20.一番近くて一番遠いヒト
今回もお読みいただけて嬉しいです有難うございます!
相変わらず龍治が一進一退なような気が……。悩み癖は消えませんな!
次はもうちょい進展すると思います、が。
お気に入り登録3000件突破真に有難うございます!
わー、想像もしてなかったくらい多くの方々に気に入っていただけたようで……! 恐れ多くも有難いです。今後とも頑張ります!
お気に入りユーザ登録も100名様以上になって……あ、最近気付きました。逆お気に入りユーザって項目あったんですね。一番下まで見ろよって云う……orz<こんな阿呆にありがとうございます……
「うぐっ……!」
一言呻いて、龍治は目の前の勉強用机に突っ伏した。机の上は綺麗に片づけてあるので、突っ伏しても問題はない。ただ少し額が痛いだけだ。
頭の中身がぐわんぐわんと掻き回される感覚。脳みそを素手で握られたらこんな不快感がするのではないだろうか、と思わずにはいられない。
吐き気と戦いながら顔を上げて、龍治は机の隅に置いたティーカップを手に取る。もうぬるくなっていたが、沈静効果があるらしいハーブティーを一口飲めば、多少ではあるが不快感が収まった。
「……どうにも」
上手く行かない、と心の中で続きを呟く。
大きく溜め息をついた龍治は、また机と親友になるべく突っ伏した。ひんやりと硬い木に頬がむにゅりと潰れたが、それは別にどうでもいい事で。
眉間に思い切り皺を寄せて、もう一度溜め息。
前世の記憶――ゼンさんと向き合うと決めた龍治であったが、これがどうにも上手く行かなかった。
そもそもゼンさんとは何か。前世の記憶の事だ。それは人ではなく、魂でなく、ただの記憶の塊に過ぎない。有機物ではなく無機物。生命ではない。パソコンの中に収められたデータと変わらない。けれど、圧縮されたその記録は約九十年分。人一人の、人生丸ごとだ。
だから龍治はその記憶を意識する時、どうしても人を意識する。これは物。ただの記録の集合体だと分かっているのに、一人の人――生きている存在だと感じてしまう。
(そんな訳ない。ゼンさんの生まれ変わりが俺な以上、“ゼンさん”と云う人間は今存在しない――出来ない。俺が生きている限り、ゼンさんは過去の死人だ)
それでも、自分の中に一人の生を感じる事がある。それが錯覚か事実かは、龍治にすら判断がつかない。
常識的に考えれば錯覚だろうなと思って、笑えて来た。
(前世の記憶がある事自体、非常識だろうに)
それなのに常識的に前世について考えるなど、矛盾もいい所だ。
龍治は過去に、「本当に前世の記憶がある事は稀なのだろうか。もしかしたら、みんな隠しているだけで、持っているんじゃないのか」と疑問に思った事があった。自分と云う前例が居る以上、この世界に前世の記憶持ちは龍治一人、とは断定できない。確かどこぞの宇宙関係機関が作った「宇宙に地球人以外の知的生命体が居る可能性」を出す方程式で、「地球と云う前例が存在する以上、その可能性は決してゼロにならない」と云う結果が出ていたはずである。つまり、龍治が存在するのだから、龍治以外に前世の記憶を持つ者はいない、とは云い切れない訳である。
しかし真正面から直球で、「前世の記憶ありますか?」と問うのは頭が悪すぎる。ゼンさんの知識の通り、「前世の記憶など無いのが当たり前」「むしろ前世など存在しない。宗教上の方便」がこの世界においても常識であった場合。子供故の好奇心で終わらせられればいいが、龍治の優秀さからして「頭良すぎて逆におかしくなったか」と思わる可能性があった。出来が良すぎると、周りの期待が妙な方向へ行くもので、些細な“失態”でも大きく取り上げられるのはよくある事。
なので龍治は、父の書斎の中にあった仏教に関する本を片手に、「この本には輪廻転生についての記述があるが、貴方はどう思いますか」と聞いて回ってみたのだ。こうすれば、知的好奇心から出た質問で片付けられるだろうと。
そうして結果は、「あったら面白いですね」とか「考えた事もないです」とか「仏陀について御調べですか?」とか、そう云う類のもので。「前世の記憶があるなんて当たり前ですよ!」と云う反応は当然ながらなかった。後、実はあるのに隠してます、と云う風な人間もいなかった。龍治が見破れなかっただけかも知れないが、そうだとすれば、持っている人間は決してそれを悟られたくないと思っていると云う事だ。
結論。前世の記憶があるのは、非常識だと云う事である。
非常識である故に、龍治は行き詰る。見本にする前例がないので、ゼンさんとの付き合いは手探りで行くしかなく、何かあっても自力で調査しなくてはならない。参考にすべきものが無いのだ。
架空の世界ではよく題材にされているが、それが参考になるかと云われれば微妙な所である。所詮は人の空想であり、現実ではない。現実的に前世の記憶について悩む龍治とは、地味に誤差が生まれる。
「漫画の中の連中は気楽に自分の前世と向き合いやがって!」とか喚きたくなったりする。「何で割り切れるんだよ! もっと悩めよ! 前世からの運命なのね、とか舐めんな糞ッ!」と口汚く罵ってしまったりする。「人格トレースとか転生じゃなくて復活じゃねーか! 悩め苦しめ悶えろよ! お前もしかしたら、今生の人格だか魂だかを塗り替えたか押し潰したかしてるかも知んないんだぞ! 殺人じゃん!」とか云って机をばんばん叩いてしまう。
これらは全て全身全霊で八つ当たりなので、龍治自身が云った後でへこむ。自分の情けなさと不器用さに泣ける。
大変精神衛生に優しくないので、龍治はあまり転生物を扱った創作物は読まないようにしていた。最初、参考にはなるかな~、とか軽い気持ちで読み出した自分に後ろ回し蹴りを決めてやりたい。
ちなみに、ネットで前世の記憶云々関連について検索してみたら、創作よりこちらの心を抉る結果になったので二度と調べないと太陽に誓った。ちゅうにびょうなんて滅べばいい。現世に不満があるなら来世に期待しろ、とか云いたくなってしまった。
「……は~ぁ」
溜め息をついて起き上がり、頬杖をつく。今度は自分の手の平で頬がむにゅりとなったが、やはりどうでもいい事だった。
(……前までは、自分の知りたい情報はぱっと提示されたのになぁ)
キャンプ二日目の夜――眞由梨を一度は切り棄ててしまったあの夜、龍治は悪夢を見た。見下げ果てた屑だった幼い自分の夢と、妙にリアリティ溢れたゼンさんの夢。
酷い物を見せられたと嘔吐したのだが、その後冷静になってみれば、あの夢がなければ龍治は停滞したままだったと気付かされた。世界を侮ったまま、まだ見ぬ『ヒロイン』に敗北していたかも知れない。
だから今は、あの夢を見せられた事に感謝すらしている。だが――
(て云うか、ゼンさんが見せたんじゃなくて、俺が望んで見たんだよな)
“ゼンさん”はあくまで、龍治が成り行き上付けた“前世の記憶の総称”であって、本人ではない。彼女には意思や意志などはない訳である。人一人分の記憶があるから、「あぁこう云う場合、ゼンさんはこう云うのだろうな」とか「ゼンさんならこう思う気がする」と思う事はあるが、彼女の記憶が直接物を云う訳ではない。あくまでも、“気がする”範囲なのだ。
だからあの二つの夢は、「このままではいけない」と無意識下で考えた龍治自身が己に見せつけたものである、と考えるのが妥当だ。
当たり前だ。龍治の中に「九十一歳まで生きた人の人生一つ分の記録」は存在しても、“ゼンさん”と云う名前の女性は居ないのだ。
(……そう云えば、俺、ゼンさんの名前わかんないな)
今まであまり気にしていなかったが。龍治は、記憶の持ち主の名前が分からないのだ。
記憶の持ち主の両親、弟、夫、子供、孫、曾孫の名前は全てわかる。それどころか上司とか同僚とか友達とか、ご近所付き合いのあった人達の名前とて顔と共に鮮明に出てくる。
が、当の本人であるゼンさんの本名は、どう検索しても出て来ない。周りに呼ばれている記憶があっても、名前の部分だけ塗り潰されたかのようにわからない。
そこまで考えて――背筋が震えた。
(……やめよう。考えてもしょうがないし)
ぽいと今までの思考を棄てて、改めて別の事を考える。
そう、記憶の検索についてだ。
(こうなるまでは特に意識せずとも記憶が検索出来てたんだから……意識したから逆に駄目になったって事になるのか?)
向き合おうと思った矢先の酷い躓きである。
龍治の推測だが。
そもそもゼンさんの記憶は今現在龍治の物――龍治の管理下にある。何らかの情報が欲しい場合、無意識下で必要な情報を選別していたのではないだろうか。無意識だから龍治の意識には負担が掛からない。しかし、いざ意識して情報を選別しようとしたら、情報量が膨大すぎて捌き切れなくなってしまった、と。
(なんたる本末転倒……!)
頭を抱えてまた机に突っ伏した。今日はやたら机と仲良くなっている気がする龍治である。
「……」
婚約者と幼馴染を守るため、自分の周りの全部を背負うために立ち向かうと決めた。その決意を撤回する予定は当然ながらない。だからまずは、自分の脳内にある情報を整理しようと思った。
『世界の全ては君のモノ』――その乙女向けゲームの情報を、真剣に探った事は今までない。概要をなぞっただけ。『花蓮』と『柾輝』については他より深く探ったが、それでも全ルート全EDを“見た”訳ではない。
だから今後の為に、『せかきみ』の全てを整理・理解しようと挑んだと云うのに。
(『せかきみ』で検索したら、頭破裂しそうなくらいドカンと情報が出てくる……!)
原作ゲームから設定資料集からグッズから派生小説から果ては二次創作の同人まで。そこまでいらんと云う情報が一気に押し寄せてきて捌き切れない。
そもそも原作ゲームがスチル全取得に平均約五十時間、全ルート選択肢確認を含めれば百時間以上のプレイを強いられる。攻略キャラも多ければ、ノーマル・トゥルーEDの他にバッドEDもかなりある。攻略キャラだけでなく、サブキャラやサポートキャラとのイベントもそれなりにある訳で。
しかも、攻略キャラは一度に全員出る訳でなく。メイン攻略対象である『綾小路龍治』と奴の側に付かず離れず控えている『岡崎柾輝』、そして『ヒロイン』の幼馴染枠に当たるキャラ以外は『ヒロイン』のステータスの上げ方で出たり出なかったりする。イベントの中には、出現しているキャラによって変化が生まれる物も当然ある訳で。
そんな膨大な情報量、一気に叩き込まれたら吐き気を覚えもするだろう。
「はぁ……」
また溜め息が出てしまう。溜め息をつくたび幸せが逃げると云うが、もしそれが本当なら龍治の幸福はどれほど遠のいたのだろうか。
机の上にある時計を確認する。苦しみ出してから三十分は過ぎていた。
(……そろそろ柾輝が様子を見に来る時間だな)
今、自室に龍治は一人である。昔から思考に没頭しがちで、一人で悩みたい事が多い龍治であるが故に、自宅ではそれなりに一人の時間が得られている。
ただ、「考え事があるから一人にしてくれ」と云うと余計な心配をかけるので、趣味がジグソーパズルやクロスワードであると云う事にしておいて、「集中して解きたいから一人にしてくれ」と云って一人の時間を確保していた。まぁ大体のパズルは開始三分で終わるので、残りの時間は有意義に己の悩みへあてる訳だ。
ここ最近の駄目っぷりを見てこの云い訳も苦しいか、と思っていたのだが、柾輝はあっさりと「はい、わかりました」と云って引き下がった。どうやら龍治の想定とは逆に、「以前の趣味を楽しめるくらいに復活した」と思われたようだ。好都合なのでそう云う事にしておく。
しかし龍治の優秀さが災いしてか、この云い訳でも一人の時間確保は三十分がいい所であった。なので、そろそろ柾輝が様子を見に来るだろう。
「……寝よう」
そうしよう、と心に決める。物事が上手く行かない時、睡眠を取るのは有効な手段だ。例えそれが世間的に云えば、「不貞寝」だとしても。
そう決めた途端、扉が叩かれた。返事をすれば、柾輝とお茶のお代わりを持って来た使用人が入って来る。
「龍治様、パズルの進み具合は如何ですか?」
「もう終わった。また新しいの買っといてくれ」
「承知致しました」
柾輝も使用人も、何が楽しいのかにこにこ笑っていた。その二人の顔を眺めてから、龍治は椅子から降りる。
「龍治様?」
「なんか眠くなった。昼寝する」
「お茶は如何しましょう?」
「そのまま置いといてくれ。寝起きは冷たいの飲みたいから」
「畏まりました」
香りは飛んで味も落ちるだろうが、龍治が「勿体ないから後で飲む」もしくは「後で食べる」などと云うのはよくある事なので、使用人も素直に頷いた。ティーセットを勉強机とは別のティーテーブルの上に置き、龍治を昼寝させるために布団の準備を始めようとする。
「布団はいいや。茣蓙と硬めの枕とって。後はタオルケットでいい」
「あ、はい。わかりました」
「体を冷やしてしまいますよ、龍治様」
「冷房消して窓開ければいいだろ。後は扇風機で充分だから。汗かきたいし」
こう云う時はとことん龍治は庶民派である。昼寝するのに、空調整えてふかふかの布団で、と云うのはあまり好まない。昼寝は雑でいいのだ、雑で。
使用人が云われた通りに茣蓙などを用意し、柾輝が窓を開ける。冷房で適温に冷やされていた部屋に夏の熱気がぶわりと広がったが、それが龍治には心地よかった。今日は風があるのか、レースのカーテンが大きく舞っている。洋館じゃなく、純和風の家屋、それも縁側であったら最高に気持ち良い昼寝が出来る気候だ。
窓の近くに用意された茣蓙にころんと寝っ転がる。イ草の感触と香りが気持ち良い。ああ自分は今贅沢をしているなぁ、と云う気分になった。多分、周りは「その程度で」と鼻で嗤うと思うけど。
「一時間したら起こしてくれ」
「はい、分かりました」
「では、失礼致します」
「んー」
部屋から辞する二人にひらっと手を振って、龍治は目を閉じた。あまり良い夢は見れないだろうなと思いながら。
*** ***
そうして龍治は夢を見る。相変わらず見るのは明晰夢だ。夢だと理解しながら、それを見る。
今日はどんな夢を見るのか。行き詰って見た夢なのだから、善いモノではないだろう――。
――黒い世界が広がっている。真っ黒に塗り潰されたそこは静まり返っていて、龍治以外誰もいない。だがしかと床を踏み締める感覚があるので、宙に放りだされている訳ではなさそうだ。
ふと視線をあげる。誰かが居た。誰かが座っている。
いつの間にか周囲は、純和風の庭園になっていた。
見覚えがない。おかしな話だ。夢に見るのは自分が経験したものであるはず。見た事のないものは、見る事が出来ない。空想で組み立てた庭だろうか。それとも違う気がする。
歩いてみると、砂利を踏み締める感触がした。これも相変わらず。龍治は夢の中で、確かな五感を持っている。よくある事だ。
目の前に誰かがいる。縁側に座って、庭を眺めている。誰だろう。女性のようだ。年齢は分からない。
幼い童女にも見える。龍治より少し年上の少女にも見える。妙齢の女性にも見える。成熟しきった女にも見える。ゆるやかに年を重ねた老女にも見える。
見た事はない。会った事もない。けれど龍治には、それが誰だかわかった。
(……――ゼンさん?)
夢の中で呼びかける。年の分からない女が龍治を見た。
顔はわからない。姿もわからない。年齢もわからない。何もわからないのに、その女が自分の前世に当たる“ゼンさん”である事だけはわかった。
女は笑ったようだ。穏やかに笑っている。口を動かしているが、声にはなっていない。唇の色は、艶やかなコーラルピンクだった。
困ったように笑った女が、手招きをする。龍治は素直に従って、彼女の側へと歩んだ。女が嬉しそうな表情になる。顔がわからないのに表情の変化が分かるのが不思議だが、夢なのだから仕方がない。
座る様に仕草で示されて、これまた素直に隣りに座った。彼女はやはり嬉しそうにすると、どこからか数冊の書籍を取り出した。厚みも大きさも全然違う数冊の本。何だろうと思って表紙を見る。
(え……)
『世界の全ては君のモノ』――完全攻略本、コンプリートガイド、設定資料集vol.1、vol.2、vol.3、ファンブック第一巻、第二巻、第三巻、ドラマCD一巻から五巻、公式小説、抽選で当たった台本、イラスト集、その他諸諸――。
『せかきみ』に関するあらゆる書籍が、そこにあった。
顔をあげる。コーラルピンクが動く。――役に立ててね、とでも云うかのように。
にこりと女が笑った。親しげな笑み。優しげな笑み。親身になっている笑み。
何で――疑問を口にする前に数多の書籍をぐいと押し付けられて、
――龍治は、夢から覚めた。
*** ***
「――ッッ?!」
飛び起きた。タオルケットを跳ね退けて、腹筋だけでがばりと。
「?! ……っ、? え、ぁ……ッ…………はァ?!」
意味がわからなくなって、意味不明な言葉にすらなっていない音を口から出す。
どくどくと心臓が激しく動いている。汗をぐっしょりとかいていた。呼吸が荒く、肩が上下する。指先やつま先が痺れたように冷たい。自分で見る事は出来ないが、恐らく顔色は真っ青だろう。
どう考えても悪夢を見た後の様である。
「……え」
特に意味の無い母音が口から出た。
回想する。
夢を見た。黒い世界。真っ暗闇。いつの間にやら日本庭園に。砂利の感触。縁側。女が慎ましく座っていた。何もわからない女。笑う。コーラルピンク。たくさんの本。押し付けられたそれら。
「……え?」
笑う。笑う女。親しげな笑み。優しげな笑み。親身な笑み。総じて穏やかで敵意の欠片も無い、龍治の全てを許容するかのような、そんな笑顔。顔は。わからない。見えない。知らない。姿は。何もわからない。
それでも龍治は“知っている”。
あれはゼンさんだった。
「え――?」
頭の中身を探る。理路整然となった情報が提示される。脳は静かに回っている。問題は何もない。
情報。提示される。取捨選択された。必要な分を必要な限り。以前のように、正しく、作動している。問題は何一つない。情報過多も不足も無い。正しく、捌ける。
「……えぇ?!」
ゼンさんなんて存在しない、はず。頭の中に“いる”のは、人一人の人生が丸ごと一つ。記憶は記録でしかなく、そこに魂はない。今生の綾小路龍治が存在する以上、前世の人は故人である。魂の主は龍治で、ゼンさんは便宜上の存在で、いや、でも、……あれっ?
――それら全ての“常識”が足元からひっくり返された感覚に、龍治は頭を抱えた。
「ど、どうなってん、の?」
答えてくれないはずのゼンさんの記憶が、「がんばってー」と笑っていた。――ような気が、した。
(^ω^ 三 ^ω^)
(・ω・`)
(゜∀゜)<女はミステリアスな方がモテるってどっかのエロい人が云ってた!←