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メイン攻略キャラだけど、ヒロインなんていりません!  作者: くもま
一章 向かう所敵なしのお子様、小学生篇
35/42

番外篇1:愉快な護衛ファイブ

 今回もお読みいただけて光栄です。ありがとうございます。


・本編の進行には関係ありませんが、一応伏線? らしきものがある番外編です。

・龍治の護衛ファイブがとあるコミュニケーションツールを使ってお喋りしてます。

・護衛ズはその日あった事の反省会を音声でなく、文字入力で行っています。記録を残すためです。

・ほぼ会話文のみで進んで行きます。

・読んでも読まなくても本編を読む分には問題ありませんが、脇役の目線から物語がどう見えているか、登場キャラ達はどう思われているかをほんの少しですが知ることが出来ますので、興味のある方はどうぞ。

・肩の力を抜いてご覧下さい。



*龍治の護衛ファイブ

佐々木ささき

 黒髪黒目の威圧感薄めな地味メン。それ故に龍治の側へ始終侍っている。

 腕っ節の強さは護衛ファイブの中で三番目。実力まで地味とか云われる。

 地味が個性。周りが派手だから地味でいいじゃない、と自分を慰める。

 椋太郎とは個人的に連絡を取り合うくらいに仲良くなった。


火々池かがち

 赤茶髪に濃い茶色の目。目付きが鋭いのでサングラス、眼鏡で誤魔化す事が多い。

 現メンバー最古参で最年長。しかし年齢不詳。年齢の話は禁忌タブー

 力量は四番目だが、本領発揮は作戦や人事などの采配なので問題無し。

 目付きから誤解されがちだが、気配り上手な善人枠。実は過保護系。


水野江みずのえ

 茶髪に黒目。仕事の時は真面目な格好だが、プライベートではちゃらい。

 言動も軽く軽薄に見られがちだが、仕事は真面目。忠誠心は高い。

 実は護衛ファイブで二番目に強いのだが、中々信じて貰えない。

 花蓮の護衛の「艸凪くさなぎ」とは幼馴染。


土荏田つちえだ

 黒髪黒目。身長が最も高く体も厚いので威圧感が凄い。

 真面目で冗談が通じにくい。天然かも知れない。細かい作業は苦手。

 文句なしでナンバーワン実力者。大体土荏田がいれば大丈夫。

 実は甘いものが好きなので、龍治の食べ歩き外出が楽しみ。


小金井こがねい

 茶髪に茶色目。一番小柄ですばしっこい。相手の意表を突くのが得意。

 一番新人故に使いっぱしりのような扱いを受ける事が結構ある。

 護衛の中では五番手。土荏田に指導して貰っている。

 唯一の彼女持ちだが、仕事が忙しくてそろそろ危ないかも知れない。


 年齢:火々池>(?)>土荏田=佐々木>水野江>小金井

 龍治の護衛を担う五人の男達は、業務が終了した夜九時から反省会を行っている。

 後から読み返せるようにと文字入力で行われるその反省会は、若者を中心に利用者が多い「REIN」と呼ばれるコミュニケーションアプリを利用していた。「使えるものは使う」のが護衛達の考えであり、責任者火々池の方針でもあった。

 当然ながら機密に関係する会話までは行わないが、雑談も含まれる毎日の反省会では使い勝手の良さから好まれている訳であった。


 これは夜毎交わされた、彼らの反省会の内容を抜粋したものである。



 *** ***





佐々木「クレープ美味しかったです」

火々池「流石龍治様が見つけられた店だ」

小金井「龍治様もクレープなんて食べるんですね……」

水野江「龍治様はB級グルメ好きなんだよ」

小金井「そうなんですか?」

佐々木「風祭家の幸子様とご一緒される際には、庶民でも気軽に入れる店へ行ってらっしゃるよ」

水野江「ご家族と一緒にはまず無理ですもんねぇ」

火々池「ご家族と云えば、龍治様が反抗期な訳だが」

小金井「あー……」

水野江「旦那様にだけでしょ?」

佐々木「津月つづきさんが愚痴ってましたよ。旦那様がへこんで大変だって」

小金井「秘書さんも大変ですね」

火々池「へこんでいらしても仕事に支障を出さないのが旦那様らしい」

水野江「龍治様が「父さんから仕事とったら何が残る?」と仰ってたんですけど……」

水野江「ちょ、無言やめて下さい。既読ついてますからね! 反応下さいよ!」

佐々木「その危ない話題にはノーコメントです」

小金井「龍治様も仰いようが……」

火々池「昔から御父上には厳しい所があったが……」

佐々木「完全監視体制下では厳しくもなりますよ」

水野江「今度は佐々木さんが危ない事云ってるじゃないですかーヤダー!」

火々池「しかし反抗期の一番大きな理由はそれだと思うが」

小金井「下っ端の僕からまで話し聞き出す旦那様……」

水野江「呼び出しでもされたんか」

小金井「日由ひよりさんに呼ばれて付いて行きましたら旦那様がどーん」

佐々木「ビックリ箱のような扱いはよしなさい」

水野江「財政界のゴジ■は伊達じゃないと」

火々池「歩く地雷原呼ばわりはやめないかお前ら」

小金井「そこまで云ってないですよ?!」

小金井「て云うか、ここまで土荏田さんの発言ゼロなんですけど……」

水野江「毎度の事だけどな」

土荏田「すまん」

佐々木「土荏田、まだ慣れませんか」

火々池「必要技能の一つだ。メールも早く打てるようになれ」

土荏田「がんばる」

水野江「土荏田さんが可愛い……だと……?!」

小金井「ほんと……リアルとメールじゃ印象違いすぎるんですけど……」



 ・

 ・

 ・



火々池「佐々木、調べは済んだか」

佐々木「まだ上辺だけですが。大きな問題なさそうです」

佐々木「ただ、彼の両親に話が漏れると少し面倒かとは思います」

水野江「ご両親の職業なんですか?」

佐々木「父親が■■社の重役、母親は専業主婦ですね」

佐々木「兄君が同社に勤めています」

小金井「結構いいとこの人なんですね、あの人」

火々池「成金だけどな。本来なら龍治様に釣り合わん」

佐々木「会話も出来ないですよね」

水野江「まぁドロップアウトしてるっぽいですし? いいんじゃないですか」

小金井「意外。水野江さん反対するかと思ってました」

水野江「色んな人と付き合う事は龍治様の利になると思ってるだけだよ」

水野江「あと悪い人じゃなさそうだし?」

火々池「確かに悪人ではなさそうだがな」

佐々木「今は兄君の紹介で書類やテープの翻訳をやってるそうです」

佐々木「前職はカウンセラーのようですが」

土荏田「みえんな」

水野江「むしろカウンセリング受ける側www」

火々池「草を生やすのはよせ」

小金井「辞めてしまったんですか? どうしてです?」

佐々木「隣県の聖マリア女学院に勤めてらしたのですが、問題が起きて辞職したようです」

佐々木「その辺りはもう少し探ってみます」

水野江「うっわ、お嬢様校じゃないですか。女子生徒に虐められましたかね」

火々池「手を出した線はないのか?」

小金井「童貞っぽいですからないでしょう」

土荏田「げひんだ」

小金井「すいません」

水野江「言葉選べっつの」

水野江「まぁ、しばらくは様子見ですかねぇ?」

火々池「そうだな。龍治様が気に入ってらっしゃるようだから」

佐々木「どこがお気に召したのやら……」

火々池「龍治様のお心を測るなど僭越だぞ」

水野江「何があっても俺らがお守りするんですから、いいでしょう別に」

小金井「水野江さんって見た目のチャラさに反して仕事熱心ですよね」

水野江「その喧嘩買った^^」

小金井「ごめんなさい部屋のドア連打しないで! こわい!」

火々池「喧嘩はよそでやれ」



 ・

 ・

 ・



火々池「あの小娘について何かわかったか」

小金井「火々池さん落ち着いて!」

水野江「激おこじゃないですかー」

火々池「ムカ着火ファイヤー程度だ」

水野江「それって最上級……」

佐々木「火々池さんが爆発する前に報告しましょうか」

佐々木「柾輝さんが仰ったように、莉々依様のご親戚のお嬢様でした」

佐々木「一年くらい前から、問題行動が目立ち始めたようで」

佐々木「女学院でも御実家でも持てあまされているようですね」

土荏田「ゆゆしきじたいだな」

小金井「土荏田さん、そろそろ漢字変換くらいはマスターしましょうよ……」

火々池「話をずらすな」

火々池「それで、久遠様との関係は?」

佐々木「お察しの通り、ストーカーとその被害者のようです」

佐々木「彼女の豹変後のストーキング行為が辞職の理由と見て間違いないでしょう」

水野江「女子高生がストーカーですか。人によってはご褒美ですね」

火々池「ならお前がストーカーされろ。久遠様がお可哀想だからな」

水野江「ひどい! 俺にとってもご褒美じゃないですよ!」

小金井「久遠様がストーカーかぁ。云っちゃ悪いですけど、意外ですよね」

佐々木「そうでもないでしょう」

佐々木「あの人、格好に無頓着なようですけど、きちっとすればイケメンですよ」

水野江「マジすか!」

小金井「うそぉ」

土荏田「そうなのか」

火々池「佐々木が云うならそうなんだろうが、私にはわからんな」

佐々木「髪型で印象ってかなり変わりますからね」

佐々木「お勤め時代にはカッコ良かったのかも知れません。評判は悪くなかったようですし」

水野江「そう云えば、久遠様の前職についての追加情報ないんですか?」

佐々木「あります」

佐々木「どうやら面倒を見ていた生徒が一人、自殺したようですね」

小金井「えー!」

水野江「とんでもない情報出ましたね」

火々池「カウンセリングの失敗か?」

佐々木「どうも事情が複雑なようでして、まだそこまでは」

佐々木「ただ、その時点でクビを云い渡されてはいないので、久遠様の落ち度と判ずるのは早計かと」

佐々木「共に仕事をしていたシスター達からは好評の仕事ぶりのようでしたし」

火々池「その辺り、もう少し詳しく頼む」

佐々木「はい」

水野江「あのアマネって子の情報ももうちょい欲しい所ですねぇ」

水野江「俺も探っていいですか?」

小金井「水野江さん、情報収集出来るんですか?」

水野江「蛇の道は蛇ってねー。女の事は女に聞くよ」

火々池「そうか。なら任せる。ヘマして龍治様にご迷惑をかけるなよ」

水野江「了解でっす」

水野江「それにしても、龍治様相当久遠様の事気に入ってますね」

佐々木「ちょっと予想外なくらいですね……」

小金井「お気に入り要素どこなんでしょう……」

火々池「放っておけないところか? 結構庇護欲誘うタイプだぞ、あの人」

小金井「火々池さんから意外な御言葉!」

水野江「火々池さんは世話焼くの好きな人だから」

水野江「確かに放っておけないタイプかもですけどね、あの人」

佐々木「久遠様ってうっかり扱い間違えると死にそうですよね」

水野江「酷いwww」

火々池「草を生やすな」

火々池「龍治様は将来何万もの人の上に立たれる方だからな」

火々池「そう考えれば、あの慈悲深さは良い事だとは思うが」

佐々木「深入りはちょっと怖いですね」

水野江「そこら辺りは柾輝さんがフォローなさるでしょ」

小金井「その分野は俺たち護衛の範囲外ですもんねぇ」

火々池「柾輝さんの事は信頼しているがな……。何だかんだで龍治様に甘いから、少し心配だ」

水野江「それ火々池さんが云えた台詞じゃないっすわー」

土荏田「だんなさまのおみみにいれるなよ」

小金井「ひらがな読みにくいですよー……」

火々池「場合によっては入れなければならないが……」

佐々木「その判断は龍治様に委ねた方が宜しいかと……」

水野江「チクるのは龍治様への背信ですよー」

小金井「奥様には駄目、絶対です」

水野江「その手の溺愛具合は奥様の方が上だからなぁ」

火々池「龍治様のご判断は無論信じているけどな」

火々池「あの年齢では信じられんほど、的確な判断を下される」

水野江「綾小路のお血筋故なんですかねぇ……」



 ・

 ・

 ・



火々池「水野江。減給していいな?」

水野江「何をいきなり?! ちょ、俺何かしましたっけ?!」

火々池「龍治様に妙な言葉を吹き込んだ覚えは?」

水野江「ありませんけど?!」

小金井「嘘だ!」

佐々木「龍治様が凄い言葉使ってたじゃないですか」

水野江「小金井この野郎!」

水野江「あれには俺もびびりましたって! 俺じゃないです!」

火々池「じゃぁ誰だ?」

佐々木「私は違います」

小金井「僕じゃないですよ」

土荏田「おれはちがう」

火々池「消去法で水野江だろ」

水野江「酷い! 冤罪だ! 訴えて勝ちますよ?!」

水野江「大体俺がなんで龍治様にあんな言葉教えなきゃいけないんですか!」

水野江「龍治様はいつか汚い事も知らなきゃいけませんけど、あの手の汚さはいらんでしょうに!」

佐々木「火々池さん。水野江でもなさそうですよ」

小金井「じゃぁ悪いインターネットの影響かなぁ……」

火々池「まぁ、信じるが」

火々池「普段の言動とかけ離れすぎていらして、何が何やら」

水野江「皆さんの手の平返しっぷりクソゥ……」

水野江「てか火々池さん、なにげに混乱してます?」

小金井「それだけ龍治様が怒ったって事じゃないですか?」

佐々木「噂の激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームですか」

水野江「長いwww」

小金井「やめて佐々木さんww噴いたじゃないですかww」

火々池「草を生やすなと云うのに」

火々池「まぁ確かに、龍治様がお怒りになられても仕方ない事だが」

土荏田「すごかったな、あの子」

小金井「漢字変換おめでとうございます」

小金井「確かにすごかったです。あぁ云う子現実にいるんですね」

水野江「リアルと空想の区別がつかないとか。実在しないと思ってましたわ」

佐々木「この世界がゲーム、ですか。恐ろしい発想ですね」

火々池「下手をしたらもっと危険な犯罪を犯してた可能性があった訳だな」

水野江「久遠様危機一髪?」

佐々木「あの人本当にほっとけないですね」

小金井「扱い間違えたらいつの間にか死んでそうですね、本当に」

水野江「真綿でくるむように大切にしないといけない成人男性ってなんすか」

火々池「その分龍治様がしっかりしてらっしゃるから、バランスは取れているが」

水野江「そう云う問題っすかねぇ……」

小金井「柾輝さんのブチ切れ具合にも驚きましたけどね」

佐々木「あれは私も怖かったです」

水野江「パイプ椅子ぶん投げるとかどんだけ……」

水野江「護衛の意味ってなんだろうか……」

火々池「岡崎家の人間にはよくある事だ」

小金井「岡崎家ってなんなんですか?!」

火々池「わからん。優秀な人間を多数輩出しているが、本質はよくわかっていない」

火々池「隠し事が好きな一族と揶揄されるくらいだからな」

火々池「その点では成守なるかみ家といい勝負だろう」

佐々木「成守はまた別格でしょう」

小金井「成守ってなんですか? て云うか、なんて読むんですか? なりもり?」

水野江「なるかみ、だよ。小金井知らないのか?」

小金井「不勉強すいません……」

佐々木「いや、成守は本当に特殊ですから。一応同業なんですけど」

小金井「同業……要人護衛って事ですか?」

火々池「そうだ。護衛を生業にしてる一族だ。それで生計を立てられているのが一番謎だな」

水野江「護衛なんて、割と本人のセンスが物を云う部分がありますからねぇ」

水野江「それを一族で三百年やってんですから、伝説にもなりますわ」

小金井「な、なんか凄そうなんですけど」

土荏田「すごいんだ」

火々池「成守が一人いれば他の護衛はいらんとすら云われる」

火々池「多少の誇張はされているだろうが、世に出た成守が凄腕なのは事実だな」

火々池「謎の一つとして、護衛対象を自分達で選ぶと云うのがあるんだが」

小金井「どう云う事です?」

佐々木「雇い主から依頼が来て護衛役を出すんじゃなくて、成守が守る人間を選ぶんです」

小金井「どうして生計成り立つんですかソレ?!」

火々池「だから謎だって云ってるだろう」

水野江「選んだ人間も様々ですからねぇ」

水野江「元華族やら政治家やらの時もあれば、極普通な一般人を選ぶ時もあるとか」

火々池「例外は皇族の方々だ。彼の方々には必ずお一人お一人に護衛役を“献上”している」

小金井「聞けば聞くほど謎で怖いんですけど……」

土荏田「得体がしれないよな」

佐々木「宮内庁が背後に居るって話はよく聞きますが、真偽も定かじゃありませんし」

火々池「自ら関わろうとしなければ、そう害はないけどな」

火々池「得体が知れんから、みんな話題にしたがらない」

火々池「謎が謎を呼ぶ一族だよ。正直私も関わりたくはない」

水野江「正体不明、理解不能ってのは恐怖に直結しますからねぇ」

小金井「はー……。なるほど、勉強になりました」

小金井「でも龍治様なら、その人達から選ばれそうですよね」

小金井「むしろ、龍治様が選ばれなかったら誰が選ばれるのかって云う」

佐々木「不吉な事云わないで貰えます?!」

火々池「成守が来たら私達がお役御免の危機だろうが!」

水野江「ふざけんな! 成守なんぞに龍治様は渡さないからな!」

土荏田「冗談がすぎる」

小金井「ごめんなさい?!」



 ・

 ・

 ・



水野江「佐々木さん遅いですねー」

小金井「そろそろ帰って来てもいいんじゃないですか?」

火々池「連絡入れてみるか。少し待ってくれ」

土荏田「わかった」

水野江「久遠様に何かあったとかじゃないですよね」

小金井「龍治様にいじめられて泣かされたらしいですけど」

水野江「なんかやらしい。背徳感があるのは気のせいか?」

火々池「いかがわしい事を云うな。もぐぞ」

小金井「ど、どこを?!」

佐々木「すみません。今タクシーに乗りました。後に十分くらいで戻ります」

水野江「おっ」

小金井「久遠様大丈夫なんですか?」

佐々木「大丈夫ですよ」

佐々木「暗闇待機していた私に驚いて、素っ頓狂な声を上げるくらいには」

火々池「何やってるんだ」

小金井「可哀想な事しないであげて下さいww」

水野江「佐々木さんが暗闇の中で待機してたら俺でも悲鳴あげるっすよww」

火々池「ログを取っているのだから草を生やすなと云うのに」

水野江「すいません」

小金井「気を付けます」

火々池「食事を摂る所までは見届けてないのか?」

佐々木「流石に過保護だと思いまして」

火々池「そうか?」

小金井「火々池さんがすっかり久遠様に対して過保護に」

火々池「そうか?」

水野江「自覚ないじゃないすかこの人」

土荏田「過保護だぞ」

火々池「土荏田まで……。そうかな、普通だと思うが」

小金井「多分火々池さんの普通の基準は龍治様」

佐々木「龍治様を基準にしたら普通ですね」

水野江「揃いも揃っていい年した男相手に……」

土荏田「やきもちか」

水野江「なんでそうなりましたかねぇ?!」

佐々木「水野江、龍治様の事大好きですもんね」

火々池「我ら全員龍治様を敬愛しているだろう?」

佐々木「それはもう」

小金井「もちろんです!」

土荏田「当然」

水野江「してますけど」

小金井「水野江さんトーンダウン」

水野江「うるさい」

小金井「壁ドンしないで下さいよー」

佐々木「防音仕様なのに聞こえるとかどう云う事ですか」

火々池「壊したら給料から差っ引くからな」

水野江「そんなヘマしませんよぉ」

小金井「なんかホラー映画みたいに壁からカリカリ音するんですけど」

火々池「塩盛っとけ」

水野江「人を悪霊呼ばわりとは失礼な」

土荏田「今その話題は不謹慎じゃないか」

水野江「もう三日も前の話だそうですから」

佐々木「殺しても死にそうにない感じでしたけどね」

火々池「因果応報の気配がする」

小金井「あの……皆さん、悪意がモロリなので……もう少し八つ橋辺りに包んで下さい……」

火々池「前向きに検討する」

小金井「それっていいえですよね?!」

水野江「死人を悪く云うのはいけない事だが、口にした言葉は取り消せないからな」

佐々木「あの暴言は例え亡くなられようが許しません」

土荏田「俺も怒ってはいるが」

火々池「思い出すのも業腹だが」

火々池「あの暴言一つでも旦那様か奥様の耳に入れば麻倉家は朝日を拝めん」

佐々木「麻倉と云う名の家が地球上から消え去りますね」

水野江「そしてそれを不審がる者も気にする者もいない、と」

小金井「なんですかそれ怖い。新手のホラー?」

佐々木「龍治様に謂われ無い暴言を吐くと云う事はそう云う事を意味します」

火々池「冗談でも誇張でもなく、ご夫妻はそう云う方々で、綾小路家はそれが出来るお家だ」

水野江「正義が勝つんじゃない。力あるものが正義だ」

小金井「わー……」

小金井「僕とんでもない所に就職しちゃったー……」

水野江「逃げられると思うなよ」

小金井「え」

火々池「お前使い勝手いいから、辞職は認めん。身を粉にして龍治様に尽くせ」

小金井「いや辞めませんけど! 辞めませんし龍治様の為に働きますけどなんか怖い!」

佐々木「綾小路家に関わると、有り得ないほど成功するか」

佐々木「ドン底まで破滅するかのどちらかの場合が多いです」

佐々木「もちろん例外もありますけどね」

小金井「都市伝説か何かなんですか綾小路家は」

火々池「普通なら斜陽して終わってるはずだったお家が、日本五大財閥になってる辺りで察せ」

水野江「まぁブラック企業じゃないから安心しろ。業務内容は驚きの白さだ」

小金井「漂白剤みたいな云い方しないで下さいよ」

佐々木「ただ御一族の方々は……お察し下さいだ」

小金井「……」

火々池「龍治様もそのうちお目覚めになるのだろうな」

小金井「そんな日が来たらネッシーが嘘だったと知った時並みのショック受けそうです」

水野江「余裕じゃねーか」



 ・

 ・

 ・



佐々木「火々池さんが某ゲン■ウさんのポーズのまま動きません」

小金井「水野江さんもその格好して動きません」

小金井「僕の部屋のテーブルから」

小金井「orz」

佐々木「どんまいです」

土荏田「そんなにショックだったのか」

佐々木「そらもう、劇的びふぉーあふたーも真っ青と云いますか」

小金井「とんでもない伏兵がいたものだと」

土荏田「佐々木が云った通りなわけだが」

佐々木「そりゃ美形に違いないとは思ってましたけど」

佐々木「あそこまでとは、私も正直予想してませんでしたよ」

水野江「艸凪の莫迦が写メとってた」

水野江「美形見れて得したとか莫迦なのあいつ」

水野江「メイドに自慢するとか意味がわからない」

小金井「復活したなら自分の部屋に帰って下さいよ。邪魔」

土荏田「今小金井の悲鳴が」

佐々木「怪我させないで下さい。大事な戦力です」

水野江「そんなヘマはしません」

小金井「骨がミシって云った! ミシって! 内臓に圧が!」

佐々木「水野江」

水野江「てへぺろ」

火々池「あんな美形ならストーカーの一人や五人いるだろうな」

土荏田「こわいこと云うな」

佐々木「復活早々不穏な事を仰る……」

火々池「護身術仕込むか」

水野江「火々池さん、ちょっと?」

火々池「身長はそれなりにあるんだから、鍛えればいい線行くだろ」

小金井「火々池さーん?」

火々池「あんなのが自然に放流されて淘汰されない訳がない」

土荏田「佐々木なぐれ」

佐々木「了解です」

水野江「いま凄い音しませんでしたか」

小金井「音漏れ酷いんですけど。上等な防音仕様って嘘なんですか」

土荏田「防音は完璧だ。さっせ」

佐々木「火々池さん、越権行為です」

火々池「申し訳ない」

火々池「だが私が有余るほど心配していると察して欲しい物だ」

水野江「確かに心配ではありますけどねー」

小金井「龍治様と並んで違和感ない時点で相当ですもんね」

小金井「もちろん龍治様の方がお美しいですけど!」

佐々木「それは当然ですから」

火々池「当然の事を改めて云わなくていい」

水野江「龍治様は規格外だからな」

土荏田「あの御年で恐ろしいほどにな」

小金井「ですよねー」

佐々木「まぁ確かに」

佐々木「花蓮様も眞由梨様もお認めになりましたから、公式に龍治様のご友人となられた訳で」

佐々木「加えてあの美形っぷりですからね」

佐々木「さらには警戒心も低めで、根本的には善人な訳で」

水野江「厄介事の匂いがぷんぷんしますぜー」

小金井「その辺り龍治様は」

火々池「当然考えていらっしゃるだろう」

佐々木「だから龍治様の御命令が出るまで待機ですよ、火々池さん」

火々池「うん」

小金井「わー素直ー……」

水野江「意外と佐々木さんって強いですよね……?」

土荏田「地味だとあなどるなよ」

佐々木「周りが派手ですから私くらいは地味でいいんです」

火々池「こう云う奴が暗殺者タイプなんだ」

火々池「目立たぬように行動して、相手が油断したところをサクッと」

水野江「ありありと想像出来るのが怖いっすわー」

佐々木「二人とも人をなんだと……」

水野江「褒めてるんですよぉ」

小金井「て云うか、本当にそろそろ帰って下さいよ水野江さん……」

水野江「ケチくさい事云うな」

土荏田「小金井の悲鳴が」

佐々木「なんですか、水野江。何をイライラしてるんです?」

水野江「別にイライラなんてしてませんよ」

火々池「恙無つつがなく久遠様が認められた事が気に入らないのだろう」

水野江「別にそんな事ないです」

佐々木「最初は水野江の方が認めてる方向でしたのに」

火々池「男心は複雑怪奇って事だろう」

小金井「お二人とも煽るのやめて下さい! 僕に被害がきます!」

土荏田「防御の練習と思え」

火々池「頑張りなさい、五番手」

佐々木「本気の水野江は土荏田でも苦戦しますから、よい鍛錬になりますよ」

水野江「許可が出たな、道場行くか?^^」

小金井「あんたら全員鬼かー!」



 ・

 ・

 ・



 *** ***



「お前達「REIN」やってんだって?」

「えぇ、便利なもので」

「ふーん……」

「龍治様?」

「俺もやろうかなぁ……」

「えっ」


※護衛ファイブは住み込みです。(屋敷の一角に使用人の部屋が集まった棟があります)

※部屋順:(角)火々池・佐々木・土荏田・水野江・小金井

 各部屋個々人の個性が出てます。土荏田は和室に改造してたり。

※ちゃんと休暇はありますが、火々池は休日返上で働く事が多いです。

 だから嫁にブチ切れられて出て行かれるんだは死を覚悟レベルの禁句。

※龍治の前では全員丁寧な言葉使いを心がけていますが、仲間内になると砕ける奴も出てきます。


 津月つづき日由ひよりは治之の筆頭秘書コンビです。

 そのうち出てくるかも?


 また脇役視点からの話をたまーに入れて行きたいと思います。

 ネタはあるので。ふひひ。

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