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変人王子の相手はお断りですので!  作者: 藍凪みいろ


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第13話 いつもの日常


 1週間の休みが終わりアリーシェが城に帰って来ていることを知ったサクヤは、アリーシェと顔を合わせる為、早朝、城の中庭で剣の鍛錬をするアリーシェの元に訪れた。


「アリーシェ、久しぶりだな!」

「何でこんな朝早くにサクヤ王子殿下が…… あ、はい。お久しぶりですね」


 サクヤが声を掛けてきた為、アリーシェは木刀を床に置く。


 アリーシェは満面の笑みでこちらを見つめてくるサクヤの顔を見て、ため息を吐きそうになる。

 1週間、離れていたから、少しは私へのアプローチも落ち着いたかと思っていたが、全然そうでもないみたいだ。


「あの、サクヤ王子殿下、そんな笑顔でじっと見るのやめてもらっていいですか?」

「何でだ? 気にしないで鍛錬続けていいぞ」

「わかりました。では、今日はここらで終わりにしますので、失礼します」


 アリーシェは床に置いていた木刀を手に持って、その場を立ち去ろうとしたが、サクヤに左腕を掴まれたことにより歩き出そうとしていた足を止める。


「アリーシェ、少しでいいから話さないか」

「わかりました。長くなりそうだったらすぐ帰りますからね」


 アリーシェはそう釘を刺してから、サクヤに向き直る。


「あと、手を離してください」

「あ、すまん」


 サクヤはアリーシェの左腕を掴んでいた手を離す。

 サクヤ王子は私と何を話したいんだろうかと疑問に思いながら、アリーシェはサクヤが話し始めるのを待つ。


「休暇だったみたいだが、休めたか?」

「はい、休めましたよ」

「そうか、ならよかった。引き止めてすまなかった。またな」


 サクヤはそう言い残し、立ち去って行く。

 アリーシェは遠去かるサクヤの後ろ姿を見つめながら、ぽつりと呟く。


「何だったんだろ……」


 相変わらずサクヤ王子殿下は、変な人だな。とアリーシェは思いながら、その場を後にした。





 リースティアヌ王国の第一王女ティアナの騎士であるヴィルは、自分が仕える主であるティアナに好意を寄せていた。


 しかし、ヴィルはティアナの騎士であり、身分差がある為、この恋は決して叶うことはない。

 それでもヴィルはティアナの側で、騎士としてティアナの役に立ち、守ることが出来るのなら、それでいい。と最近までは思っていた。


 だが、このリースティアヌ王国の第一王子であり、ティアナの実の兄でもあるサクヤが、アリーシェに堂々と自分の気持ちを伝えているのを見て、ヴィルは少し考えが変わったのだ。


「俺もサクヤ王子殿下のように、自分自身の気持ちにもっと素直になろう」


ヴィルはベットに寝転がりながら、暗い天井を見つめて呟いた。

 徐々に重くなってくる瞼を閉じ、ヴィルは深い眠りへと落ちていった。



 秋の肌寒い風が服越しに当たり、アリーシェは、身震いする。


 用があって騎士団の営所に訪れていたアリーシェは、騎士団の一人に用がある人物を呼んでもらい、その人物がやって来るのを待っていた。


「おお、アリーシェ! 久しぶりだな。元気にしていたか?」


 そう言いアリーシェに声を掛けてきた人物を見てアリーシェは軽く会釈をしてから、返事する。


「はい。元気ですよ! というか、遅かったですね」

「待たせてしまって申し訳ないな。それで、何用だ?」


 王立騎士団団長であるオリヴィスは、アリーシェの大先輩に当たり、アリーシェのことをティアナにゴリ押しした人物でもある。

 

「大丈夫です。最近、休暇をとって実家に帰っていたんですけど、王都で手土産を買ってきたので、もしよかったら皆さんで食べてください」

「おお、そうだったんだな。ありがとう。頂くとするよ」


 オリヴィスはアリーシェから手渡されたクッキーの入った丸い缶を受け取るとアリーシェを見てにこやかに告げる。


「アリーシェ、お前、サクヤ王子殿下に気に入られたみたいだな。よかったじゃないか~!」

「え? なんで知ってるんですか?」

「騎士団の間ではそこそこ有名になってるぞ。アリーシェがサクヤ王子殿下に好かれているってな!」

「うわー、最悪……」


 アリーシェはあからさまに嫌そうな顔をする。オリヴィスはそんなアリーシェの顔を見て、何故かにこにことしていた。


「まあ、いいじゃないか。悪い意味で認知されるよりは」

「そうですね、わざわざ教えていただきありがとうございます。それでは私はこれで失礼します」


 アリーシェは別れの言葉を告げて、その場を後にした。オリヴィスはアリーシェの去り行く後ろ姿を見つめながら、嬉しそうに呟く。


「しかし、大分、いい顔つきになったなぁ」

 

 これからも騎士として成長し続けるであろうアリーシェに、オリヴィスは心の中で頑張れよ!とエールを送った。


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