參拾壹
「大神官様、初めまして。娘のために態々ご足労いただきまして、ありがとう御座います。アルターナ・メトス・アルムニルの妻のテレサーナ・メトス・アルムニルです。」
ティアスティアの母親テレサーナはティアスティアの五歳になる弟メルエスがぐずった為、ティアスティアの事をメイドのルールーに任せ、メルエスを寝かし付けにメルエスの部屋へ行っていました。
そして、メルエスを寝かし付けて戻ってくると、夫のアルターナと共に屋敷を訪れていたガラント大神官に気付いて慌てて挨拶をしたのです。
「ああ、これはアルムニル侯爵殿の奥方様ですか。初めまして、この度ヴァルスニル皇国教会の大神官に就任したガラントと申します。宜しくお願い致します。」
と、ガラント大神官は微笑み、
「しかし、噂以上にお美しい方ですね・・・」
と言うと、
「あら、口がうまいねー、この子は!」
と、パァンとテレサーナに突然背中を叩かれ、
!?・ゲホッ!カハッ!・・・ケホケホ・・・
と、ガラント大神官は一瞬呼吸が出来なくなり噎せ返していました。
「っと、ご、ご免なさい!大丈夫ですか?ガラント大神官様。」
テレサーナは照れから地が出てしまった事にハッ!として、慌ててガラント大神官に声を掛け、背中を擦っていました。
「済まない、ガラント大神官殿。家内はアルムニル侯爵家の分家のリリアース伯爵家の次女だったのだが、長い間冒険者をしていて・・その、少し粗暴なところが有ってな・・・」
と、アルターナはガラント大神官に詫びなから、
「・・・まぁ、そこがまた、いい所なのだが。」
と、何故だか頬を染め呟いていました。
誰にも気付かれないような、ほんの一瞬、〈ったく!この夫にしてこの妻ありか!〉と、呆れたような表情した後、ガラント大神官は、少し落ち込んだような表情を見せるテレサーナに、
「アルムニル侯爵婦人、大丈夫です。お気になさらず。」
と、微笑み優しく声を掛け、
「儀式の準備も有りますので、申し訳ありませんが少し席を外させて頂きます。」
と言って、アルターナに頭を下げその場を離れて行きました。
「・・・」
テレサーナは、そのガラント大神官の後ろ姿に何か言いたげに僅かに口を動かしました。が、それは声にならずに終わってしまいました。恐らく、テレサーナは、侯爵の妻としてキチンとお詫びを言いたかったのでしょう。
彼女は確かに粗暴なところはありましたが、アルターナの妻として二人の子の母としてよくやっていました。そして、アルムニル侯爵婦人として夫に恥をかかさないように何時も努力をしていたのです。が、残念ながら、それがよく空回りをしていたようです・・・。それを周りの人達も黙認し受け入れていたようで、特に夫のアルターナはそんな彼女が可愛くて愛しくて堪らなかったようです。
それからテレサーナは、〈落ち込んでいても仕方がない〉とばかりに、パパンと両手で頬を叩き気持ちを切り換えました。が、そのテレサーナの行為を、「無作法ですよ。」と、メイドのムームーに突っ込まれ、また落ち込んでいました。
因みに、ルールーとムームーというメイドは姉妹で、テレサーナがアルムニル侯爵家に嫁いで来るときにリリアース伯爵家からテレサーナの側仕えとして付いてきた者達です。
それを見ていたアルターナは口を押さえ腹を抱えて、クククッと涙目になりながら笑いを堪えていました。が、テレサーナにジトッとした目で睨まれ、〈済まん〉というように手を上げテレサーナに背を向けました。しかし、その背が小刻みに震えているのを見てテレサーナは、諦めたようにハアッ〈もういいです〉というように溜め息を吐いていました。
その後、アルターナが落ち着いた後、ティアスティアは両親に付いて、パーティーに集まった皇家やアルムニル侯爵家に縁の方々や国の重鎮達に挨拶をして回りました。
それから暫くして、ガラント大神官のお付きの神官がアルムニル侯爵親子に近付き、
「儀式の準備が整いましてございます。」
と、声を掛けてきました。
それにアルターナは頷くと、「こっちにおいで。」とティアスティアの手を引いて、パーティールームの西壁に設えられたガーディン教の巨大な祭壇の前までティアスティアを連れていきました。
その祭壇の中央には主神ガーディン様の象徴である大きな金色の太陽を象った像があり、その左隣には主神ガーディン様の対となる月神の象徴である小振りな銀色の月を象った像が据えられていました。
その周りには何やら色々な神の象徴である像が太陽と月を飾るように置かれ、それを囲うように何本もの太い、見事な飾り彫りを施された飾り柱が立てられていました。
アルターナとテレサーナは、その前までティアスティアを連れて行くと、室内管弦楽団が奏でる落ち着いた曲が静かに響き渡るパーティー会場で雑談などに興じているパーティー客に向き直り、アルターナが徐に口を開きます。
「皆様、今宵は我が娘、ティアスティアの十になる誕生パーティーにお集まりいただき心より感謝申し上げます。」
と、パーティー会場に通る声で言うと、アルターナとテレサーナはパーティー客に対して、深々と腰を折る。少し遅れてティアスティアも、慌てたように腰を折りました。
すると、ザワザワと雑談をしていたパーティー客達は手に持っていた飲み物や食べ物を近くにあるテーブルの上に置き、口をつぐんでアルターナ達に注目する。と同時に、壁際に控えていた使用人達が一斉に食事などの乗ったテーブルを全て、あっという間に壁際に移動してしまいました。
そして、パーティー客は身分の高い者から順に、祭壇前に立つアルムニル侯爵親子からある程度距離を置いたところに集まります。それから少しすると、周りに物音をたてるものが一切なくなりパーティー会場はシィーンと静まり返りました。
それまでずっと腰を折っていたアルムニル侯爵親子は、周りが静寂に包まれるとやっと頭を上げたのです。
その間、ティアスティアは〈まだかな、まだかな〉と、腰を折ったまま両脇にいる両親を気にしていました。
アルムニル侯爵親子が頭を上げたのを確認すると、白を基調に金糸銀糸で彩られたガーディン教の儀式用神官服に身を包み、神杖【神の恵み】を持ったガラント大神官が、パーティー客に向かって祭壇の三段ほど上がった小さな舞台から両腕を広げ厳かに宣言します。
「これより、アルムニル侯爵家御息女、ティアスティア・メトス・アルムニルの成体祝福の儀を執り行う。」
ガラント大神官の宣言が終わると同時に、パーティー客は両膝を床につき胸の前で両手を握り目を瞑る。と、アルムニル侯爵親子も祭壇に向き直り、目は瞑らずに両膝を床につき胸の前で両手を握りました。
それを確認して、ガラント大神官は太陽と月の神像に向き直ると、神杖【神の恵み】を捧げ持ち、
「《誕生の巫女に祝福あれ》」
と唱える。すると、ガラント大神官の前にある小さなテーブルに置かれた小さな杯の中に何処からともなく芳しい芳香を放つ神酒が満たされていきます。
杯が神酒で満たされると、「ティアスティア。」と、ガラント大神官はティアスティアに向かって手を差し伸べました。
それを合図に、アルムニル侯爵親子の近くに控えていた白を基調に銀糸で彩られた儀式用神官服を纏った神官が、祭壇のガラント大神官の所までティアスティアの手を引いて行きます。
ティアスティアはガラント大神官の前まで行くと両膝を床につきガラント大神官の手に口付けをしました。
ガラント大神官は持っていた神杖【神の恵み】を神官に預け、神酒の満たされた杯を捧げ持ち、
「この者に神の祝福を。」
と呟き、そのまま両手で杯を持ち手ずからティアスティアの口へと神酒を注ぎ込みます。
神酒の入った杯は小さかったため、ティアスティアがコクコクと二度ほど小さく喉を鳴らして飲むと、杯の中の神酒は直ぐに無くなってしまいました。
それを確認すると、ガラント大神官は杯をテーブルに戻し左手をティアスティアの額に翳し、「《神意を示せ》」と唱えました。その時、ティアスティアが薄目を開いてガラント大神官を見た時、ほんの一瞬、ガラント大神官がニヤッと笑ったようにティアスティアには見えたそうです。
「アルムニル侯爵家御息女ティアスティア・メトス・アルムニルは、主神ガーディン様の祝福を受け、今日より少女を脱し女性と相成った。皆の者、これより彼女を一人の女性として敬意を持って接しなさい。」
そうガラント大神官が宣言し、ティアスティアの成体祝福の儀は終了しました。
「おめでとう、ティアスティア。形式的なものだとはいえ、これでお前も立派な女性だ。これからは、その事を自覚し、アルムニル侯爵家の者として恥ずかしくない行動と発言をするように心掛けなさい。」
と言うと、アルターナはティアスティアを優しく抱き締めました。
「ティアスティア、おめでとう。私の天使。」
と言って、テレサーナは無条件でティアスティアを慈しみ抱き締めます。
そんなアルムニル侯爵親子を、ルールーとムームーは優しい眼差しで見詰めていました。
この頃がティアスティアの人生の中で一番幸せな時期だったのではないかと思います。
「アルムニル侯爵殿、改めて、おめでとう御座います。私達はこの後用事があるので、これで失礼させていただきます。」
「ああ、ガラント大神官、忙しいのに娘のために態々来ていただいて申し訳なかったね。」
「いえいえ、このヴァルスニル皇国で一二を争う大貴族であり代々宮廷魔術師長の大任を任されてきたアルムニル侯爵家と懇意にするのは我らガーディン教としても益が御座いますから。」
そう言うと、アルムニル侯爵アルターナとガーディン教ヴァルスニル皇国教会大神官ガラントは、何処ぞの代官と悪徳商人のように、ワハハハ・・・、と笑いあっていました。
その後、ティアスティアの誕生パーティーは佳境のダンスパーティーへと移り、パーティー客に混じりティアスティアもダンスを楽しんでいました。お相手は、アルターナが他の男をティアスティアに近付けさせなかったため、殆んど父親のアルターナでしたが・・・。
「ふあっあぁふ・・・」
・・・・。
「ティアスティア、もう眠たい?」
ティアスティアが壁際の休憩用に置いてある椅子に腰掛け、扇で口元を隠しつつ欠伸をして、うつらうつらとし始めると、隣に座っていた母親のテレサーナがティアスティアの顔を覗き込んで声を掛けてきました。
対して、ティアスティアはコクリと頷いて答えると、
「そうね、神酒とはいえ今日生まれて初めてお酒を飲んだわけだし、もう眠る?」
と、テレサーナが優しく言うと、またコクリとティアスティアは頷きました。
それからティアスティアはテレサーナに手を引かれ、父親のアルターナの所に行くと〈おやすみなさい〉のキスをして、自分の部屋へテレサーナに連れていって貰いました。
部屋に着くと、ティアスティアは一緒に付いてきていたルールーにイブニングドレスから寝衣にあっという間に着せ替えられて、自分の布団の中へと潜り込みます。
そして、母親のテレサーナとも〈おやすみなさい〉のキスをして目を瞑りました。
それから程無くして、ティアスティアの意識は眠りの中へと落ち込んでいきました。
ティアスティアが眠りについて、どれ程の時間が経ったのか、体に火照りを感じ目を覚ますと周りは真っ暗闇で物音一つ聞こえてきません。いや、実際には目を覚ましてなどおらず夢の中に居るようにも感じられていました。
なぜなら、ティアスティアの周りには何も無く、闇の広がる広大な空間が有るだけのように感じられたからです。
その暗闇から滲み出るように何処からともなく、その暗闇よりも冥い闇が涌き出しティアスティアを捕らえようとしました。
ティアスティアは慌ててその冥い闇から逃れようと手足をバタつかせました。が、前後左右どころか上下も分からない闇の中では進んでいるのか止まっているのかさえ分かりません。
そうこうしている内に、ティアスティアは冥い闇に追い付かれ捕らえられ飲み込まれていきます。
ティアスティアは必死にもがき、「父様!母様!助けて・・・」と、助けを求めて手を伸ばします。が、そこに助けてくれる父も母も無く、その手は空を切るばかりでした。〈もう、ダメ〉とティアスティアが思った時、そのティアスティアの眼前にボッ!!と突然、周りの全ての闇を凪ぎ払うような強く優しい光を放つ光球が現れました。
その銀と金の光を放つ光球はティアスティアを取り込もうとしていた冥い闇を焼き払うと、ティアスティアの内へと溶け込んでいきました。それと同時に、ティアスティアは魂と体が温かなものに包まれ活性化して新しく生まれ変わっていくような感じを受けつつ、意識は気持ちのよい眠りに誘われていったそうです。
そして、実際にティアスティアが目を覚ました時、「ティアスティア!」と、心配げな表情で顔を覗かせるテレサーナが目の前にいました。
・・・あれはやはり夢だったのかな・・・
と、思いながら、
「お母様、おはよう御座います。」
と、ティアスティアが朝の挨拶をすると、
「よかった!」
と言って、テレサーナはティアスティアを強く優しく抱き締めました。
「お母様?どうされたのです?」
と、ティアスティアはテレサーナが何に安堵し喜んでいるのか理解できずに疑問を口にした。そして、自分の部屋の有り様に絶句したのです。
ティアスティアの部屋は壁やバルコニーとの仕切りカーテンは勿論、鏡台やタンス、天蓋付きのベッドなどの家具類にいたるまで、ほんのりと桃色がかった白色に統一されていました。が、ティアスティアが目を覚ました時、その部屋には銀色の儀式道具がティアスティアのベッドを中心にバランスのいい配置であちこちに配されていたのです。
そして、ティアスティアを抱き締めるテレサーナは汗だくで、ティアスティアのベッドの足元にはルールーとムームーが安堵と疲労感に包まれた笑顔でヘタリ込んでいました。
テレサーナはティアスティアから体を離すと、
「ティアスティア、体に異常はない?」
と問い掛け、
「はい・・・大丈夫です、お母様。一体、何があったのです?」
と、ティアスティアは答えると同時に、現状何が起こっているのか、何が起こっていたのか理解できないティアスティアはテレサーナに問い掛けました。
テレサーナは、少しの間、話すか話すまいか悩んでいたようですが、意を決したような表情をするとティアスティアの瞳を真っ直ぐに見て、何があったのが何が起こったのか包み隠さず話始めました。
その話によると・・・
テレサーナはティアスティアが眠ったのを確認すると、パーティー会場に戻りました。
そして、パーティー客の相手をしていて暫くした頃、ざわつくような嫌な胸騒ぎを覚えてルールーとムームーを伴ってティアスティアの部屋へ戻ってきました。そのティアスティアの部屋の扉をノックしてから、ゆっくりと扉を開けて中を覗いてみると、ティアスティアの寝ていたベッドの辺りを邪な黒い闇が覆っていた。それを見たテレサーナは、驚き絶句しているルールーとムームーに直ぐ様指示を出し、自分の魔法の杖と対魔人封印儀式法具を持って来させて、壁や床に法具を配置し室内に儀式法陣を敷かせました。
対魔人封印儀式法具はリリアース伯爵家が八百年もの長い年月をかけて過去の遺物や伝説、太古の書等を探し出し調べ上げて造り出した異邦人の力に目覚めた者の、その力を封じるための物だったそうです。あと仕上げるだけになっていたそれを完成させる為に、テレサーナは最後の素材を求めて長年冒険者をしていたということでした。
そして、その法具には異邦人の力を封じるだけでなく、使いようによっては、この世ならざるものの力を一時的だが霧散させることも出来る筈だったそうです。
テレサーナはティアスティアの寝ているベッドのあった辺りに対してティアスティアの頭側に魔法の杖を持って立ち、ルールーとムームーは足元側に法具を持って立つ。そして、テレサーナは魔法の杖に魔力を注ぎその魔力を高純度に高めそこから更に魔力から魔(人の欲などの感情を基にしたもの)を取り除き法力に昇華させる為に、長い長い呪文の詠唱を始める。ルールーとムームーもテレサーナと同じように法具に魔力を溜め、詠唱を始める。そして、三人は汗だくになりながら数時かけて練り上げた法力を儀式法陣に解き放つ。と、法具で形作られた儀式法陣は目映く光り、室内を昼間より明るく照らし出す。と、ティアスティアをベッドごと覆っていた邪な黒い闇は徐々に薄れてゆきティアスティアの姿がうっすらとだが視認出来るようになる。が、それも一瞬でまた黒い闇が濃くなり始める。
テレサーナは何とかティアスティアに手を伸ばすが、黒い闇に弾き出されてしまう。「くそ!」と、テレサーナが悔しそうに言ったとき、黒い闇に覆い隠されようとしていたティアスティアの体がポワッと輝き出した。そして、その金と銀の光は徐々に光量を増してゆき邪な黒い闇を浄化していく。
テレサーナ達は何が起こっているのか理解が追い付かずに、その光景を驚き眺めているしかなかった。
そして、暫くすると邪な黒い闇は綺麗さっぱり浄化され霧散していた。
ティアスティアの体から放たれていた温かな光りは黒い闇が霧散し消えると同時にティアスティアの体の内に吸い込まれるように消えていった。
その後、テレサーナ達が安心したのも束の間で、ティアスティアの体に異常が無いか魔法で室内を明るくしてティアスティアに近付きその姿を確認する。と同時に絶句する。
なぜなら、ティアスティアの姿が一変していたのだ。
白陶磁のように白かった艶やかな肌は瑞々しい褐色の肌とになり、燃えるような美しい赤髪は黒真珠のように瑞々しく艶のある黒髪になっていた。
完全に異邦人の特長を現した姿となっていたのだ。
その後、慌ててテレサーナ達は再び対魔人封印儀式の儀式法陣を数時かけて起動させた。すると、今度は封じられるのを待っていたかの如く、何の問題も無く異邦人の力は封じられティアスティアは元の姿に戻った。
・・・ということでした。
テレサーナの話が終わったところで、ルールーとムームーは部屋に掛けていた結界を解くと、バアーン!とティアスティアの部屋の扉が弾き飛ばされそうな勢いで開かれ、
「ティアスティア!テレサーナ!無事か!!」
と、アルターナが部屋の中に飛び込んで来ました。
ティアスティアはテレサーナの話しに驚く間もなく、アルターナのその勢いに驚いて目を丸め、
「お父様、どうされたのです?」
と、アルターナに声を掛けた。
「どうしたもこうしたも無い。パーティーが終了してパーティー客を見送るためにテレサーナを呼びに行かせたら、ティアスティアの部屋で結界を張って何かしていると言うではないか。已む無く私一人でパーティー客を見送りティアスティアの部屋の前まで来ると扉に ※取り込み中、私を信じて待っていて下さい。 テレサーナ※ という張り紙が張り付けてあるではないか。私は夜半過ぎから日が登りかけた今まで何が起こっているのか分からず、お前達が心配で仕方がなかったのだぞ!」
と、アルターナが少し不機嫌な口調で言うと、
「そうでしたか・・・心配お掛けして申し訳ありません、お父様。」
と、ティアスティアは素直に謝罪する。
対して、
・・・・・。
「貴方、その事について話があります。」
と、テレサーナは真剣な顔で言う。
今話でティアの過去編は終了させたかったのですが・・・もう少しお付き合いください。