表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/33

その日、ネズミが空を飛んだ

 その日、ネズミが空を飛んだ。

 研究室にいたリリアンはルーベン教授と共にネズミが空を飛ぶさまを目撃した。

 ルーベンは子供のように目をキラキラ輝かせてネズミを追う。


「す、すごい……! すごいぞこれは!」


ネズミの身体にこれといった変化はなく、壁を駆ける延長のように手足をバタつかせて空中を走り回ったソレは、窓から飛び出した瞬間低く飛んでいたフクロウに狩られて死んでしまった。


「みたかリリアン! これはすごい発見だよ!」


ルーベンは空飛ぶネズミを目の前にして随分と興奮していたが、リリアンはとても恐ろしかった。自然現象としてあってはならないことが起こっている。摂理を無視した結果、ネズミは本来あり得ない危険に遭遇して短い生涯を終えてしまった。今まで通り地面を駆けていればフクロウに狩られることもなく、もう少し長く生きられたはずなのに。

ルーベンはリリアンの不安な表情に気づかず、ネズミが消えた窓のほうばかりを見てはしゃいでいた。


「ネズミが空を飛んだ! すごいぞ! 進化の促進だ! これこそ超能力だ!」


 夜9時ともなれば日は完全に沈んでおり、窓の外には暗い闇夜が広がっている。リリアンは大きく息をのみ、闇の向こうを睨みつけた。


――超能力を持ったネズミなんて、自然の摂理に反してる……


 はしゃぐルーベンの背中を見つめ、言いたい言葉を生唾と一緒に飲み込む。リリアンはこの時途方もない恐怖に大きな騒動の気配を感じ、大きく身体を震わせた。

表紙絵的なもの

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ