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誰もこの命題を証明できない。  作者: ignisruby
第1章 空、明くる
11/19

9話 彼は教えを受ける。そして、地面にへばりつく。

連日、熱いですね。

まあ、室内でエアコン効かせているので、気になりませんが。

それでは、9話よろしくお願いします。

 魔法と読み書きが続いたとある日。

 いきなり、アイヴィーが声を上げた。

「クリフちゃん。剣術の練習し、ませんか?」

 突然のことだったので、いまいち要領を得ないのだが、詳しく聞くと、魔法だけできる魔法師はそう多くないそうだ。多くの場合、剣術や弓術、槍術など、いっぱしの格闘技術は身に着けているそうだ。

 時の流れ……と言うのも、勿論あるのだが、剣士と言っても、魔法を併用することの多い、この国では魔法のみと言うのは余程、その人に魔法の才能があった場合にしか認められない。

 と言う話なので、早速その練習……の前の体力づくりをやることになった。

 ……まあ、クリフは6歳だから致し方ないのかもしれないけれど。

 クリフ達は裏庭に来ていた。

(……イギリス人もそうだけど、何で向こうの家は、家の前に庭を置くことはしないんだろう? ま、いいか)

「クリフちゃん、走ろ?」

「はーい!」

「……私は、そこで見ていますので」

(お? リアは走るの苦手なんかな?)

 それはともかく、ゆっくりとだけれど、走ってみる。

 速さはあまり出ない。

 ゆっくりとジョギングするアイヴィーに付いて行く。

 裏庭と言っても、流石に男爵ともなると、そこんじょそこらの大きさじゃなく、軽く野球ができるぐらいには大きかった。しかも、芝生。のちに、クリフはエインズワース家の持つ土地がこんなものではないと知ることになるのだが。

 一周して、クリフは腰を地面に落とした。

 肩で息をしているクリフを勝ち誇った顔で――つまり、ドヤ顔で見つめるアイヴィー。

(いつもいじる側だから、こんな風に勝ち誇られるとすごく腹立つな……)

 何とも理不尽な言い分なのだろう。

(これでも、きちんと魔法学校で訓練されてるの)

 ……訂正。この子も子供だった。

 そんな二人を手拭いを持って、眺めるリアは何を考えているのか。

(……あんなむきになるクリフ様、かわいい~)

 ええ、そうでした、彼女は脳内クリフ畑でした。

 ここにまともな人間はいるのだろうか?

 ……頭が痛い。


 休憩も終わって、次にクリフは木剣を、アイヴィーは刃のない剣を手にひたすら、上下に振り下ろした。

 しかし、振り下ろしの鋭さは全く異なっていた。

 アイヴィーは何の問題もなく、鋭く振りおろしていた。全体的に切れのある動きだった。

 一方、クリフはと言うと、姿勢はいいが、剣がフラフラで、きちんと一直線になっていなかった。止める時も、ぐだぐだで、最後の方になると、止める事さえ難しくなっていた。

(やはり、子供はめんどくさいな。きちんと剣すら振れないし)

 こんな結果なったのもすべて、アイヴィーのせいなのだが。

 簡単な話が、

 クリフの為の小さな木剣忘れた。大人用でいいよね、重さ変わらないし。

 っていうことなのだ。

(にしても、素で重くないからいいよねって言ってきたな……後で、やり返してやろう)

 因みに、重さが変わらないと言っても、長さが違うので、きちんと振るには、より大きな力が必要である。(物理の剛体の運動を参照)


 それから、2時間にわたって、ずっと、100回素振り、10分休憩を繰り返した。

 手足を放り投げて、芝生に仰向けで転がっていると、影が出来た。

 リアはクリフの傍に寄り、左手側に座った。彼の頬を手拭いで拭っていた。

(も、もう動けない)

「クリフ様、お疲れ様です」

「……う? うん」

「リアが膝枕をしようとして……

「してません!」

 ……いる」

 尻すぼみになるアイヴィーの口調。

 すると、若干モジモジしながら、アイヴィーが訊いた。

「……リアさんって、クリフちゃんのことって好きなんですか?」

「ええ、好きですよ」

 当然じゃないか、と言った顔をするリア。今日も全く凛々しい。

「え……!? それって……」

「……?」

 こて、とリアは首を傾げる。

 うん、どうやらアイヴィーは、とんでもない勘違いをしているようだ。

(……こういう話は俺がいない間にしてくれませんかね?)

 クリフは心情的には言いたいけど、状況的に言えない二律背反な状況に困っていた。

「はうぅう……そ、それって、どういう好き、何ですか?」

 おーっと、アイヴィー選手、ど真ん中ストレートを投げた!

(ちょっと、オブラートに隠せよ……)

 いたたまれない状況にクリフは頭を抱えてしまう。

「? そんなものは当然、ご主人様として好きに決まっているじゃないですか。そう言うあなたはどういう、好きなんですか?」

 前半まででほっとしていたアイヴィーだったが、後半の内容を聞いて、いきなり慌てていた。

「はわわわわゎ、わ。、わぁからな、ないですぅ」

 ぶっ壊れた。

 因みに、彼女の言った「ご主人様として好き」と言うのは、一般的な主従関係より踏み込んだ――つまり、クリフに命令されたら、リアの意思に反さない、また、身体的に出来る範囲のことは何でもやります、と言うことなので、肉体的にクリフに奉仕してもいい、と言うより、奉仕したいと言っているのである。他人に体を許すつもりはない、とも言っているけれど。

 だから、アイヴィーの勘違いしたことは実際のところ間違っていないのだ。

 まあ、あんな言い方をしたら誰も気づく訳もなく……。

(へ、へえ、リアは、そう言う風に見ていたんだ……orz)

 若干一名、精神的に心を折られた男の娘。

「……へえ、家庭教師の分際で玉の輿ですか?」

「え? ええぇえぇ……」

 目を閉じ、耳を塞ぐアイヴィー。なにこれ、かわいんですけど。

 かたや、リアは般若が後ろに見えるぐらい恐ろしかった。


 何分、経ったのだろう。

 では、仕事がありますので、と言って、リアは振り返り、立ち去った。

 そのとき、彼女は何かを呟いた。

 聞こえたその言葉がクリフの耳に残っていた。


「クリフ様には、許嫁がいますので」


(……え、は、はひ、ふへ、ほ? な、何ってい、言った? 許嫁だと?!)

 青天の霹靂(へきれき)のあまり、クリフもぶっ壊れた。

 結局。

(ああ、空が青いなあ)

 なかったことにしたクリフであった。

さて、こういう貴族が出てくる作品でよく出てくる許嫁。

この作品にも出てきましたね。

だって、そう言うの憧れるじゃないですか!

特に、年齢=彼女いない歴の人間としては!


次回は許嫁が出てきます。

流れとして、当然ですね。

では、次回も楽しみに!

(楽しみにしているのがどれほどいるのか、甚だ疑問だが)

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