主人公外(2)~セルステアの居場所~
「ボクにはもう……助ける術さらないよ……なんか、逃げてるよね…ハハ……」
セルステアが冷酷に笑う。それは笑いに聞こえなく、さらに干枯していた。
「ちがう……ちがう!!!」
すべてを振り払うように、セルステアは首を振る。
そしてダッシュ。れいなのいた場所に戻る。
「れいな様!!!でも……『やめて』」
セルステアの言葉をれいなは遮る。
『そんなに聞きたいなら大魔王さくらのところにいきなさいよ!!!』
「えっと、さくらさんですか?」
『は?大魔王さくらよ。』
そこまで聞いて、やっと理解する。
「あー、苗字ですか。」『そうよ。ここは静かなの。壊してほしくないの』
それかられいなは続ける。
『30年前に封印されていたのよ、さくら様は。だから、覚醒しているかどうかはわからないけれど……』
ここまで聞いて、セルステアはとうとう耐えられなくなった。
「どうせ誰も手伝ってくれないんだ!!!もう一人で戦いに行く!!!」
最初は仕事をしながら聞いていたれいなだが、あとまで聞くと動揺した。
『ち、ちょ。坂ノ橋神奈とは危ないわ!!!ま、待ちなさいっ!?』
と、言うが。セルステアはもう数十メートル先。すると、包帯で髪を結んでいる赤髪の少女。
「あんた……」
『すっ、すみません!!大変申し訳……』
そこからもうセルステアには聞こえはしなかった。
『クリスタル……ボクを殺して……そうすることしか……できないから』
最高速で走りながら、つぶやく。もうセルステアには死の覚悟はできている。
―――――――ピシッ
何かが壊れた。赤髪の少女はダッシュし、セルステアの跡を追う。何が起こっているのか、まだ誰も知る由はない。
ある洞窟。パリンと小さな音。
[やっとだ……やっと……
悪魔の使いよ―――――――私の力を戻せ
眠りし力――――――――――――――――――――今解き放て]
洞窟の中の少女……。
そう、彼女が
―――――――――――――――――――――――――――――――大魔王さくら。
そして、包帯で髪を結んだ少女。彼女は……
―――――――――……
まだその名を言ってはいけない。恐くて言えない、そんな緊張感が迫るときまで待とう。
魔王よりも、小悪魔よりも、大魔王よりも……
神王よりも、常に皆が恐れる存在。。。
さぁ、彼女が……いつかの時、第二の主人公となることを……覚えておくとよい。
――――――――赤いジャケット、中身は黒い服、赤と黒のチェックスカート……襟付きの黒いマント。青い靴下にスニーカー。
見た目は普通の彼女が、果たしてどんなことを引き起こすのか――――――――。




