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異世界で用心棒   作者: 鈴ノ木
35/49

參拾伍




 「そうですね、・・・私は、これ迄の地方領主達に対するアレイアス王子の行いや、ガーディン教やそれに操られている王家の行いから、アレイアス王子が反旗を翻し兵を起こせば、私の希望的観測としてある程度の数の地方領主がアレイアス王子に加勢してくれると思っていました。」

 ・・・・。

「そうではないと?」

 「貴方も一領地を預かる者ならばわかるでしょう、アラン。・・・一二度助けてもらった程度で大切な部下や兵、悪くすれば領民にまで危険が及ぶような行動を、そんなに簡単にとれますか?」

 「んっ、それは・・・」

 「バサルディン侯爵は得られた情報から、領主の中には余程の大恩でも感じていて、アレイアス王子と心中してもいいと思っている者が、名も地位も捨て単身加勢に来る者はいるかも知れないが、領主として領主軍を率いて来るには最低でも自分達が加勢さえすればアレイアス王子の勝利が確信できるという状況にでもなければ、殆どの領主は加勢に二の足を踏むと判断したのです。」

と、リサナは言い、「ですよね?」と、バサルディン侯爵に目を向ける。

 「まぁ、そんなところです。」

 ・・・・。

「ですが、アレイアス王子には一国の軍にも匹敵する世界最強と言われるリサナ様が付いているではないですか。」

 「確かに、リサナ殿ならば今王都にいる五〇〇〇人の王国軍を相手にしても楽に勝てるでしょう。そして、領主達もリサナ殿の強さは知っています。」

 「ならば・・・」

 「では何故、そんな黒衣の魔女リサナがついているアレイアス王子は、他の地方領主達に援軍を求めるのですか?」

 「うっ、それは・・・」

 「裏事情を知らない領主達にそんな疑問が涌いた時、ウラヌス王の守護役が来て、その異邦人の力を示し、「ウラヌス王には五人の守護役がいる」と宣言したとしたら、領主達はどう考えるでしょうか?」

 「そ、それは!?」

 「リサナ殿の強さは、この世界の者達では計り知れないほど強大です。異邦人の力を有している者達の力に関しても同じことが言えます。たとえリサナ殿の力よりも弱かったとしても、「黒衣の魔女と同等」と言われれば、殆どの者がそれぞれを比べたことがないのだから、その言い分を信じなかったとしても警戒せざるを得ないでしょう。そうなれば地方領主達の判断材料となる、リサナ殿を擁しているアレイアス王子側の優位性は薄れ、アレイアス王子側の約五倍の兵力を持ち王の守護役五人を有する現王家側の優位性が意識されるでしょう。」

 「ぬっ、なるほど・・・。」


 アランは気持ちでは納得出来ないような表情をしながら、それでもバサルディン侯爵の話に反論できず納得するしかなかった。

 バサルディン侯爵はアランを論破したことに何の感情も示さずお茶に口をつけた。


 「では、何故貴方は私達に協力することにしたのですか?」

と、楽しそうに微笑みながらリサナが尋ねる。


 「いい質問ですね。」

と、バサルディン侯爵も微笑みながら応え、

「貴女の戦う姿をもう一度この目に焼き付けておきたいのですよイテテテテ・・・」

と言い終わると同時に、隣に座るミシャに頬をツネリ上げられる。

 「・・・ひょ、ひょうだん、ひょうだんではなひは。」

 「いえ、半分は本気でしょ、貴方。」

と、ミシャは怒りのこもった笑顔で言い、

「物資の輸送は私が指揮します。貴方はここで大人しくしていなさい!」

と命じる。

 「そんな・・・」

と、バサルディン侯爵は反論しようとするが、

「な!に!か?!」

と、ミシャの眼光が更に鋭くなる。

 「・・・いえ、何でもありません。」

と、バサルディン侯爵はそのミシャの眼光に身を丸めて反論を飲み込んだ。


 ・・・先程までの饒舌は何処へいった?・・・完全に尻に敷かれてるなぁ・・・


 コホン、「お見苦しいところをお見せしました。」

と、少しするとバサルディン侯爵は気を取り直し、

「先程の、リサナ殿の質問ですが・・・」

と、笑みを浮かべて答える。

 「アレイアス王子とリサナ殿が森に逃げ込んだという情報を得た時点で、私も残念ながら、あなた方が生きて再びこのウラヌス王国の地を踏むことは無いだろうと思っていました。ところが、つい此間リサナ殿がアスティース公爵領に戻って来たというではありませんか。しかも、地の精獸様を引き連れて。・・・また、これは未確認の情報ですが、あなた方を追っていた筈の者達が数人、あなた方に付いたという情報も今朝がた早くに届きました。それが本当ならば、恐らく王家の者等に掛けられたガーディン教の呪縛を解く何らかの方法をあなた方が得たことになり、また、少なくともメンドゥサ王女以下九人の異邦人の力を使える者達がアレイアス王子に付いたということになります。となれば、間違いなく形勢はアレイアス王子側に傾くでしょう。ならば、アレイアス王子に付かないという理由が無くなったわけです。」

 「なるほど、・・・流石はバサルディン侯爵ですね。」

 「お褒めの言葉、恐れ入ります。ですが、リサナ殿、まだ何か隠し玉をお持ちのようですね。」

と、バサルディン侯爵は探るような目付きでリサナを見る。

 「さて?何の事でしょう?」

と、リサナは楽しそうに応える。

 「リサナ殿がこの館に着く直前に、王都から来た情報なのですが・・・何時何処から入ったのか見知らぬ冒険者二人組みがアレイアス王子派の者達と接触を取ろうとしている、という情報が舞い込んできたのですよ。恐らくアマノハラ王国の特使一行を利用して王都に入り込んだのではないかと私は踏んでいるのですがね。この二人組みの冒険者というのはリサナ殿の手の者なのではないのですか?」

 「さて、どうでしょうね。・・・・アマノハラ王国の間者とは考えられませんか?」

 「それは無いですね。アマノハラ王国の特使が王都に入ったのとほぼ同じ時にこの者達は姿を現しているようですからね。あのアマノハラ王国の先代女王が一つ間違えれば自分達に不利になるような事をするとは思えません。」

 ふふふ、「そうですか?」


 バサルディン侯爵の問い掛けに、リサナは楽しげにハッキリとしない返事を返すだけだった。




 王都のとある場所の地下室で、複数人の男達が集まり顔を付き合わせ相談をしていた。

 「城内に潜伏している我らの同志からの情報だと、今日の午前中アスティース公爵領を攻めていた者達が敗れて王都に戻ってきたという事だ。」

 「うむ、王都内にいる者達複数人からもメンドゥサ王女の近衛部隊とグラン伯の私設騎士団が慌てたように王城に向かっていくのを目撃したとの報告も上がってきている。」

 ・・・・。

「たしか、フランとタナトスがリサナ様から依頼を受けたという冒険者風の者達がこの王都に入り込んできているという報告を持ってきていたな。」

 「ああ、俺たちアレイアス王子派の者達を探しているという事だった。」

 「その二人信用できるのか?」

 「フランとタナトスによると信用はできるとの事だった。」

 ・・・・。

「ふむ、アスティース公爵領領都奪還軍の敗走とリサナ様から依頼を受けたという冒険者風の者達、何か繋がりが有るか・・・・一度合ってみる必要があるな。」

 「リサナ様が見込んだ者なら、かなりの手練れとみていいだろうが、一度その腕をみておく必要も有るだろう。」

 「女の方はフランとタナトスの知り合いで普通の冒険者らしい。男の方はかなりの場数は踏んでいるようだが、力は未確認だそうだ。」

 「ならば、俺がそいつに接触する。その序でに腕試しもしてこよう。」

 「ああ、魔闘技の使い手の貴方なら、相手の腕を見るにはいいでしょう。私も付き合いますよ。」


 その男達の中では中肉中背ではあるが存在感が半端ない男が、アレイアス王子派かれらを探しているという男の腕試しをかって出た。と同時に、その隣に座る眼鏡を掛けた優男も同行することを申し出る。




 大介とティアは日が暮れ始めた頃、ホテル[ユリシズ]へと戻って来た。

 そして、ホテルの女将フランに部屋食を頼み料金を払うと二階の自分達の部屋へと向かう。


 「今日は王都の北側、商業街の1/3と一般住宅街の1/4を廻りましたから明日は東側を重点的に廻りましょう。王都の東側は職人街が中心の町並みとなっています。」

 「そうか、じゃあ今日は食事をしたら早く寝て、明日朝一番でホテルを出よう。」

 「そうですね、出来るだけ王都の地理は頭に入れておいた方がいいでしょうから。」


 等と明日の予定を大介とティアが話し合っていると、コンコンとドアをノックする音と共に、「食事を持ってきたよ。」と、フランの声が聞こえてきた。


 「あ、はい。今開けます。」

と言って、ティアがドアを開けると、何時ものように、「ほい、邪魔するよ。」と、フランとその娘のリルカが部屋に入ってくる。

 フランとリルカは食事の準備を手早く済ませると、「ごゆっくり。」と言って、部屋を出ていこうとして、「ああ、そうそう。」と、何処と無くわざとらしい態度で、「さっき子供に、赤髪のおじちゃんにこれを渡して、と頼まれたんだった。」と言って、四つに折られた紙を大介に手渡す。


 「それじゃあ、今度こそごゆっくり。」

と言いながら、ウインクをしてフランは部屋を出ていった。


 「何ですか?それ。」

 「ん?ああ、夜会の招待状のようだ。」


 その紙には、地図が書いてあり、その一点にⅩ印に矢印があり〈二日後の日暮れ頃、ここに、男一人で来い〉と記してあった。


 ・・・これは、フランの態度から見てアレイアス王子派の者達からの招待状だと思うが・・・さて、現状どうしたものか・・・それなりの距離を置いて複数人の監視者がいる状態で、俺の異邦人の里と繋がる杖を持ち、アマノハラ王国の監視者が守りについていてくれるとはいえ、ティアと別行動をとるのはリスクが高過ぎる気がするが・・・


と、大介が悩んでいると、

「大介さん、私は大丈夫です。何かあったら大介さんの杖でインドーラを呼びますから。」

と言って、ティアは大介に対して微笑む。


 ・・・・。

「そうか、分かった。・・・一応用心の為、タナトスの所で待っていてくれるか?」

 ・・・。

「わかりました。」

 ・・・。

「だが何故ティアを同伴してはいかんのか理由が分からんな。」

 「そうですね、・・・恐らくですが、大介さん個人の力を見たいのでしょう。もしかしたら、私が加勢するのを避けるためなのかもしれません。」

 「なるほど、俺の分が悪くなったとき、ティアが居たら魔法で加勢され、俺個人の実力を計れない。と、そう考えたのか・・・随分と舐められたものだな。」

 「仕方がないですよ。今、大介さんは全ての力を封じているのでしょ?」

 「いや、封じているわけでなく、表に出していないという表現の方が正しいな。」

 「どういう事です?」

 「そうだな、気に関してはこの世界でも同じだと思うが自分の気を体内で高め纏若しくは放出して使う。その為、平常は必要以上に気を高めたりしないから、一般の者達とほとんど変わらない。気が充実しているしていないで、多少は違いが出るが、それでもよっぽどでない限りは周りの者達が感じるのは微々たるものだ。対して、闘神気は前に高次の闘気だと言ったが、インドーラによると神力だという事だが、体内というよりもっと、何て言うのかな、魂というか精神というか、その奥の方に門があってそこから引き出す感じかな?だから、俺が闘神気を使おうと思わない限りは、平常は闘神気が表に出てくることは無い。その為、一般の者達には何も感じられないだろう。」

 「そうなんですか?私にはよく分かりませんが・・・。」

 「まぁ、そうだろうな。俺も使うことの出来ない魔法のことはやく分からんからな。」


 大介とティアは、今後の事などを話ながら食事を済ませると、ティアが何故か少し恥ずかしそうにしながら躊躇いがちに口を開く。


 「大介さん、最近涼しくなってきているとはいえ、その、汗はかきますので今日は女将さんに言ってお湯を貰おうと思うのですがいかがでしょう?」

 「そうだな、この王都に来てから風呂に入って無かったからな・・・王都ここには公衆浴場は無いのか?」

 「ええ、以前はあったのですが、ガーディン教に神官の斎戒さいかいの為の沐浴場として接収されてしまったそうです。」

 「そうか、・・・ならば仕方がないな。」

 「はい。・・・それでは、女将さんに言って持ってきてもらいますね。」



 「お湯、持ってきたよ。」


 ティアがフロントまで女将さんにお湯を頼みに行って暫くした頃、女将のフランと娘のリルカがお湯の入った桶二つとタオルを四枚、何かの木の実が二つに柄杓を二つ、そして人が一人入れるくらいの大きさの桶を一つ、それらを二回に分けて持ってきた。


 「使い終わったら、廊下に出しておいとくれ。」

と、フランが言うと、

「二人とも今晩はお楽しみね。」

と、リルカは口に手を当て楽しそうに言い、

「お前は余計な事を言わなくていいんだよ。」

と、フランに頭を小突かれていた。


 ティアはそのリルカの言葉に反応し顔を赤らめ恥ずかしそうに俯いてしまう。


 「二人とも邪魔したね。」

と言うと、フランは食器を片付けリルカを押し出すようにして部屋を出て行った。


 「それじゃあ、俺も部屋の外に出ているから。」

と言って、大介が部屋を出ていこうとすると、

「大介さん、待ってください!」

と言って、ティアが大介の服を掴み、

「その、私と大介さんは夫婦ということになっています。で、ですので、・・・その、夫婦は一緒に背中を流しあうものです。なので、で、出ていかないでください!」

と、顔を茹でダコのように真っ赤にして、俯きつつ声を裏返しながら言う。


 ティアは大介と素っ裸で何度か一緒に寝たり、風呂に入ったりしていた。が、大抵、酔っ払っていたかメルティスと張り合ってやっていたことなので、意識が紛らわされ余り恥ずかしさを感じることは無かった。が、今は素面しらふな上、意識を紛らわせるような張り合う者がいない。今は素面で大介と二人っきり、大介を意識するなと言うほうが無理である。


 大介は、はぁっ、と一つ息を吐き、そんなティアの頭にポンと手を置くと、「分かった。」と、一言応えた。


 その大介の返事を聞くと、ティアは顔を上げパァッと嬉しそうな顔をして、

「それじゃあ、大介さんの体を先に洗いましょう。」

と言って、無心に大介の服を脱がしだす。というか、頭に血が上りすぎて何も考えられない状態だった。


 「大丈夫だ、ティア。一人で脱げる。」

と、大介は焦るも、

「いえ、お手伝いします。」

と言って、ティアは大介の服を脱がしていく。


 ・・・顔を赤くしながら、そんな一生懸命されたら断るに断れん・・・


と、大介は諦めてされるがままになっていた。と、その時、ティアの手が大介のズボンに掛かる。


 「ちょっと待て、ズボンはいいだろう。」

と、大介は自分のズボンを掴み抵抗する。が、

「いえ、パンツまで全て脱いでぐたさい。」

と、ティアは手に掴んだズボンを強引に引き下ろそうとする。


 「分かった!分かったから!自分で脱ぐから!」

と、大介が抵抗して言うと、

「そうですか?分かりました。」

と、残念そうに言ってティアは大介のズボンから手を離した。その途端、頭に血が上りすぎて何も考えられない状態で大介の服を脱がせていたティアは、頭の血が少し下がり我に返った。途端、目を丸める。と同時に、今度は恥ずかしさの余り顔を更に赤くして、「ご、ごめんなさーい!」と、恥ずかしそうに身を縮めて大介に謝った。

 「ああ、大丈夫だ。」

と言うと、ティアに背を向けズボンを脱いでスッポンポンになった大介は、一番大きな桶に入り胡座をかくと、タオルを手に取り桶のお湯に付け体を拭き始めた。

 少し落ち着いたティアは一つ深呼吸すると、「背中、流しますね。」と言って、タオルに一つの木の実を包み桶のお湯に付け握り潰してタオルに揉み込む。と、タオルから泡がたち始める。その泡立ったタオルで大介の背中を洗い始めた。


 「大介さん、前から思っていたのですが、大介さんの体傷だらけですね。刃物傷や何かでつらぬかれたような傷も・・・。」

 「ああ、元居た世界でもずっと戦い続けていたからな。傷だらけにもなるさ。」


 そんな大介の傷だらけの背中を優しく愛しそうに泡だったタオルで擦りながら、ティアは何か意を決したように口を開く。


 「大介さん、私の過去の話しで話したように、私は異邦人の因子を持ち、一度はその力に目覚めています。」

 「ああ、そのようだな。」

 「何時かは母が施した封印も解けるでしょう。もし、大介さんが元の世界に帰るとき、私の封印が解け私が異邦人化出来るようになっていたら、私も大介さんの世界に連れていってくれませんか?私は大介さんの本妻でなくてもいいんです。ただ、大介さんと一緒に居られるだけで私は幸せなんです。」


 ティアは大介の背中を洗いながら、震える声で大介に懇願する。


 「前にも話したが、俺には大切な女性ひとがいる。俺は彼女を傷付けたくないし機嫌を損ねるような事はしたくはない。」

 「分かっています。・・・リサナさんの妹さんですよね。・・・彼女の許可が得られればいいですか?」


 全く脈がない訳ではないという雰囲気を感じ取ったティアの声音は僅かに明るさを帯びる。


 ・・・・。

「そうだな、・・・もし、彼女の許可が有ればな・・・。」


 ティアは今まで頑なだった大介のその言葉を聞くと、跳び跳ねそうなくらい嬉しくて涙が出てきた。


 ・・・まぁ、無理だろうがな・・・たしか、シーナの生まれ育った国も一夫一婦制だった筈だからな・・・しかし、どうやって連絡を取る気だ?・・・


 この時の判断を大介は後日非常に後悔し頭を抱えることになる。

 この時、大介は失念していた。シーナの母親が生粋の異邦人であったことに、また、そんな母親に育てられたシーナもまた生粋の異邦人であるということに。


 「大介さん、タオルを交換して下さい。」

と、ティアに言われ、大介はティアとタオルを交換する。

 「なんか石鹸をつけたタオルで擦られていると思ったら、この世界にも石鹸は有るんだな。」

 「石鹸って何です?これは泡泡の実をタオルに揉み込んだんですよ。」

 「泡泡の実って何だ?」

 「泡泡の実はこれです。」


 ティアはフランが置いていった黒いピンポン玉大の木の実を大介に見せる。


 「これは、汚れを綺麗に落としてくれるので、体を洗ったりお皿を洗ったりするときによく使われます。」

 「ああ、俺の世界で言う所のソープナッツ、ムクロジみたいな物か。」

 「大介さんの世界にも似たような物が有るんですか?」

 「ああ、まあな。」

 「そうですか、・・・体が洗えたら、その泡を取って頭を洗って下さい。」

 「ああ分かった。・・・しかし、こんなので頭を洗ったらゴワゴワにならないか?」

 「大丈夫ですよ。それ以外と油分も豊富に含んでいるので髪の毛とかは艶々になります。」

 「ほぅ、そうなんだ。」


 大介の髪についた泡泡の実の泡を、ティアが柄杓で桶のお湯を汲み取り洗い流して大介の体を洗い終わる。そして、大介はタオルのお湯を絞って体の水気を拭き取った。

 その時には、ティアは服を全て脱ぎ素っ裸になっていた。


 「それでは、大介さんお願いします。」

 「お、おう。」

と、大介とティアは入れ替わる。


 ティアは多少は恥ずかしそうにしていたが平静を装っていた。


 大介は新しく泡泡の実を揉みこんだタオルでティアの背中を洗う。


 「ティア、痛くないか?力の入れ具合はこれでいいか?」

 「はい、大丈夫です。とても気持ちいいですよ。」

 「そうか・・・」・・・ティアの肌、シミ一つ無くて艶々してて柔らかい・・・それでいてシッカリと引き締まっている・・・前から思っていたが・・・

 「大介さん、私の体どうですか?」

 「・・・ああ、とても綺麗だな。」


 大介に体の事を褒められるとティアは嬉しそうに体をモジモジとさせる。

 

 「ありがとう御座います。・・・大介さん、私の体、好きにしていいですよ。」

 「バカもん。爺をからかうな!」

 「えへへ・・・」・・・本気で言ったんだけどなあ・・・

 

四十話くらいで一区切り付けたいと思っていたのですが・・・・無理なような気がしてきました。いや、マジでどうしよう。なんとか、今年中には一区切り付けたいなあ。


何だかどんどん予定がずれていっているような・・・・


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