報告書9つめ 救えたものとは。
…………………。
…………。
――――……。破損している情報を修復完了。一部、修復不可能の為、高機能の設備の利用を推奨。――――
――報告。外部の損傷が激しい為、修繕が必要。内部の骨格部や筋肉部の損傷が激しい為、大型設備での修理が必要。また、専用ナノマシンの注入し増加を必須。電脳部と神経部の激しい損傷を確認。大型設備での治療が必須。――
――内部の過剰熱の放出が完了しました。稼働可能。再起動します。――
目に情報が入る。そして数々の違反通告文が流れた。
――違反報告。1人の人間を殺害。速やかに管理者へ報告と回収場のへ移動、停止してください。――
――違反報告。2人の人間を殺害。速やかに管理者へ報告と回収場のへ移動、停止してください。――
3人…4人……5人……プラス、プラス……、身に覚えのない殺害報告が私を混乱させる。
気を紛らわすように表示画面を消して人間と同じ肉眼視界機能にする。
場所は地下3階の赤い女の子を入れておいた十字架の側。電量が少なくなってポッドから分け貰っていたようだ。自分でそんな事をした記録はないが。
近くにいる大勢の女性達が私に怯えながら伺っていた。
「すみません。状況を―。」
「ヒッ! や、やめて! 来ないで!!」
?
私と会話してくれそうな者はおらず、できるだけ遠くへと逃げる。
……そうだ。女の子を探そう。
大きな損害での体は歩きづらくなっていた。壁に手を付けてバランスをとりながらゆっくり歩くのが1番の安定であった。
途中途中、賊達の死体を見かける。首をねじ切れた者や身体に穴を開けられた者など。誰かがやったのだろうか。
地下3階から地下1階まで上がると誰かの叫び声が聞こえ、地上1階へ上がり声のするほうへ行く。人盛りができている場所へ行くとそこは暴言の嵐だった。
「死ね! ガキ!!」
「死ね!」
「死んでしまえ!!」
大人も子供も混ざって1人の少女に向かって暴言を吐いている。言葉の凶器を受けていたのは白髪の白く濁った少女。私が探していた女の子。
「きゃあ!」
私に気づいた女性が悲鳴を上げる。他の女性達も私を見ると走って逃げたり壁に背を当てて怯える。
私は他女性達を無視し、ゆっくり女の子に身を寄せる。
「来ないで……。あたし……。あたし…。」
意気消沈の女の子。声の音量と反抗する手のしぐさが小さい。
どうすれば良いのか模索していると、1人の女性が勇気を振り絞って私に質問してきた。
「な、なんでそいつを庇うの? そいつが私達を滅茶苦茶にしたのよ!」
別の女性も怒りがこもる声で質問する。
「どうするのよ!? 村はなくなった! 洞窟から出ても近くの村か町でも遠いから怪物に襲われる! お先真っ暗よ!」
1人の少女が涙を流して訴える。
「帰りたい…。死にたくないよ!」
女性陣の中で1番貫禄がある女性が女の子に指を差して叫ぶ。
「お前のせいだ! 死んで償え!!」
「そうだ! 死んでしまえ!」
「死ね! 死ね! 死ね!」
合唱のように女性達が女の子に再び暴言を連発する。私が何か言うまで止まる事はない。
私は女の子の盾となるよう前に体を張り、彼女達に伝えた。
「私が皆さんの問題を解決します。」
誰かが私に石を投げた。頬に当たると同時に投げた者の発声。
「嘘を付くな!」
「嘘ではありません。」
私は続けて言う。
「私が皆さんを守ります。食料は狩りも漁法も果実と山菜取りも問題ありません。睡眠も安全が保障できるまで洞窟で暮らせば良いです。そして賊達の反応はありませんので心配ありません。万が一、仲間がいても倒します。他に何か質問は?」
女性達、子供達が質問をしてくる。私はそれぞれの安心できる選択を言うだけ。「確かに男共を平気に倒してたからね」、「多分あの人、教団の一味な気がするから嘘はつかないはずよ」、「すごく怒ってた時、ぐちゃぐちゃにして暴れてたから言う事聞いたほういいよ」、「今は黙って従おう? 信じるしかないよ……」と、最中で段々と暴言ではなく相談事の嵐が増えてゆく。
「じゃあ、そいつはどうするの? せめて殺してくれる? それが出来たなら私は信じるよ!」
女の子に殺意を強く抱く女性の声。
「それはできません。」
私は否定した。その後に理由を伝える。
「彼女は私にとって必要人物だからです。申し訳ありません。」
「お姉さ……。……ロイドさん……。」
女の子が私の仮の名を言葉に出した。下ばかりうつむいてた顔が上に向いて私を見る。
――報告。治療の終了のお知らせ。――
!
女の子との平等な目線を合わせる為、跪き彼女に伝えた。
「あなたの友達が目覚めましたよ。地下3階の十字架から出ております。」
「!?」
女の子は目を見開き、すぐさま走り出した。
今の状態では追いかけるのに時間が掛かる。往復という形で、人盛りを通り、地下へ地下へ降り十字架の元へ。
「この疫病神!! この疫病神!!」
地下3階に降ると、女の子を手のひらで何度も顔を叩いている少女がいた。…暴行しているのは治療の終わった赤髪の子だ。
「あんたのせいで何で私が酷い目に合うのよ!」
「ごめんなさい! ごめんなさい!!」
赤髪の子の暴行をただ受けるがままの女の子。誰も止めに入る者がおらず、私が代わりに行う。
「何!? 何で止めるの? こいつが何したか分かってるでしょ!?」
精一杯私に牙を向き、無謀にも握り締めた手で私にも殴って来た。私はなされるまま3発頂くが女の子が4発目を受けて私を守った。鼻に固い拳が接触したようで目を閉じて苦しみに遭う。
「……このお姉さんは助けてくれた冒険者さんなの。皆を。あたしも! だから止めて!」
鼻血を垂れ流し出しながら女の子が説明するも、無視するように叫ぶ。
「こいつなんて助けなくて良かったのに! お前なんか友達でも何でもない! 死ね疫病神!! 次、顔を見せたら殺してやる!!!」
赤髪の子は私の拘束を無理やり暴れて解き、部屋からいなくなる。
赤く腫れてゆく女の子の顔。鼻血の他に爪で傷つけられたのか引っ搔き傷で血もにじみ出ている。私は彼女をそっと介助を行う。女の子は何も言わず、ずっと私のジャケットを強く握り締め、顔を埋めて静かに泣いていた……。
――――。
――報告。通信が来ています。受信しますか?――
!?
私なりに女の子をなだめている時だった。今まで反応が無かった通信……。衛星監視塔からだろうか?
『こちら、わかよたれそねならむ、です。あなたの所属と型式を教えてください。』
『……私は無所属。型式は――――。』
『了解しました。報告します。もう少しであなたを拘束開始しますので待機していて下さい。情報を送りします。』
情報を受信する。それはこの洞窟に数体の機械人間と乗車が向かって来るという情報。
「どうしたの?」
無造作に起立し洞窟の出口に行こうとしている私を見て、問う女の子。
『洞窟内の人間達は私達が安全な対応で管理しますので、何も言わずそのまま待機していて下さい。』
「……助けに来る人達が来ます。ので、出向きます。」
「え? ………。それが本当だとしても……。でも…………。」
女の子は口を塞ぎ、私の先頭となり道案内のように地上1階まで一緒に歩く。
洞窟の出入り口まで続く、必ず通らなければならない大空間は天井と壁が崩れ通行止めとなっていた。……賊の首領と戦った場所だ。
「……何があったのですか?」
「え? 覚えてないの?」
状況を知っている女の子。私は改めて質問した。
「……お姉さん、凄く怒って首領と戦ったんだよ。何が起きてるかわからなかった。強い風と首領の魔法で部屋が崩れて。気づいた時、お姉さんだけ部屋から出てて、そう今立っているその位置に。で、目が真っ赤に光ってて、体から煙出してたんだ…。それから部下達がお姉さんを止めようとしてたけど、その……。」
「殺していましたか?」
コクリと頷き肯定する女の子。
記憶にない。いや、破損しているのだろうか。
『聞こえてますか? 報告します。30秒後、洞窟の崩壊部分に貫通式掘削機を作動します。30秒で貫通しますが強い振動と音が鳴りますので注意して下さい。』
!
「え? 何!」
女の子を被害のない場所まで手を引っ張り、私の体で覆い彼女を守る。
「耳を塞いで目を瞑って下さい。一応口を開いて下さい。」
言う事をしっかりと聞き、じっと待機してくれた。
ズガン! と、振動と揺れが重なって開始したのが分かる。ガガガガガガガと鳴り響く音と振動が大きく高くなるにつれて、やがて崩れていた場所に回転している円錐の金属が現れる。回転が止まり、円錐の先が4つ均等に花が咲き開くように開口した。
煙が舞い、村の女性達の悲鳴が聞こえる中、変形した円錐の中から1人誰かが姿を出す。
『お待たせしました。私達の姉さん。』
体内通信で私に語り掛けてくる。
機械人間だ。
簡単な登場人物のおさらいとか。
主人公……アンドロイド。名前は『ロイド』 長髪と瞳の色が緑色が特徴的な機械人間。革製のズボンとジャケットとレオタード装備中。
小型船舶……主人公が宇宙から星内まで乗っていた乗物。今は十字架に変形中。主人公の充電器なったり手術できる設備もなり、主人公も人間生物も手術やメンテナンス可能。
女の子…… 右肩から右手までが無い片腕の女の子。髪は白色の短めの耳を隠せる程長さ。瞳は白く濁っている目。
下着もワンピースも全て白色を着衣。 丸い花の髪飾り。
ここからネタバレじゃないけどネタバレだったらいやだなあっていうメモ↓
エピソード8にて。
もし賊の首領が剣を持って戦っていたら?
結論、負けてました。四肢切断され、人間じゃないと分かると、首を斬り頭を真っ二つにしていた。




