報告書21つめ 友達と喧嘩。
『シロタエギク。そっちの様子は?』
『…はい。急接近している者がおります。』
『接近者はクローバーが探している者だ。ただ戦闘になる可能性が高い。』
『……戦闘となりました。急接近者が突如魔法を使用。』
通信中に耳から爆発音を確認。間違いない、赤髪の魔法だ。
『シロタエギク! 状況を!』
クローバーの場所まで足は勿論動かしている。あと30秒程で遭遇できるがクローバーの生死が気になって仕方ない。
『…………。吹き飛ばされてしまいました。クローバーは宙に浮いている私を抱きかかえて着地。…重いと言われました。…急接近者を確認したクローバーは私から距離を作り、戦闘になっています。赤髪の特徴でクローバーと近い年の女性と思われます。』
『了解した!』
私は何を考えていたのだろうか。『殺せば良い』という強引で煽りある言葉で赤髪の娘を誘導するなんて。クローバーの戦闘能力は高いから襲われても大丈夫。……何故そう思考結果が出たのだろうか?
…………、いや。工程は悪くも戦闘となっているとはいえクローバーは友達と再会できた。これで良いのではないか? ファルシの意見はごもっともだが、赤髪の娘には煽るような説得で間違いないはずだ。『ちゃんとした人間ならそんな事は言わない。』という事は、いるという事。『許さなくて良い。もう一度会って自分が思っていることを全て伝えたらどうだ?』 っと綺麗事言葉を使った所で赤髪娘は頷かないだろう。……私はの思考は間違っていない。
野原に到着すると小動物達が四方八方我先にと2人が暴れている場所から逃げているのを目撃。2人に目線を送ると、赤髪娘が戸惑いなく両手で休みなくクローバーを攻め続けていた。
クローバーは攻撃をしようとする仕草はない。遠慮無しに空気を潰すような赤髪娘の両手から殴打が放たれる、受け止めなければならないものには片手で受け止めるが、悲痛が表情に出ていた。それでも容赦なくクローバーを襲って爆発系統魔法も放つ。だがクローバーは魔法ものに対しては指を鳴らすと相殺させているのか赤髪の意図なく勝手に爆破。
…とはいえ殴打の連続には耐えられずにクローバーの全身に拳の雨を受けて地面に倒れてしまった。
「疫病神! 言ったよね!? 次顔見せたら殺すって!!?」
赤髪娘は決して太っているような体型ではない。守兵だからそれなりの筋肉で体重はあるとは思うが、クローバーにゆっくりと近づいて歩く音はまるで鈍器を叩いているような重音。
「……そ…でも、あいたかっ……たの!」
「は?」
赤髪娘はクローバーの胸元の腹部を掴んで強制的に立たす。そして頬に1発2発……と殴る。クローバーはなされるまま。髪も服も白色だったのに土が付いている他に血も付着し染まってゆく。
「ねえ、わかるでしょ? お前を買った奴に反抗したから皆不幸になったの。私達はその時が来たら身体を売るのが仕事だって分かってたよね? ………それが今は何? 冒険者やって、クローバーっていう名前付いて。自分だけ立派な生活して。 会いたいって……、自慢したいから?」
「ち…がう。」
朦朧としているのか、絞りきった声で返答。
「? 右腕斬られてたよね? これもしかして義手?」
義手に気づく赤髪娘。首に掛けていた布を取る。すると、だらんと垂れ下がる右腕。クローバーの皮膚色と若干違い、血通っているようには見えず、そしてカチャカチャ聞こえるのを知ると赤髪娘は納得。
「……むかつく。壊してやる。」
義手に火属性の魔法を与えたようで、義手が突然燃え始めた。それを見たクローバーは叫ぶ。
「だ、駄目! 離れて!!」
止めてとかそんな叫びではなかった。赤髪娘を擁護するような。……でも遅かった。何故なら動かないと思っていた右腕が赤髪娘の頭を鷲掴み。同時に爆破。
赤髪娘は危険を察知したようで爆破する刹那、クローバーの服を掴んでいた腕で義手を払ったのだ。それにもかかわらず直撃は避けても傷害範囲には入っていたようで、赤髪娘は距離を作り、顔を手で覆い隠すように掴まれた額を確認している。
「………てめぇ。やりやがったな? 痛ってぇ…。」
「ち、違うの! 義手に魔法を掛けてたからっ!」
誤解を解く為にクローバーは義手に指を鳴らす。義手は自重に逆らず、ぶらんと下がり動く気配は無くなる。
クローバーは魔法の基礎である魔法陣を主に使用する。基礎が理解できれば魔法だけ使用し上達していくのだが、クローバーはとことん基礎を追求していた。機械で言えば回路。それをもっと複雑に繊細に精密に研究。その研究成果を義手に埋め込んでいると、クローバーの監視者から情報を貰っている。クローバー本人はまだ私に秘密のようで知らないフリをしていたが。
「どう考えても仕込みだろ!? ……ヒリヒリする…。」
赤髪娘の顔があらわに。額は大きく赤く腫れ、他に幾つかの引っ掻き傷が生まれて血が滲んでいた。
「あぁ…。もうほんと、……殺す。」
「待って、お願い…。聞いて。」
殺意を被った赤髪娘。自分の罪に飲まれて弱気のクローバー。このままでは殺される。
「待て!」
私は2人に声を掛ける。呆れたような目線と怯えている表情で私に注視する2つの目線が向けられた。
「…………お姉さん。何? 今更殺すのは なしとか言うのか?」
「ロイ姉……。」
どう言えばいい? ファルシの『もう少し思考しろ』が反復される。
…………。
「いや、殺したいなら殺せばいい。止めたのではない。すまない。」
……私は約束を守るという意味を込めて赤髪に伝える。
「ロイ姉…。どういう……?」
クローバーが裏切られたようなそんな表情で私に訴える。
「赤髪の意志を尊重しただけだ。……後はお前の意志だ。」
私は2人の思い出があるであろう大樹に人指を向けて言う。
「あの時の事。思っていた事。今の気持ち。悔いがないようにしなさい。これが最後の機会だから。…………そして死なないで。」
クローバーはうつむいた。深呼吸をし、もう1度私を見てから赤髪娘へと目線を変える。さっきまでのクローバーが別人となったように違うのを感じとれた。
誰かが合図したわけでもないのに、赤髪娘の初手が試合開始を促すような形で始まる。
右、左、と両拳がクローバーを襲う。クローバーは指を鳴らし、自身に肉体強化魔法を与えて回避に専念。
パチン。
少間の隙にも義手に向けて指を鳴らす。無造作にブラブラ揺れ暴れていた義手が意識を取り戻したように動ぎ始めた。赤髪娘の攻撃を義手が何度も受け止めたのだ。また爆破魔法をするのかと赤髪娘は考えたのだろう、義手から逃げるように一時離れた。
「私は! あんな大事になるなんて思ってもなかった! 皆を巻き込むなんて考えつかなかった!!」
「だから何!? 私もお前も商品だったんだから反抗はありえないだろうが!」
赤髪娘の応えと並行に手のひらから光球魔法が生成され、クローバーに向けて放出。1発2発3発………連続で発射。
クローバーは向かってきた光球に指慣らし。1発2発3発が途中でフッと消えたり小暴発が起きる。何発かはクローバーに辿り着くが義手が弾き飛ばし、地面に接触した光球は大きい爆破。暴風と砂煙で視界が悪くなるのだが、2人はその場にとどまらずに動く。
「私を買った、あの人は噂通りの酷い奴だった! 初日から暴行ばかり。悲鳴を聞いて笑って喜んでいた人……。皆に相談しても誰も助けててくれなかった! あなたにも相談したよね!?」
「……ああ! お前はハズレを引いたから仕方ないって話しただろ!」
「……悔しくて私は仕返しをした! 魔法陣で! 痛みを知って欲しかった! なのに!! なのに―――!。」
視界が回復した時、クローバーの間合いに赤髪娘に潜り込んだ。義手が赤髪娘を捉えようとするが、一先速く義手を魔法と腕力で粉砕破壊。赤髪娘の攻撃は止まらず肘でクローバーのみぞを突く。
偶然なのかふらふらと苦しむクローバーが背から倒れようとした所、2人の思い出ある大樹が背を支えてくれた。
ゆらゆらと赤髪娘は近づく。義手がないクローバーに勝ち目はないと確信しているようだ。
「……お前に魔法の本を渡したのが間違いだった。………渡していなかったら……。…………いや、私も原因? 私が本を捨てていれば………。」
クローバーの首を絞める程度距離で赤髪娘が立ち止まり息の根を止めようとしている。両手握力から逃れらずクローバーの開けている口からは血混ざりの唾液と絞られた叫び声だけが出る。
『ロイド様。よろしいのでしょうか?』
私の背後にいるがシロタエギクの通信会話。
『……死んだらそれまでだ。彼女が死んでも支障はない。』
『……。それでしたら何故彼女を助けるような構えを?』
シロタエギクに言われ気づく。私の体が前へと傾きかけて片手を彼女へ伸ばしていた。
『ロイド様。赤髪の子の体調がおかしいです。高血圧状態からの意識朦朧状態を確認しております。2人を助ける口実になるかと。』
…………私はシロタエギクの口実を頼るように体が動き出してしまった。
簡単な登場人物のおさらいとか。
主人公……アンドロイド。名前は『ロイド』 長髪で髪と瞳の色が緑色が特徴的な機械人間。
剣士用冒険者衣装と軽防具装備の姿。首に輪形の爆弾を掛け、階級の分かる鍵を結び付けている。
鉄鍵階級の中級冒険者 となる。
小型船舶ポッド……名前は『シロタエギク』 元々主人公専用ポッドで機械でも生物でも医療行為が可能。また、ナノマシンの塊のような物なので変形自在。ブルースターの案により擬人化となる。両目と首を隠すように目立つ銀色髪の少女。……布生地目立つ旅人用の服装を着衣。大型リュックを背負い、両手に長方形武器箱を1つずつ持っている。
鍵階級は鉛鍵。 下級冒険者。
女の子……名前は『クローバー』 右肩から右手までが無い片腕の女の子。白色の長い髪と白い瞳が特徴。少し大人へと成長した。防御力を捨てた白色を主張する衣服姿。指だけ露出した手袋をはめて、魔法を使用する時は指を鳴らす。
右手の義手を付け、革製布で巻いて首に吊るしています。
鍵階級は上級冒険者。鍵色は青銅。
ブルースター … アンドロイド(主人公の後継機) わかよたれそ つねならむ の組織の一員でその町のギルドを操る最高責任者。水色の髪と瞳が特徴。主人公の後継機。主人公に対してやけにスキンシップが過剰。
黄緑色の髪と瞳のアンドロイド……名前は『ポコロコ』たまに喋ると伸ばすクセがある。「だめー わたしはー」など。ブルースターと同じく、主人公の後継機で妹にあたる。
ファルシ……青年の男性。鎧姿だが頭装備はしていない。武器は長短直刀の2刀流使い。遊戯者プレイヤーの可能性。
アンドロイドの事を知っているようだ。
鍵階級は上銅鍵。 特級冒険者。
ネタバレじゃないけどネタバレだったらいやだなあっていう書き込め↓
20話でクローバーを殺しても良いという話について
↓
賊戦の後に、クローバーが原因で村が崩壊したと知れ渡りました。手下賊達が拉致監禁した女性達に告げたりなんだりで。村人達はクローバーの刑罰を求めました。これもいろいろなんやかんやで、クローバーを殺したかったら良いよというギルドとクローバー自身が許可しました。そしてクローバーは死ぬまで稼いだ貨幣価値の2割は必ず村へ渡すという事も約束した。※1 ギルドの提案で村長は承諾し金を受け取るが毎回くすねている。その窃盗はギルド知っている。 ※2 クローバーは2割所か時には8割も送っている。
同じく20話で赤髪娘の情報とか調べていたけど常に記録されているの?
↓
各管轄ギルドが衛星管理塔へ重要人物になる者やプレイヤーらしき人の監視をしてと報告すれば24時間監視される。また衛生管理側も調べている情報もあるようで過去から現在の歴史情報がある。膨大な情報は別惑星情報管理塔で保存状態でいつでも引き出せられる。赤髪娘の情報は重要人物ではないと判断されているがクローバーの身近な人物ということで無数有る1つの衛星監視カメラが見張っている。




