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誰もこの命題を証明できない。  作者: ignisruby
第1章 空、明くる
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17話 彼は徒手空拳で立つ。そして、戦う。

1章終わり!


(な ん で こ う な っ た)


 先程、スコットから事情説明を受けて、まずクリフが思ったことはこれだった。

 まあ、なぜ、このようになったことは理解もしたし納得もしたが、だからと言って、面倒なことになったと思わずにはいられなかった。

 そして、スコットからはできるだけ、勝ってほしいと言われた。

『……まあ、どちらが勝っても大して状況は変わらんのだがな』

 とはスコットの弁だが。

 スコットが言うに、その中でも一番悪い状況になると思われるのが、クリフが負けることであると。

 まあ、そりゃあ、そうだと、クリフも思った。

 負けたら、クリフたち直系の権威が失墜する可能性がある。

 しかし、今回の決闘は子供同士の戦いであるし、決闘の大義名分も非常に弱い。したがって、貴族相手に対しては大きく影響を与えることはないが、民衆はそうではない。

 煽り方次第では、民衆は流されてしまう。

 民衆あっての貴族であるから、あまりこちらに不利な流れになるのはまずい。

 だから、勝ってほしいと。

 だがしかし、スコットのそんな心配は必要なかった。クリフには毛頭、負けるつもりなんてなかったのだから。

 何故と言われれば、クリフの本質は負けず嫌いなのだから。

 RPGで言えば、ぎりぎりの戦いよりも、十分に準備をして一方的な展開で敵を叩き潰すほうが好きな人間である。

 であるからにして、クリフの目には静かに闘志が渦巻いていた。

(さて……どう戦おうか)

 いつも、練習で使っている庭でクリフは対戦相手であるジェラートをじっくりと眺めた。

 ジェラートは赤毛の短髪で若干恰幅がいい体形をしていた。

 彼は手に持った木刀を一生懸命に握りしめて、振り下ろす作業を繰り返していた。

 シュッシュッ

 静かに木刀が鳴らす音が、響く。

 そうしながら待っていると、建物から一人の男性がやってきた。

 その男性は今はエインズワース家の執事の一人だが、執事になる前は軍に属していた人である。

「では、二人とも、こちらに来てください」

 呼ばれたので、クリフとジェラートはその執事のもとに近づく。

 一瞬、ジェラートはクリフのことを睨みつけたが、クリフにとってはそよ吹く風だった。

「爺様、ブラッド様。略式でいいですか?」

 両人とも首肯する。

「では、これより、クリフィード・エインズワースとジェラート・エインズワースの略式決闘を始めます。二人とも、握手をしてください」

 言われて右手を差し伸べる。

 ジェラートが出したのは左手だった。

 クリフは困惑した様子だった。

「ジェラート様。右手にしてください」

 ふん、といった感じで右手に差し替えた。

 握る。

 ……?

 どうも、力を加えたようだが、クリフにとっては痛くなかった。

(こういうところはまだまだ、子供だなー)

「手を放してください。二人とも、その場から五歩後ろに下がってください」

 一、二、三、四、五。

「では、構えてください」

 クリフは気楽な姿勢で、

 ジェラートは木刀を持ち中段の構えで、

 構えた。


 彼らは集中している。

 クリフは気楽ながらも、すぐに動けるように、

 ジェラートは少し硬くなりながらも、立派な|佇<たたず>まいで。

 

 鳥の|囀<さえず>る音が、

 ピュウと風が駆け抜ける音が、

 自身の唾を飲む音が、

 審判の持っている旗が鳴らす音が、

 決闘の開始を始める声が、

 

    聞こえた。

 

――パチン。

 クリフから、指を鳴らす音が聞こえた。

 

「……しゅ、終了……」


 瞬殺だった。

 ジェラートの首を抑え込むように彼の左前、右前の地面から、|筍<たけのこ>のように氷槍が生えていた。

 後方からも、銅を抑え込むように、左右から二本の|氷槍<たけのこ>が生えていた。

 直後、その氷槍は儚く崩れ落ちた。

 クリフが魔力で崩したためである。

「勝者、クリフィード・エインズワース「ちょっと待てよ」」

 勝者を宣言した審判に割り込んできたのは、ジェラートである。

「魔法はなしだろ」

 外野がそうだそうだと騒ぐが、審判は首を振った。

「いえ、ありです。そのように申し合せもありませんでしたので」

 一般的に魔法は詠唱が必要である。したがって、決闘では詠唱できないので、多くの場合、魔法は使えない。よって、決闘にて、魔法を使うという考えが多くの人の頭の中から、抜け落ちていた。そのことを鑑みるとクリフが如何に奇天烈だということがよくわかる。

「じゃあ、さっきのはノーカウントだ!」

「決闘に再試合はありません」

 にべもなく切り捨てられるジェラートであった。

「ちっ」

 ジェラートはクリフに背を向けた。

 

 数日後。

 こうして、クリフとジェラートの決闘はあっけなく終わったことにより、どうにか、スコットの考えていたシナリオよりはいい展開で終わった。

 結果としては、今回の件はブラッド側にとってはただの無駄骨となった。

 しかし、これは空前絶後の血みどろのお家騒動。

 エインズワース家10年紛争の|緒<いとぐち>にすぎなかった。

さて、ひどい終わり方ですねこれ。

もう少しエピローグとか戦いとかで引っ張るべきかと思ったのですが、めんどry……設定とかとの整合性が保たれないのでやめました。……どこで切っていいのかわからなくなるし。


ということで二章ですが、まだ細かいシナリオは決まってません。……あったのかと思われるでしょうが、あるんです。


でもまあ、一応、次章の舞台は学校ですね。

……多分。


ということなので、また少し時間を頂きます。

というか、そろそろテストだからそんなこともやってられんのだけれど……。

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