山に持ち物無しでサバイバルさせるかね?俺の親父殿は」

 最後変な口調になったがそれは置いておいて。1週間前、夏休みに入る前の最後の下校中、バカ高いギンギラの車に乗ってやって来た父親(父親と思いたくないが実の父親)が「ひっさしぶりだなぁ、ところで前にサバイバル教えたよな? ってな訳で夏休みの1週間、サバイバルしてこい」

 と言い、指をパチンと鳴らすとデカイ車から黒服の男が3人降りてきて俺を強制的に車にいれ(拉致し)山に放り込まれた。

 うん、自分で思い返していて意味不だわ……んま、そういうわけで1週間ガチでサバイバルしたわけだが(死にたくないので)……いったいどうやって俺は帰るのだろうか?……


「はあ……」

 さすがにこれじゃため息以外出ない……、地獄のサバイバル1週間が終わり、緊張していた気を許していた。今いる場所はサバイバル中にずっと寝床として使用していた場所なので人間の臭いが付き普通なら動物は絶対によってこなからだ。


「ッ!?………」

 だが、それは普通・・ならの話だった。気を緩めていた俺は突然背後から聞こえた茂みが擦れる音に体が固まった。恐る恐る後ろに振り替えると……熊がいた。胸には白い月型の模様がなく、どうやらヒグマらしい


「お、俺、北海道にいるのかよ……」

 そんなどうでもいいこと言いながら俺は対処法を考える。だが、多分生きて帰れない。それだけは分かった。1週間も寝床にしていた場所には俺の臭いが染み付いている。だから捕食しようと来る奴以外は当然立ち去る。触らぬ神に祟りなしってのは生物界でも一緒だからな


「………」

 詰んでる。ゆっくりと後ろに下がり、逃げようとしたが下がった分ヒグマも近づいてくる。そして……足を踏み外した。大きな段差出はなかった。実際に俺もその段差に付いてはしっていたし、何度もその段差を通ってる。だが今回はその段差に気を使う余裕がなかった。


 その結果俺は後ろに倒れるように落ちていき、狩るチャンスだとヒグマも理解したのだろう、声を荒げながら飛び掛かってくる。死んだ。それだけが意識を巡り、来るであろう痛みに耐えるため……いや、怖いため目を瞑った。


 



 倒れる少年の下にあるはずのない魔法陣があるとは知らずに






☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆





「っ痛って………え?」

 来るであろう死の痛み、だが感じたのは想像していた痛みに比べればちっぽけな物で固い地面に尻餅をついた程度であった。目を開けると先程までいたヒグマが居らず、山の雰囲気も大分変わっていた。

 立ち上がりながら尻についたじめっとした土を払い、混乱する頭で考え、さらに混乱させた。


「どう……なってんだ?」

 分かる事だけを言うと、目を瞑っている間にヒグマ……いや、俺がいた場所事態が変わっている。それだけだ。

 なんでこんな状況になったかは分からないが命が助かった。それだけで安心できる。


「それにしても……なんでこんなに静かなんだ?」

 気温は寒くもなく暑くもない、湿度が高いせいでじめっとするが……虫や鳥が静かになる感じではなかった。なのに恐ろしい程に辺り一帯は静かで……まるで悪魔が眠っているかのようだ。

 


 太陽もあまり射し込んでおらず、暗い山道を歩いていると遠くに光が見えた。少なくてもこんな何が起きるかも分からない場所から出られる。そう思った俺は走って光源へと向かった。



 綺麗


 それ以外の感想が出てこなかった。光る場所へ行くと透き通り太陽の光を反射する湖があり……銀髪の髪をした美しい曲線美を描く裸体を露にした女性がいた。


「きゃ……」


「きゃ?」


「キャアアアアアアアアッッ!??」

 当然の反応だった。水浴びをしている最中にいきなり男が乱入してきて自分の体を見て固まっているのだから。だけど、だけどもだ! 誰だって光源に行ったら|光源(裸の女性)があるとは思わんだろう……


 女性は自分の体を隠すようにふくやかな胸を手で抑え、水の中に顔以外を沈めた。だが嬉かな水は底が見えるほど透き通っており、隠せてはおらず手によって押さえ付けられた胸は窮屈そうにしていた。


「あー、えっと……その、ご馳走さまでした?」


「見るな痴漢!失せろおおお」

 当然のように女性は綺麗な顔を憤怒の形相に変え、手のひらから炎を飛ばしてきた。その炎は真っ直ぐ俺へと向かってきて、間一髪避けた俺は通り過ぎた炎を目で追い、途中で消えたことを確認した。

 どうなってんだ? なんでいきなり火が俺に飛んできた?  それに



スキル『模倣コピー』でファイアの魔法をコピーしました。現時点でコピースロットに枠が開いているため、この魔法をコピースロットに入れます。



 と文字が目の前に浮かび上がった。手で掴もうとしても掴めず、消そうと思ったら消えた。俺は慌ててもう一度見ようとしたら今度は



竹内秋夜

Lv1

MP100/100

コピースロット

1:サバイバル

2:ファイア

3:空欄




 と浮かび上がった。もう一度消したいと思うと消え、見たいと思うと浮かび上がる。これがなんなのかある程度思い付く、スキルウィンドウだ。そして魔法と書かれている事からさっきの火は魔法によって産み出された物で……つまり俺がいた世界は魔法とか空想の物で、んで俺はさっき魔法をみた


「え……俺、異世界にでも来たの?」

 だとすると……この模倣コピーって奴が俺のチート能力なのか? だとしたらショボすぎないか……なんでドバーンな格好良いスキルじゃなくて相手のスキル真似るセコいスキルなんだよ……、ん? でも異世界ここに来たときに得たスキルならなんでサバイバルがあるんだ?……俺のサバイバル術は来る前に会得した奴だぞ……だとしたら? 今まで俺が要領よく生きてこれたのってスキルのせいなわけ!?


「あの……もしもーし、大丈夫ですかー」

 でも、まあそれは今どうでも良いか……でもなぁ、スキルがコピーってほんと微妙だよなぁ、そりゃコピーの能力が結構なチートだって俺だって知ってるぜ?、でも俺だけが持つスキルっていうの欲しいよなぁ、え?模倣コピーっていうスキル事態がオリジナルって?……そうだけど!そうだけども!なんか違うんだよ!


 そういや、あの女性はどうしてr………


「うわっ!?……あんた何してんだ!」


「何って、あんたがいきなり固まってるから心配してたんじゃない」


「って……なんだ、服来てるのか……はぁ」

 顔を横に向けると近くにさっきの女性の顔が度アップで表示された。どうやら俺が考え込んでいる間にそそくさと服と鎧を着てたみたいだ。くっ!!美少女の生着替え見たかった!


「はぁ……じゃないわよ!目の前に男がいて裸のままでいるわけないでしょ!、というか私の体を見ておいて言うのが「ご馳走さまでした」ってなによ!」


「申し訳ありませんでした!」

 即座に土下座を決め込んだ。 あれ? でもこんな所で水浴びをしてる時点で覗かれる可能性があったわけで、別に俺だけのせいじゃないような……



「……べ、別にそこまでしろとは言ってないわよ……こんな所で水浴びしてた私も悪いわけだし」


「そ、そうですよね。今回の場合僕悪くないですよね!見たくて見た訳じゃないですし、むしろ勝手に見せてきて魔法撃たれた訳ですし……ひっ」


「へえ……それじゃあ私の体なんて見たくなかったと?、そう言いたいんですか? ならその記憶今すぐ消してあげましょうか? 勿論物理で」

 


い、いや、そこm……なんか来る!?



「ッ!?」


「ちょっ、何すんのよ!キャッ!?」

 俺は女性に体当たりするように倒れた。別に押したすとかそういう目的でもなく、そもそも怪我させないために倒れる瞬間に俺が下に行くようにしたし。

 ってそんな事はどうでもよくて、さっきまで居た位置を通り過ぎるように二つの火炎が通過し、水面に辺り水蒸気をあげながら消えた。


「いったいなんなわけ?、さっきは私の体なんてどうでm……ありがとう、どうやら助けられたみたいね」


「どういたしまして、というか早く退いてくれないか?重くはないが動きづらい」

 女性が俺の上から退くと俺は立ち上がりながら火炎を放ってきた奴を睨み付ける。体高はおよそ1メートル、横幅が70センチぐらいか? 全身を鋼のような鱗で纏い、胴体を覆うように山状の甲羅を持つ亀

 そんな亀が口から火炎が出るとは思わないが……現に今、口から炎溢れだしている


「フレイムトータスね……本来はこんな所に生息しているわけないんだけど……」


「じゃあ、なんでいるんだよ!」


「フレイムトータスの幼体は貴族のペットに人気なのよ」


「なるほど、んで成長したせいで扱いきれなくなったどっか貴族バカがここの放したのか」


「そう考えるのが妥当ね」

 さて、問題は俺達にあの亀を倒せる手段があるか、だな。逃げるにしても足場が水場のせいで速度が出せない、誰かが劣り役になる必要があるだろうな


「なあ、あんた、あの亀倒す手段はあるか?」


「無いわね、少なくとも今は」


「そうかい、なら」

 異世界転移によって助かった命、ここで散らすのは勿体ないが……仕方無い。見惚れる程の裸体見せて貰ったんだ。悔いはない。本来ならもう無くなってる命だしな


「あんたは逃げろ、俺が劣りになる」


「勝てる見込みあるの?」


「あるわけねえだろ、丸腰だぜ? んま、今までの人生楽しくもなかったが……最後にあんたの身体見れて良かったよ」


「なっ//」

 最後にどうでも良いことを伝え、亀へと突撃した。放たれる火炎は全て俺の元へと向かってくる、それを水の中に体を沈める事で避けた。後ろを見てみると女性は水に潜り、遠くに行ってるのが見えた。


「これでよし」

 水面に目掛けて飛んでくる火炎を今度は横に飛び避ける、水に使っていたため服が重く足に炎がかすり、火傷を負うが気にしない、どうせ散る命だ、足掻かせてもらおう……逃げる時間も稼げるしな


 怪我をした足が水に浸かり、鋭い痛みを感じるが我慢して亀へと前進する。











主人公が地味に狂人扱いですね、はい。持ち物一切なしに高校生が山でサバイバル、しかも一週間も。私なら初日で死んでいそうです。


まあ、そんな事が起きないように過ごしていますが(当たり前)



最後に誤字脱字等ございましたら○○ページの○○てきな感じで報告してくださると助かります。

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