報告書16つめ 勇者素質とは。
初めましての方は初めまして。何時も読んで頂いてる方はありがとうございます。
追記。あとがきにしようかと思いましたが、記します。
クローバーの自己紹介で彼女はこのエピ現在、右手の義手を付け、革製布で巻いて首に吊るしています。
足を踏み入れたのは洞窟内。
1番乗りに身を投げ、液体怪物達を駆除する剣士のファルシ。辺りを見直して私達に合図をしてくれる。入口数十歩で光が届かないのでシロタエギクが照明器具を取り出して使用。
ダンジョン内は湿度多く水溜まりやスライムの体液が散らばっていた。そんなジメジメとしている空間を進む度に何種かの怪物と遭遇。スライムと小鬼と肉塊。
通行路が狭い為ファルシがそれらの相手をしている。長直刀は鞘に納め、短直刀で攻める。骨格があるモンスターは叩き折るか砕き、そうでないモンスターは核となる急所を一直線に突き刺す。ファルシの撃退数が増える事に血肉の臭いと道の詰まりが比例してゆく。
「もっと下がれ! 氷漬けにする!」
間合いを作って魔法の詠唱を唱えるファルシ。周囲の気温が下がるのを確認。より低いのはモンスター側で、ファルシの詠唱が終わるとモンスター達が一気に凍る。凍死したモンスターもいれば凍った部位を切り落とそうとしているモンスターもいる。それら全てファルシが直刀でトドメを刺してゆく。
ブルースターから教えてもらい理解したが、魔法は性別で使用不使用があるとの事。男性は主に肉体精神強化魔法。女性は火や水など生成し発動させる魔法。……例外として性別関係なく交互使用できる者も存在しており、その特性を勇者素質と呼んでいる。
勇者素質は遊戯者だけの能力。星内人間にはない……はずが不具合のようで修正できず問題を307年間保留している。プレイヤーより目立って活躍するようであるならば制御する事が可能でその指揮権は当然運営だ。
ファルシがプレイヤーならば花を持たせなければならない。なので、以前ポコロコが言っていた勇者素質の彼女、クローバーを今回見張っておかなければならない。自身は私の手伝いだからついてきたと言っていたので問題は無いと思うが。
……その思考とは裏腹に、分道の場所でクローバーは活躍してしまう。
地下3階の左右分岐点でモンスターが一斉に襲い掛かって来た。右はファルシが力闘してくれるが左から来るモンスターまで対応ができない。私が前へ出ようとすると同時にクローバーが戦闘態勢。左手をモンスター達に指すとパチンと指を鳴らす。
ファルシの魔法と同じだが属性は違っていた。電気系だ。無数の稲妻がクローバーからモンスター達に閃光し、接触すれば感電と黒焼けとなってゆく。
眩しさから黒い視界へ変わる中、私を見て得意げな笑顔だったクローバーを見逃していない。私に成長した姿を披露したかったという気持ちは理解。本来なら褒めた方が良いのだろうが……。
「私の昇進に障害ができるので大人しくして下さい。」と伝えると、あっけら顔になっていたクローバー。
ファルシの戦闘も一時終わると作戦会議が始まる。
「ここから二手にならないか?」
情報では要救助者達は左の道の奥にいると、逃げきれた冒険者が告げている。右の道奥には魔物がいたので引き返したとの事。
「俺は右へ進む。ロイド……さんは助けに向かえばいい。お嬢ちゃんもな。お前はどうする? クローバー。」
「…………あなたについてく。」
不機嫌そうに言っているのではなく私の邪魔をしたくないという意志のクローバー。
「いや、クローバーは私に。シロタエギクは用意周到だからファルシのほうが良い。万が一、右にも救護者がいる確率はゼロではないので、シロタエギクの評価は下がらない。」
「…分かった。行く。」
ファルシがカチャカチャと金属音を擦りながら暗中へ。シロタエギクが「こちらをお使いください。」と新品ランタンと手に持っていた武器箱を置いてファルシの元へ。
取っ手付きの武器箱は文字通り中に武器があるのだろうが、武器箱を振り回しているだけでも十分。ランタンはクローバーが灯係となってくれた。
「これくらいなら良いでしょ? ロイ姉さん。」とランタン光で何度も半円を作るのはまるで笑顔を表現。クローバーも笑顔に同調している。私は何も言わず頷き、左の道へ。
地下4階、地下5階へ。モンスターが出現する度、私は武器箱を振り回す。斬るや突くではない、叩きつぶす。スライムやタイサイはそれでも生存するので手で無理やり核を抉り取って潰す。武器箱も私も血と体液に染まり、クローバーの顔がこわばっている。
「……ロイ姉さんも魔法が使えればいいのに…ね?」
「……魔法というのは神様の思春期を具現化させた代物と考えております。」
「え? どういう……?」
「……私は思春期を持たなかったモノ。それだけです。」
「……ますますわからない…。」
「つまり……そう、つまりその、…向上心が私には無いのです。今ある能力で対処が可能な分、魔法は不要という事です。」
「不要…か。絶対必要となる時がくるよ? 便利だから。」
「……覚えておきます。」
勝手使用は衛星管理塔などに報告もあるが、アンドロイドが魔法を使おうとすれば高熱が発生し破損するので断固使用したくない。
「――てくれー!」
会話後、静まった空間に叫び声がかすかに響き渡っている。私は前から気づいていたが、クローバーがようやく反応。
「ロイ姉さん! 行きましょう!!」
声がある方向にはモンスターが息を潜めて待ち構えていた。が、足を止めずに進む。
「助けてくれ! 頼む!! ここだ!」
救助者らしき声がモンスターの侵入を防ぐように崩れ壊れた石壁から聞こえる。
「ロイ姉さま。私はどちらを?」
「モンスターをお願いします。」
クローバーに背中を預け、続いて壁の向こう側へ注意を促す。
「破壊しますので、身を守ってください!」
身動きしづらい場で崩壊壁を掘り壊す為に私は全身回転。遠心力で威力を作り武器箱に与える。大き過ぎず小さ過ぎずの威力を崩壊壁へ。爆発音のような響きと砂煙が一時的状況を不明にさせた。
ケホケホっと咳払いする救助者達。魔法防御や防具か盾でしっかりと頑丈に防いでくれていた模様。
背後から別の爆発音が響く。クローバーも頑張ってくれているようだ。安心して救助者達の状況を把握できる。
「手荒いで申し訳ございませんがすぐに生存者と負傷者と死亡者を教えてください。」
ぽっかりと穴が空いた崩壊壁の近くにいる救助者へ声を掛ける。人数や怪我有無の詳細と死亡者有無の確認。クローバーも戦闘が終わったようで援助してくれる。
重傷している2人を肩に抱き、歩ける者、まだ自力で行動できる負傷者を連れて地下3階まで誘導。戦闘はクローバーに任せっきりにしているがモンスター数が少ないので余裕。
ファルシとシロタエギクと分かれた場所にまで戻ると、クローバーが右通路を指して私に言う。
「背負っている2人を置いて、先へ進んでロイ姉さん。救助者の引き受けは私の役目でもありますし、ここから地上なら簡単に戻れますので。……評価も落ちませんから。」
ランタンを私に渡そうとする。魔法で明るくして戻るつもりだろう。
「2人を担いでいけるのか?」
「ああ、俺達がやります。お姉さんの体力見てると情けなくて負けたくないから。」
歩ける救助者1人が横槍を入れる。一応この救助者も中級冒険者、問題はない。
「ランタンは使ってください。私はこのまま行きます。」
別の救助者が代わりに持っててくれていた武器箱を受け取り、私は右の通路へ身を動かす。
『シロタエギク。状況を。』
通信を送る。返ってきた通信は――。
『状況は不利的。このままでは討伐失敗に終わります。』
簡単な登場人物のおさらいとか。
主人公……アンドロイド。名前は『ロイド』 長髪で髪と瞳の色が緑色が特徴的な機械人間。
剣士用冒険者衣装と軽防具装備の姿。首に輪形の爆弾を掛け、階級の分かる鍵を結び付けている。
鍵階級は見習い冒険者。木の鍵。
小型船舶……名前は『シロタエギク』 元々主人公専用ポッドで機械でも生物でも医療行為が可能。また、ナノマシンの塊のような物なので変形自在。ブルースターの案により擬人化となる。両目と首を隠すように目立つ銀色髪の少女。……布生地目立つ旅人用の服装を着衣。大型リュックを背負い、両手に長方形武器箱を1つずつ持っている。
鍵階級は見習い冒険者。
女の子……名前は『クローバー』 右肩から右手までが無い片腕の女の子。白色の長い髪と白い瞳が特徴。少し大人へと成長した。防御力を捨てた白色を主張する衣服姿。指だけ露出した手袋をはめて、魔法を使用する時は指を鳴らす。
鍵階級は上級冒険者。鍵色は青銅。
ブルースター … アンドロイド(主人公の後継機) わかよたれそ つねならむ の組織の一員でその町のギルドを操る最高責任者。水色の髪と瞳が特徴。主人公の後継機。主人公に対してやけにスキンシップが過剰。
黄緑色の髪と瞳のアンドロイド……名前は『ポコロコ』たまに喋ると伸ばすクセがある。「だめー わたしはー」など。ブルースターと同じく、主人公の後継機で妹にあたる。
ファルシ……青年の男性。鎧姿だが頭装備はしていない。武器は長短直刀の2刀流使い。遊戯者プレイヤーの可能性。
鍵階級は上級冒険者。
ここからはネタバレじゃないけどネタバレだったらいやだなあっていうコメント↓
ファルシは詠唱を唱えての魔法。クローバーは指パッチンでの魔法、ある意味無詠唱。無詠唱は凄い! あいつは才能がある! というのではないです。無詠唱ができるクローバーは後に書きますが理由があります。……多分。
クローバーは主人公が眠っている間、体力作りもしていたがしっかりと学問も勉強していた。ポコロコとその部下によって。より文字を理解し魔法陣を極めていく。結果魔法陣の仕組みをより高みに理解し、ある事を思いつく。魔法陣から魔法へ成長したが基本は魔法陣を使用している。
このエピソードで救助者がなんで助けが来ているのかわかったのか? 救助者の1人が常に魔法を使って探知していた。モンスターの違和感な騒ぎと近づいてくる2つの反応に確信した。




