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異世界で用心棒   作者: 鈴ノ木
16/49

拾陸

 大介の知らないところで乙女同盟が結成された日の翌日の早朝。


 「異邦人の遺跡の魔法システムがこれ程までの物とは思っていませんでした。」


 《変化へんげ》の魔法でインドーラとガンガー、ガンガーが呼び出した四人の猫系美女メイド達がアルテミス王家の者達やアレイアス王子と黒衣の魔女リサナに化けて朝食の準備をしているのを眺めがら、リサナは複雑な顔をして感嘆していた。


 「治療室の魔法設備もそうですが、この遺跡の守護者ガーディアンシステムがここまでの物とは・・・・アルテミス王家の方々は分かりませんが、私やアレイアス様は姿形だけでなく魔力まで全く同じに変化するとは・・・」


 「全くです。私も三人の母さま達と末の兄さまを見たときは転移魔法か何かで本当に来たのでは、と思ったくらいですから。」

と、メルティスも同意する。


 それに対し、アレイアス王子に化けているインドーラが、

「恐れ入ります。メルティス様、リサナ様。」

と、恭しく腰を折る。


 それを見てリサナは複雑な顔をした。


 何せ姿形や声だけでなく仕草や魔力まで心より慕うあるじと全く同じ者に、リサナが目上であるかのような敬語と態度を取られたのだ、複雑な気持ちになったとしても仕方のないことだろう。


 ガンガーは、メルティスの許可を得てメルティスの記憶から三人の王妃と第三王子の姿や声、仕草、魔力などを読み取りそれを基にガンガーは黒衣の魔女リサナに、他のメイド達はアルテミス王家の第一第二第三王妃と第三王子にそれぞれ化けていた。

 それを見たメルティスが目を丸め驚き、思わず実の母親である第一王妃|(ガンガーの呼び出した猫系メイド)に抱き付きそうになったほど、四人とも本物と寸分たがわず化けていたのだ。


 「守護者ガーディアンシステムだけとはいえ、これ程までの力が有りながら、あの神殿のような建物から全く魔法システムの魔力を外に出さないとは・・・・これならば、メンドゥーサ様達もこの異邦人の遺跡の魔法システムが立ち上がっているとは思わないでしょう。」

と言うリサナに対して、

「それが最大の隠し玉だからな・・・・それがバレていたら、この作戦は根幹から崩れる。」

と、大介が真顔で言い、

「まぁ、隠し玉はこれだじゃ無いけどな。」

と、その真顔を楽しそうな悪い笑顔にして言う。と、

「精獣の子達と、メルティス王女ですね。」

と、リサナも楽しそうに応える。

 「ああ、相手は己の思い込みほど恐ろしいものは無いと思い知らされるだろうな。」

と、大介は悪い笑みを深めた。


 ・・・・。


 「ですが、メンドゥーサ様達全員をこの異邦人の遺跡に捕らえるには、この遺跡の魔法システムの大半を立ち上げないとならないのでしょう。」

 「ああ、そうらしい。」

 「それには、一秒掛かると・・・」

 「そうだ・・・」

 「恐らくメンドゥーサ様達は、この遺跡の魔法システムの魔力に気付いた瞬間この遺跡から離脱しようとするでしょう。それだけの力がこの遺跡にはあると思われています。メンドゥーサ様達が魔力に気付いた時点から離脱するまで0,一秒も掛からないと思われます。この時間差をどうするつもりですか?」

 「そこは皆の演技次第だな・・・・間に合いそうになければ、その時は俺が何とかするさ。まぁ、リサナ・・・義姉ねえさんはこの後のウラヌス王奪還作戦の為に、魔力を回復する事に専念していてくれればいい。」


 リサナの不安に大介は何時ものように子供のような笑顔を見せて軽く応える。

 そして、大介がリサナの事を照れながら「義姉さん」と呼んだ事に対して、リサナは不意を突かれたように驚きの表情を見せた後その表情を嬉しそうな笑みに変える。


 「ご主人様。十キロ程里から離れた所に敵と思われる者達の気配を探知致しました。」

 「よし、作戦開始だ・・・・インドーラ、その骨と皮だけの姿で元気良く動き回るなよ。」

 「お任せください、ご主人様。私、こう見えましても自身の演技力には自信が御座います。」


 インドーラからの報せに大介は作戦開始の宣言をする、と同時にインドーラに対し、先程リサナを「義姉さん」と言った事の照れ隠しのように愉しげに冗談を吐く。と、インドーラも愉しそうに応じた。


 そんな大介の姿を見て、


 ・・・本当にこの人には敵わない。この人を見ていると、どんな困難でも笑って乗り越えて行けそうな気になる・・・こんな人を相手にするメンドゥーサ様達が可哀想に思えてくるわね・・・


と、リサナは思いながら無意識に笑みが零れていた。




 その日の夜。


 その夜半過ぎ。


 「メンドゥーサ様、遺跡の周囲に張られた罠の解除は完了しました。魔法的な物も物理的な物も罠自体は一般的に使われている物で我等にとっては大したものではありませんでした。が、遺跡の敷地ギリギリに設置されている魔法道具の機能を、相手に気付かれずに無力化する事は出来ないようです。遺跡から十メーター以内に近づくと敵を感知するようになっています。」


 メンドゥーサ達が異邦人の遺跡に突入するために、先行して罠を解除していたシャドーが戻ってきてメンドゥーサにそう報告する。


 「その魔法道具は攻撃用の物か?」

 「いえ、十メーター以上離れた所から《透視》を使って視ただけなのでハッキリしたことは言えないのですが、そこから視えた魔法道具の中に組み込まれている魔法印は、一般的な防御結界の魔法印とアルテミスの王城レト城最深部で使用されている探知の魔法印の二つだと思われます。恐らく作製したのはメルティス王女でしょう。」

 「ふむ・・・・一般的な防御結界ということは、我々異邦人の力を持つ者なら簡単に突破出来るということだな・・・探知の方は、お前の弟がレト城に忍び込んだ時に感知されたものか・・・」

 「はい・・・・・・弟が最後に《以心伝心》で伝えてきた探知の魔法印と同じものでした・・・」

「そうか・・・という事は、我等の穏行魔法では感知されるな・・・」

 「はい・・・・ですので、作戦の変更をすべきかと思います。」


 「そうだな・・・」 ・・・遺跡内に仕掛けられているだろう罠が気にはなるが・・・メルティス王女はまだ成人していない・・・ならば、異邦人の力はまだ使えない筈だ・・・シャドーの情報によればメルティス王女の着けた鎧は、王女の作製した物で異邦人の力をも跳ね返す魔法印が施されているということだったが・・・恐らくその魔法印に何日も魔力を注入しなければならないのだろうが、まだ普通の魔力しか使えないメルティス王女の魔力でもそれだけの力を発揮する魔法印を開発したということだろう・・・十才でそれほどの魔法印を開発するとは末恐ろしい話だ・・・・が、それは防御の魔法印でまだ鎧にしか使えず、また魔法印の開発には時間が掛かるということか・・・その証拠に魔法道具の防御結界の魔法印は一般的な物が使われている・・・探知の魔法印の方は大昔アルテミスに嫁いだという異邦人かその力を受け継いだメルティス王女の先代までの誰かがこの世界の人間の魔力でも機能するように作ったものをメルティス王女が真似て作ったものだろう・・・リサナもいるが、今、奴は魔力に罠を張るような余裕はない筈だ・・・ということは、遺跡内に仕掛けられている罠も、無いよりはましだろうということで、一般的な物が仕掛けられていると考えていいだろう・・・ならば、当初の想定道り罠に関しては驚異はないと考えていい・・・ 「・・・奴等に気付かれる事は想定の内だ。そして、我等の驚異となるのは黒髪の男だけだ。ならば、密かに近づいて暗殺する暗殺作戦から、真正面から包囲して撃滅する包囲撃滅作戦に変更する。」


 ・・・出来れば、こちらの被害が少なくてすむ暗殺作戦を行いたかったのだが・・・・仕方がないか・・・


 メンドゥーサはシャドーから報告を受けると、現状、予定していた暗殺作戦は不可能と判断し、予定していた作戦に支障をきたした時のために事前に決めておいた予備の作戦である包囲撃滅作戦に変更する。


 ・・・しかし、ダイスケという男、何を考えているのか・・・メルティス王女一人だけを守るなら我等を相手にしても奴なら何とかなるかもしれんが・・・我らに対抗できる者が奴一人だけのこの状況で他のアルテミス王家の者達やアレイアス兄様達まで守るなど余程のバカでない限り不可能だと分かると思うが・・・やはり、我等を舐めているのか?・・・・・・いや、奴は恐らく百戦錬磨の強者だ、どんな相手でも手を抜くような事はすまい・・・ならば、何か隠し玉でも持っているのか・・・・まさか・・・いや、異邦人の遺跡自体からは何も力を感じない・・・だが、用心に越したことはないか・・・


と、朝方より落ち着いて考えられるようになったメンドゥーサが、 

「よし、全員、魔法通信機【金環】を装着しろ。」

と指示すると、全員《通信》の魔法印を施された金の環を頭に装着する。

 メンドゥーサは全員が【金環】を装着したのを確認すると、

『〈〈よし、全員【金環】を装着したな。通信に障害がある者はいるか?〉〉』

と、魔法通信機【金環】による《通信》の魔法により自分の思考を自分の頭に装着した【金環】と同調している【金環】を装着している配下の者達の脳に直に送る思考通話テストを行う。


 そのメンドゥーサの問い掛けに、その場に居る全員が沈黙をもって応える。


 それに対しメンドゥーサは全員を見回し、

「よし、全員問題ないな。」

と、沈黙を問題なしと判断する。


 『〈〈これより包囲撃滅作戦に入る・・・遺跡の魔法システムはまだ立ち上がっていないと思うが、もし何かあれば直ぐに連絡しろ・・・万が一、魔法システムが立ち上がっているようなら、遺跡より即時離脱する、いいな!〉〉』

 『『『『『『『『『『『『〈〈はっ!〉〉』』』』』』』』』』』』

『〈〈よし!では、全員、配置に着き、私の合図を待て!〉〉』

と、メンドゥーサが言うと、サディとメルエス、シャドーを残し他の者達は配置に着くべくその場から姿を消す。



 『〈〈ゴウラ、配置に着きました。〉〉』

 『〈〈ウェース、配置に着きました。〉〉』

 『〈〈 〉〉』

 『〈〈 〉〉』

    ・

    ・

    ・

 『〈〈 〉〉』

 『〈〈 〉〉』

 『〈〈カレン、配置に着きました・・・全員配置に着きました。〉〉』

と、少しすると全員が配置に着いた事をメンドゥーサに報せてくる。


 『〈〈よし・・・これより包囲撃滅作戦を開始する、ネズミ一匹逃すな!・・・全員突入!!〉〉』

と、メンドゥーサが号令をかけると、異邦人の遺跡から十メーター程離れた位置で、遺跡を取り囲むように配置に着いた者達が周囲を警戒しつつ、一斉に異邦人の遺跡に向かって早足で移動を開始する。その瞬間、


 キュイイインキュイイインキュイイイン


と、メルティスが遺跡を囲むように仕掛けた《探知》と《結界》の魔法印を組み込まれた魔法道具が、メンドゥーサ達を感知して作動し、接近警報と共に異邦人の遺跡を囲むように防御結界を発生させる。


 それに対して、

『〈〈構わず突っ込め!!〉〉』

と、メンドゥーサは指示を出す。と同時に、

「《我を包む漆黒の闇、は絶対の防御なり。我が雷の斬撃は神をも両断するものなり。》」

と、呪文を唱え腰に差した雷の魔法剣を引き抜く。と、メンドゥーサの頭の先から足の先まで漆黒の闇の鎧が包みこみ、その手に持つ雷の魔法剣は、ブウウウンと青白い光を放ち神殺しの雷の剣となる。


 メンドゥーサはそのまま結界など無いかのように大股でゆったりと、かつ油断無く異邦人の遺跡の敷地内へと入っていこうとする。と、メンドゥーサと結界が触れた瞬間、パキーンといってメンドゥーサが触れた辺りの結界が弾け飛ぶと同時に、その近くにあった結界を張っていた魔法道具がパン!!といって黒い煙を吐いた。

 結界のあちこちで同じような音が響いたかと思うと、異邦人の遺跡に張られた結界は、パキパキペキピシッ!パン!!と力のバランスが崩れたかのように崩れ弾けとんだ。

 メンドゥーサ達はそのまま異邦人の遺跡の内へと踏み込んでいく。


 メンドゥーサ以外の者達もサディとメルエス、シャドーを除いてはメンドゥーサ程の物では無いが透明な淡い光を放つ魔法の鎧を纏うことが出来た。


 サディとメルエスは見た目少女のように見えるが、もう既に成人して異邦人の力は使える。が、それは治癒と回復に特化され肉体強度はこの世界の人間より少し強いという程度で戦いには向いていない。

 シャドーは弟と同じく隠密活動や暗殺には長けていたが、やはり肉体強度はこの世界の人間より少し強い程度で戦いには向いていなかった。


 メンドゥーサ達が異邦人の遺跡に入っていくと、所々メンドゥーサの足下でパン!パン!と弾けるような音がした。

 何の音かとメンドゥーサの後ろに付いて周りを警戒しながら歩いていたサディがメンドゥーサの足元に目を向けると、罠の魔法陣がメンドゥーサの闇の鎧の魔力で罠が発動する前に弾け飛んでいたのだ。

 この世界の攻撃魔法や防御魔法は異邦人の濃密な魔力に触れただけで、その効力の発動前に消し飛んでしまう。


 ・・・やはり、罠に関しては無いに等しいな・・・


と、メンドゥーサが思っていると、

「『〈〈ぐっ!があああ!!〉〉』」

と、誰かの悲鳴を【金環】が伝えてくる。

 『〈〈どうした!!何があった!〉〉』

と、悲鳴を上げた者にメンドゥーサが呼び掛けると、

『〈〈く・・・あ、足をやられました。〉〉』

と、ゴウラの苦しげな声が返ってくる。

 『〈〈なに!?黒髪の男か?〉〉』

 『〈〈分かりません・・・ただ、神殿のよう・・な建物から凄まじい勢いで・・・お、恐らく矢尻のよ・・・うな物が飛んできて魔法の鎧と・私の足を・・貫いたか・と思った瞬間・・・火魔法が発動して・・私の足を焼き切りました。〉〉』

 『〈〈分かった。直ぐにサディをそちらに向かわせる。お前は近くの物陰に隠れていろ。〉〉』

 『〈〈・・・分かりました。〉〉』


 通信が終わり、メンドゥーサがサディの方へ顔を向けると、サディは〈分かりました〉というように頷きゴウラの元に向かう。


 『〈〈シャドー、サディに付いていってやってくれ。罠と、あとどういった物か分からんが神殿の方からの攻撃にも気を付けろ。〉〉』

 『〈〈分かりました。〉〉』


 シャドーはメンドゥーサの指示に従いサディの後を追う。


 ・・・私やリサナ程のものではないが、それでもオリハルコン製の鎧に防御魔法を施したもの以上の防御力のある異邦人の魔法の鎧を貫くとは・・・だが、それほどの威力があったにも拘らず、その発射地点の神殿のような遺跡の方からはそんな強力な魔力を全く感じなかった・・・・・ということは、魔法自体による攻撃ではなく魔法道具による攻撃か・・・・恐らく、矢尻のような物を魔法で射出する魔法道具で、その射出口部分を魔力を外に放出させないように覆ってしまえば発射地点から魔力を感じることはない・・・


 『〈〈全員に通達!物陰に隠れるなどして神殿のような建物からの攻撃に注意せよ!魔法の鎧を貫いてくるぞ!罠にも注意せよ!〉〉』

 「メルエス、お前はそこの物陰に隠れていろ。」

 「はい。」


 ・・・くそ!・・・魔法道具による攻撃だとすると、読みを誤ったか・・・・・私達、異邦人の因子を持つ者達が力に目覚めるのは成人してからだった・・・アルテミス王家の異邦人の力を受け継いで生まれてきた者もそうだと思い込んでしまっていた・・・だとすると、罠にもそれなりの威力のあるものがあると考えた方がいい・・・・・我らは攻め込んだつもりでいたが、逆に誘い込まれたのか?・・・完全に私の判断ミスだ・・・が、この程度で引く訳にはいかん!・・・


 そう考えつつメンドゥーサは、その魔法道具の威力を測るため自分が的になるつもりでその場で立ったまま微動だにしなくなった。

 まるで、〈殺れるものなら殺ってみろ!〉と言わんばかりに。

 そして、《暗視》と《遠眼鏡》の魔法を自身に掛け正面の神殿のような建物の屋上を睨み付ける。と、その時、ヒュッ!ドン!!ゴッ!と、風切り音が聞こえた瞬間、メンドゥーサは胸に何か当たる音を聞くと共に後ろに吹き飛ばされ建物跡に叩き付けられる。


 メンドゥーサは自分を吹き飛ばした物をしっかりとその目に捉えていた。


 ・・・驚きだ、この私を吹き飛ばすとは・・・・・・ゴウラの言ったとおり、矢尻のような物だったな・・・その矢尻に魔法印が施されていた、的に当たると同時に魔法が発動するようだ・・・魔法は通常の威力で異邦人のそれでは無かったな・・・・恐らく、メルティス王女は異邦人の力が使えても僅かな物なのだろう・・・


と、考えながらメンドゥーサは何事も無かったかのように立ち上がる。


 メンドゥーサはその矢尻に吹き飛ばされはしたが、全くの無傷だった。

 闇の鎧が矢尻の衝撃と矢尻に施された魔法の力を吸収したからだ。


 ・・・やはり、神殿のような建物の屋上にはメルティス王女が魔法道具を構えていたな・・・・ただ、次発を発射するまでに時間がかかるようだ・・・


と、メンドゥーサは考えながら、

『〈〈私が神殿のような建物を攻撃したら、全員、神殿のような建物との間合いを一気に詰めろ!ただし、罠には気を付けろ!〉〉』

と、全員に指示を出し、「《雷よ我が手に集え》」と、呪文を唱える。と、メンドゥーサの左のてのひらに大気中の雷の粒子が集まり高電圧の雷玉を形成する。

 そして、メンドゥーサは、「メルティス王女、お返しだ。」と呟き、「《大神の雷霆ゼウスケラノウス》」と唱える。と、掌の雷玉が眩いくらいに輝くと同時に、


カッ!!!!!!


と、その雷玉から雷光が神殿のような建物の屋上にいるメルティスに向かって一瞬にして走り、


ドゴッオオオォォ!!!!ゴゴゴゴゴゴーーー・・・・・・


と、神殿のような建物の屋上を吹き飛ばしその雷の破壊力の余波で神殿のような建物を半壊させる。と共に、雷鳴の余韻を響かせる。


 ・・・チッ・・・・やはり、近くに奴がいたか・・・


 《大神の雷霆ゼウスケラノウス》の衝撃により砂煙がもうもうと立ち込めた神殿のような建物の屋上の、その砂煙が晴れ出すとメルティスの前に一人の男が立っていた。

 その男の足元から先は大きく崩れ、その半壊した神殿のような建物の核が一部剥き出しになっていた。


 ・・・あれ程の攻撃魔法でも、奴に傷一つ付けられんか・・・今のは雷魔法の最高位魔法より威力があったはずなのだがな・・・


と、考えながら左手の雷玉を霧散させメンドゥーサは猛スピードで駆け出していた。

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