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私の恋人が「怒らないから正直に話してごらん」と言うので正直に話したら激怒されました

 令嬢フィノア・オネットがフィノア・リューデになったのは12歳の時だった。

 オネット家は男爵家であり、フィノアの父は温厚で、領民によく慕われる当主であった。一方で領地の経営は厳しい状況が続いていた。その原因は民の生活を慮るあまり、貴族らしい非情な決断ができないところが大きかっただろう。

 そんなオネット家に手を差し伸べた者があった。同じく男爵家のリューデ家であった。

 リューデ家の当主ドネルはフィノアを養子として迎えたいと持ちかけたのである。

 フィノアの父は断腸の思いでこれを了承。よりよい環境で娘を育ててくれるのならばと、フィノアをリューデ家に託した。

 この一件は“貴族同士の助け合い”として、世間では美談として扱われた。

 そう、美談であった。あくまで表面上は――




 フィノアはリューデ家に引き取られた当日、当主であるドネルからこう告げられた。


「私はね、お前の父親に恨みがあるんだ」


「え……」


「奴とは年が近く、爵位も同じということで、事あるごとに何かと比較された。領民に対する対応を巡って、上級貴族から『オネット家を見習え』などと叱責を受け、公衆の面前で恥をかかされたこともあった」


 筋違いの憎悪を向けられ、フィノアは黙り込むしかない。


「だが、奴は所詮甘ちゃんだった。こうして愛する娘を手放さざるを得ないほどに窮乏するはめになったのだからな」


 ドネルの唇が嬉しそうに醜く歪む。


「お前には私が受けた屈辱をたっぷりお返ししてやる。お前の父にもフィノアは私の娘になったのだから会おうとはするなと言っておいた。令嬢らしい生活などできると思うなよ。覚悟しておけ」


 どこか魚類を思わせるギョロリとした眼で睨まれ、フィノアはただうなずくしかなかった。


「……はい」


 ドネルにオネット家を助けようという気など毛頭なかった。

 憎い相手が大切にしている者を手中に収め、それを粗末に扱う“娯楽”に興じたいがための養子縁組であった。



***



 フィノアはつぎはぎがあり薄汚れたボロの服を着せられ、まるで召使いのように扱われた。

 料理、掃除や洗濯などの日常の家事はもちろん、何かを持ってこい買ってこいという使い走り、リューデ家が所有する馬の世話までさせられた。

 これだけなら、まだよかったのかもしれない。

 フィノアにとって不幸だったのは、リューデ家の面々は皆、当主ドネルのような人間性だったことだ。


 新しい家族たちから罵詈雑言や理不尽な扱いを受け続ける日々。


「おい、落ちぶれ娘! 今日俺の友達が遊びに来るから、軽食作っとけ! マズかったらひっぱたくからな!」

「はい、お義兄様……!」


「相変わらず、あなたは小汚い格好をしてるわねえ。目障りだから視界に入らないでくれる?」

「ごめんなさい、お義姉様……!」


「あなたはリューデ家に助けられた身なのです。身をわきまえて、一生忠誠を尽くさねばなりませんよ」

「分かっております、お義母様……」


 義理の家族はおろか、元々リューデ家に仕えていた者たちにさえ軽んじられる。


「メイドも楽じゃないけど、あの子に比べれば全然マシよねえ」

「ホントホント」

「面倒事は全部あの子に押し付けちゃいましょ」


 しかし、フィノアは懸命に耐えた。

 もし自分が彼らに盾突こうものなら、それは必ず実の父たちにまで跳ね返ることになる。それだけは避けねばならない。

 虐げられながらも、フィノアは貴族令嬢としての誇りは失わないよう、いつか必ず夜明けは訪れると信じて耐え続けた。



***



 数年が経ち、フィノアも社交界にデビューする年頃を迎える。

 波打つセミロングの髪は、艶やかなシナモン色に覆われており、劣悪な環境ながら可能な限りの手入れがなされている。すらりと透き通るような顔立ちには、湖を彷彿とさせる水色の瞳がよく似合う。着ている服こそ粗末であるものの、貴族としての誇りを内に秘めた令嬢に成長していた。

 だが、フィノアが夜会に参加することは許されなかった。

 一度だけ、当主であるドネルに「私も夜会に出たいです」と直訴したが――


「お前が夜会? 冗談だろう? 着ていく服もないくせに、どうやって夜会に出るというんだ。それに、そもそも私はお前が嫌いだ。私がお前の希望を叶えることなどない」


 一蹴されてしまう。予想していたこととはいえ、ショックだった。

 それでもフィノアは諦めなかった。

 この頃になると、リューデ家の面々もフィノア虐めに飽きており、自由な時間を持てるようになっていた。

 それを生かし、フィノアはこんな決心をする。


(夜会に出られないのなら、せめてその気分だけでも味わいたい)


 フィノアは町で、まるで自分が夜会に出席しているかのように振舞い始めたのである。

 道行く人々に「ごきげんよう」と丁寧に一礼する。

 露店で売っている安物のカップスープを、まるで上等な紅茶を嗜むような仕草で飲む。

 時には町中で踊り出すこともあった。


 これを見ていた町民たちは当然眉をひそめた。


「あの娘、頭がおかしいんじゃないか?」

「“夜会ごっこ”ってやつか。惨めだねえ……」

「いくら貴族に生まれても、ああなっちゃオシマイよね」


 フィノアには心無い言葉が浴びせかけられるが、彼女は気にしなかった。

 その気になれば、どんな場所も社交界の舞台になる。心を強く持ち、彼女は町中で貴族令嬢らしく振る舞い続けた。


 ところが、そんな状況にも少しずつ変化が起こる。

 フィノアがいつものように町の中年男に一礼をする。


「ごきげんよう」


 いつもは彼女に呆れ、苦笑いしていた中年男だったが、


「ああ、ごきげんよう」


 と返すようになった。


 フィノアの所作は美しく気品があり、町の人々の心を打ち始めていたのだ。

 なんと町の人間の方から――


「フィノアちゃん、ごきげんよう!」

「今日はいつもよりいいスープを作ったんだ! 貴族のあんたにぜひ飲んで欲しくて! お代は結構さ!」

「フィノア様、今日もお美しいわぁ」


 夜会の真似事を続けるフィノアに敬意を表するようになっていった。


 ほんの少し上等なカップスープを飲みつつ、フィノアはかすかに目を潤ませる。


「ありがとう……。ありがとう……皆さん」



***



 町でのフィノアの人気もすっかり高まった頃、青い空に雲がゆっくり流れる昼下がりのことだった。

 町民の素朴なギター演奏に合わせ優雅に踊るフィノアに、一人の青年が近づいてきた。

 ホワイトブロンド気味の明るい髪で、蒼玉を思わせる碧眼。鼻筋の整った顔立ちは凛々しさと美しさを兼ね備える。白いシャツに紺色のベスト、黒のスラックスを着用し、すらりとした長身をしている。

 町民たちは明らかに格の違う青年の登場に、身を強張らせて凍り付いてしまう。

 だが、フィノアだけは違った。


「初めまして」


 臆することなく、青年に向けてゆったりと挨拶をする。


「僕はエリオスという。君は?」


「私はフィノア。フィノア・リューデと申します」


「フィノア、よかったら踊らないか?」


 エリオスの誘いに、フィノアは微笑んで応じる。


「喜んで」


 二人はそのままギター演奏に合わせ、即興でダンスを始めた。

 明らかに只者ではない気高さを宿すエリオスに、フィノアはまるで呑まれていない。

 二人は“対等”な雰囲気のまま、ダンスを踊り切った。


 ふと、誰かがつぶやいた。


「なんつーか、この二人……ものすごく絵になるな」


 日没が迫る時刻。エリオスは別れを惜しむように、フィノアをじっと見つめる。


「また……会えるかい?」


「はい、もちろんです!」


 フィノアは力強くうなずく。


「また会おう。そして、この町で夜会を楽しもう」


「はいっ! お待ちしています!」


 フィノアはエリオスの素性について詮索することはしなかった。

 私の“夜会”に参加してくれる素敵な仲間が増えた――その事実だけで十分だった。



***



 エリオスは週に一、二度ほど町にいるフィノアの元を訪れるようになり、フィノアはそれに快く応じた。

 町の人々も二人のやり取りを微笑ましく見守る。

 自然と二人の距離は近くなり、ついにエリオスがフィノアに――


「よかったら、今度二人でデートでもしない?」


 フィノアは満面の笑みで答える。


「ぜひ! 楽しみにしています!」


 これを眺めていた町民の一人はニヤリとする。


「あの二人、やっとデートかよ……。俺なんて今の女房とは、出会った日には宿連れ込んでたぜ」


「おめーは早すぎるんだよ」


 それから数日が経ち、デート当日。フィノアは義父たちの目もあるので、普段通りの粗末な服で来るしかなかったが、エリオスはそのことについて一切触れなかった。


「ちょっとお茶でもしてく?」

「いいですね、そうしましょう!」


 二人でティーを楽しみ――


「おっ、こんなところに川がある。石でも投げてみようか」

「あ、私得意ですよ!」


 二人で石投げに夢中になり――


「じゃあ、町のみんなと踊ろう!」

「はいっ!」


 いつものようにダンスをする。


 特別に豪華なことをするわけではない、日常の延長線上にあるようなデート。

 しかし、フィノアは幸せだった。

 愛しい人と並んで町を歩く、喋る、遊ぶ、食べる。なんて楽しいんだろうと思った。

 リューデ家の屋敷ではどんなに辛い目にあわされても、エリオスがいれば私は生きていける。自分の身の上はわきまえているから結婚までは望まない。時折一緒に過ごせればいい。

 だから神様、どうかこの時間を奪わないで下さい――そう祈った。


 ところが、ある時のデート当日、出かけようとするフィノアに義兄が声をかけてきた。


「おい、屋根裏掃除していってくれよ。さっき覗いたら埃が溜まっててさ」


「分かりました。今から出かけますので、帰ったらすぐに……」


「ふざけんな! 俺が命令したら今やるんだよ、今!」


「……は、はい!」


 逆らえばどんな目にあわされるか分からない。

 言う通りにせざるを得ず、フィノアが出かけるのを許されたのはおよそ一時間後のことだった。

 当然、デートには大幅に遅刻するはめになってしまう。


「遅れてしまい申し訳ありません!」


 だが、エリオスはいつも通りの温和な態度で応じる。


「一応理由を教えて欲しいな。怒らないから正直に話してごらん」


「ええっと……寝坊、です」


 フィノアは嘘をついた。

 本当は義兄のせいなのだが、言えなかった。

 愛しい人に自分が虐げられていることを明かしたくない。愛しい人に心配をかけたくない。二つの心根が、彼女に嘘をつかせた。

 それにしてもデートに寝坊で遅刻など、即愛想を尽かされてもおかしくない言い訳だったが、エリオスは平然としている。


「そうか、ひょっとしてあまり寝ていないのかな? 睡眠はきちんと取るようにしてね」


「はい、すみません!」


 フィノアは自分を全く責めないエリオスの優しさに感激すると同時に、心にグサリと傷を負うような思いだった。


 それからも似たようなことが何度か起こる。

 義理の姉から作ったスープについて文句を言われ、スープを腕に浴びせられ、火傷の処置でデートに遅れてしまう。

 この時もやはり理由を聞かれたが、フィノアは「料理に夢中になっていて」と返す。

 エリオスはやはり怒らず、「君の手料理、いつか食べてみたいな」と笑った。


 義理の母から掃除について難癖をつけられ、罰として義母がわざと床に撒いた水を全て雑巾で拭かされる、ということもあった。

 遅刻したフィノアは「水遊びをしていて」と嘘をつく。

 エリオスは「また二人で川に行くのもいいね」と笑った。


 フィノアがどんなに嘘をついてもエリオスは決して怒らない。笑って水に流してくれる。

 その優しさにフィノアは救われたが、申し訳ないという気持ちも蓄積する一方だった。



***



 そんなある日のこと、エリオスはデートの最中フィノアにこう切り出した。


「君に渡したいものがあるんだ」


「なんでしょう?」


「これなんだけど……。僕が作ってみたんだ……」


 手作りのネックレスであった。

 革紐に、大衆でも買えるほどのものではあるが宝石がいくつも通されており、簡素ではあるが実直な美しさを放っている。エリオスのフィノアに対する想いをそのまま表現するかのような一品に仕上がっていた。

 フィノアの表情は感激でみるみるほころんでいく。


「ありがとうございます、大切にします!」


「ネックレスを作るなんて初めてだったけど、喜んでもらえて嬉しいよ」


「次のデートでは必ずつけてきますね!」


 喜びのあまりやや興奮気味になるフィノアに、エリオスはにっこりと微笑んだ。

 いつものように次のデートの約束をして、この日は別れた。


 だが、悲劇はその日のうちに起こってしまう。

 ネックレスを首にかけ屋敷に戻ったところで、よりによって義父のドネルに見つかってしまった。


「おいフィノア、なんだそれは?」


 相変わらずの魚類を思わせる目つきで睨まれる。


「あ、いえ、これは……」


「最近お前が町によく出ていることは知ってるぞ。もっともお前のことなど興味もないし、それぐらいはどうでもよかったが、ネックレスを身につけるというのは生意気だな。どれ、よこせ」


 ドネルは距離を詰め、ネックレスを乱暴に鷲掴みにする。


「やめて下さい!」


「いいから、よこせ! 召使い以下のお前がネックレスなどおこがましいわ!」


 強引に引っ張られ、ネックレスの革紐がちぎれてしまう。


「ああっ……!」


 宝石が床に散らばる。

 フィノアは悲痛な声を上げる。

 愛しい人からのプレゼント。それがその日のうちに無惨な姿になってしまった。

 ドネルはもちろん謝りもせず、しかも宝石だけはめざとく拾って、得意げな表情で見下す。


「いい気味だ。しょせんお前は幸せになることを許されぬ人間なのだよ。また分不相応なものを身につけていたら、同じ目にあわせてやるからな」


 高笑いしながら去っていく。貴族でありながら、戦利品を得た盗賊のような風情である。


 これまではどんなに虐げられても涙一つこぼさなかったフィノアであったが、この時ばかりはその場で泣き崩れた。

 しかし、屋敷の中に彼女を励ましてくれる者は一人もいなかった。



***



 数日後、フィノアはエリオスとのデートを迎える。町の一角で二人きりになる。

 本当は貰ったネックレスをつけていきたかったのに、それができなかった。

 エリオスも当然それに気づく。


「あれ? そういえばネックレスは?」


「あ……」


「怒らないから正直に話してごらん」


 エリオスとしては責めるつもりはなく、「うっかり忘れてしまいました」と答えが来たら、「アハハ、そっか」などと軽く返すつもりだったのだろう。それをとっかかりに雑談を楽しむこともできる。

 ところが、フィノアの表情はみるみる曇っていく。

 自分が虐げられていると打ち明けたくない。愛する人に心配をかけたくない。

 しかし――


(もう……嘘はつけない……!)


 限界だった。

 フィノアは両目から涙をこぼす。


「あのネックレスは……今、私が父としている人にむしり取られて……!」


 フィノアはついに正直に話し始めた。

 ネックレスの行方、これまでデートを遅刻した理由、自分の境遇、リューデ家に引き取られてからどんな扱いを受けてきたか、なにもかも全てを。

 エリオスは神妙な表情で、ほとんど口を挟まず、耳を傾け続けた。

 まるで君が吐き出したい痛みや悲しみは丸ごと受け止める、と言わんばかりに。

 長い時間をかけて話を終えたフィノアはひたすら謝り続けた。


「ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……」


 今まで嘘をついてきたこと。ネックレスを台無しにしたこと。自分が虐げられる身分だったこと。なにもかもを内包した謝罪だった。

 エリオスはそんなフィノアの肩にゆっくりと手を置いた。これだけで「謝らなくていい」という意志が伝わる。

 しかし、その表情は真剣そのものであった。眉間にも力がこもっている。


「あの、エリオス様……怒っていますか?」


 フィノアの問いにエリオスは首を縦に動かす。


「ああ、ものすごく怒っている。ただし、もちろん君にではない。君を虐げ続けたリューデ家の者たちと、僕自身に」


「エリオス様自身に……?」


「君に何か事情があること、辛い目にあっていることは分かっていた。だが、君から話さないのならば、僕が立ち入るべきではないと、ずっとそう判断していた。だけど、それは間違いだった。多少強引にでも聞き出していれば、君をこんなに長い時間苦しませずに済んだ。謝るべきは僕の方だ。本当にすまない」


 深く頭を下げるエリオスに、フィノアは慌てて両手を向ける。


「いえ、そんな……!」


「こんなことを知った以上、君の家族……いや、リューデ家の者たちをこのままにはしておけない。どうか僕が介入することを許して欲しい」


 フィノアもエリオスを蚊帳の外にしておくのは無礼だと思い、これを了承する。

 頼もしい味方を得たが、しかし、不安は残る。


「ですが、義父たちはしたたかで、一筋縄ではいかない方々。どうやって立ち向かえばいいのでしょうか……」


「これを君に託そう」


 エリオスはワインレッドの宝玉が埋め込まれたブローチを手渡した。


「いずれ君に渡そうと常に懐に忍ばせていたんだけど、今がその時のようだ」


 宝玉はフィノアが見たこともない代物で、まるで宝玉そのものがぼんやりと輝いているかのような、しかし決して華美ではない稀有な光沢を帯びていた。

 たとえ宝石や宝玉に明るくない者でも一目で「ものすごい価値を持つ」ということが分かってしまう高貴さがあった。


「こんな素敵なブローチ、頂いてよろしいんですか?」


「ああ。そしてそれを義父たちにこれ見よがしに見せつけてやるといい。君の話を聞きながら、僕はずっと作戦を考えていたんだけど、それで全てが上手くいくはずだ」


 エリオスはまっすぐフィノアを見据える。


「分かりました。やってみます!」


 フィノアもまた、エリオスを信じ、義父たちと戦う覚悟を決めた。


「フィノア……」


「エリオス様……」


 自然と二人の距離は狭まり、そのまま抱きしめ合った。

 二人の間に張り巡らされていた透明な壁は、もうどこにも存在しない。



***



 一週間後、リューデ家の屋敷は色めき立っていた。

 当主ドネルは顎を撫でながら、喜びを抑えきれないような笑みを浮かべる。


「まさかラツォルン家ほどの名家のパーティーに、我々が招待されるとはな」


 ラツォルン家は伯爵家で、王家からの信頼も厚い名家。

 次代を担う長男が、今のうちから自身をアピールする目的もあり、大々的にパーティーを開催するという。そこに彼らも招待されたのである。


「身支度にはいつも以上に気を遣わねばならんな。下手な格好で出向けばかえって恥をかいてしまう。おお、そうだ。この間、フィノアから受け取ったブローチがあったな。これを付けていくか」


 フィノアがエリオスから受け取ったブローチは、やはりその日のうちにドネルに奪い取られていた。

 しかし、フィノアはそれを黙って受け入れた。

 エリオスを信じているから、受け入れることができた。


「どうだ?」


 ブローチを付けたドネルを、リューデ家の面々は「似合ってる!」「これならパーティーでも恥をかかないよ!」と褒め称える。


「そうかそうか。どこでどう手に入れたかは知らんが、これほど立派なブローチは私にこそ相応しい」


 高笑いするドネルの声が、デッキブラシで床掃除をするフィノアの耳にも入ってくる。

 フィノアがブラシの柄を握る手に、力がこもる。


(全て、エリオス様の作戦通り……)



***



 パーティー当日、時刻は夕食時。雲もなく空気が澄み、月と星がよく見える夜であった。

 伯爵家ラツォルン家の本邸から離れたところにある別邸では、煌びやかなパーティーが催されていた。

 ドネルたちもすでに会場に入り、美酒や美食に酔いしれていた。もちろんフィノアには留守を命じている。


「さすがはラツォルン家、パーティー用の別邸まであるというのだから、恐れ入った」


「まったくだわ」と義母も目を輝かせている。


 貴族にとって財とは“力”。他の家族らもラツォルン家の力に圧倒されている。

 圧倒されつつも、自分たちはそんな名家に招待される身なんだと自画自賛の心も抱いている。


 そんな中、パーティーを主催する伯爵令息が満を持して登場する。

 黒の礼服に身を包んだ期待の新星に、参加者たちはこぞって拍手を送る。


 この令息が主催者として、来場した貴族たちと挨拶を交わす中、ついにその時が訪れた。

 ラツォルン家の家令である老紳士が、ドネルたちに声をかける。


「リューデ家の皆様方、どうぞこちらへ」


 未来のラツォルン家当主と上手く結びつくことができれば、リューデ家の未来も安泰である。

 ドネルは精一杯の笑顔を作り、恭しく挨拶をする。


「初めまして、ドネル・リューデと申します」


「こちらこそ。エリオス・ラツォルンと申します」


「いずれラツォルン家を背負って立つお方のパーティーに一家揃って招いて頂いて光栄ですよ」


「いえいえ、こちらこそ。若輩者ではありますが、どうか今日はパーティーを楽しんでいって下さい」


 お互いを褒め合う社交辞令のお手本のような雑談が交わされるが、エリオスがちらりとドネルの胸を見る。


「ところでドネル殿」


「はい?」


「なぜ、あなたは我が家の家宝を身につけているのですか?」


 言われていることの意味が分からず、ドネルはきょとんとする。


「……はい?」


「あなたが胸につけているそのブローチ、それはラツォルン家の家宝『繁栄の葡萄』に他ならない。なぜそれを、あなたが持っているのですか?」


 隣にいる家令も補強するようにうなずく。


「間違いございません。あれは『繁栄の葡萄』そのものです」


 ドネルは呆然とする。


「家宝……? 繁栄の葡萄……?」


 エリオスの目つきが険しくなる。


「我が家のご先祖はワイン作りで財を成したこともあり、その昔、時の陛下から国宝の一つであった葡萄酒色の宝珠を授かりました。それを丹念に磨き上げ、ブローチに仕立て、『繁栄の葡萄』と名付け家宝としたのです。今あなたが身につけている“それ”です」


「……!」


 ドネルにしてみればまさに寝耳に水であった。

 義理の娘から奪っただけのブローチが、名門中の名門である伯爵家の家宝だとは。わけが分からず、答えに窮してしまう。


「そういうことでしたら、すぐお返しします!」


 ドネルは慌ててブローチを外し、エリオスに返却するが、返却すれば済むという問題ではない。


「どういうことか答えてもらいましょうか。正直に話せば、咎めはしないと約束します」


 どこか“怒らないから正直に話してごらん”と似た言葉だった。

 これにドネルはすかさず食らいついた。


「む、娘です! 娘から父へのプレゼントということで、貰って……」


「ほう、娘さん。後ろにいる方ですか?」


「いえ、違います! 今日ここには来ていないんです! あいつ……いえ、あの子がどうやって『繁栄の葡萄』を手に入れたのかは分かりませんが、私は何も悪いことはしておりません!」


 エリオスは目を細める。


「娘からのプレゼント。今言った言葉に噓偽りはないと」


「ありません!」


「この『繁栄の葡萄』に誓えますか?」


「もちろん、誓います!」


 エリオスは神妙にうなずくと、ある扉に顔を向ける。


「ではここで、ゲストに登場してもらいましょうか」


 すると――


「失礼いたします」


 扉を開けて入ってきたのは、海のように青いドレスに身を包んだフィノアだった。白い襟から自身のデコルテを上品に露出している。

 普段ボロを着ている時とはまるで雰囲気が変わっており、同じ屋敷に住んでいるにもかかわらず、ドネルたちは一瞬誰か分からなかった。


「……!? フィ、フィノア!? フィノアか!? なんでお前がここに!?」


 フィノアはドネルの呼びかけを黙殺して、エリオスの横に立つ。

 その顔は堂々としていて凛々しく、神罰を与えるために大地に赴いた天の使いのような威光さえ漂っていた。


「フィノア、君に問おう」エリオスがフィノアの方を向く。「今ドネル殿が言ったことは真実かい?」


 フィノアは眉一つ動かさず答える。


「いいえ、全て嘘でございます」


「それでは、真実を教えてもらおうか。この『繁栄の葡萄』の前でね」


 エリオスが『繁栄の葡萄』を掲げる。

 フィノアは一歩前に出ると、よどみなく答え始める。


「この『繁栄の葡萄』は間違いなく、この私が先日エリオス様から頂戴したものです。それを胸に身につけて私が帰宅すると、お義父様と会いました。お義父様は『なんだそれは?』と私に迫りました。そして、『そんないいブローチはお前には勿体ない。私によこせ』と、私の胸から『繁栄の葡萄』を無理矢理奪いました。他の家族はこの様子を見て、いい気味だと言って笑っていました」


 一切嘘をついていない、紛れもない真実を告げた。


「なるほど。どうもありがとう」


 エリオスが納得する一方で、ドネルは困惑していた。

 彼の頭蓋骨の中は、脳に落雷が幾度も降り注ぐような状態だった。

 有望な伯爵令息のパーティーに自信満々で参加したはずが、その令息から自分の身につけているブローチは家宝だと言われ、普段から虐めている義理の娘が別人のような華麗さを纏って現れ、自分の所業を暴露してきた。

 一連の流れは、ドネルの処理能力を完全に超えていた。


「ドネル殿、呆けている暇はありませんよ」


「は、はい……?」


「これよりあなた方の所業を余すところなく、明らかにするのだからな」


 エリオスが眼を鋭く光らせると、家令を務める老紳士が一枚の書を読み上げ始めた。


「フィノア様を養子として引き取ったドネル様は、『私はお前の父親に恨みがある』と言い、その屈辱を晴らすためにフィノア様に数々の酷い仕打ちを……」


 フィノアが12歳の頃からドネル、いやリューデ家から受けた仕打ちが事細かに読み上げられる。

 事前にフィノアから丹念に聞き取っていたものだ。

 フィノアは誇張や捏造をすることなく、ありのままを伝えていた。思い出すことも辛い出来事もあったが、エリオスに身を委ねるように全てを話した。


「フィノア様はスープを浴びせられ、手に火傷を負ったことも……。魚料理を作れと言うので魚を焼いたら、肉料理を食べたいと言ったはずだと難癖をつけ……」


 ドネル始め、リューデ家の面々はみるみる青ざめていく。身に覚えがありすぎる、というやつなのだろう。この顔を見て、彼らを潔白だと思う人間はおそらくいないだろう。


「それでもフィノア様は貴族としての誇りを忘れず……。町の人々にも調査を行いましたが、彼女に同情こそすれ、悪く言う者は一人もなく……」


 町民たちの証言も読み上げられ、フィノアの健気な人格を知らしめてくれた。


 パーティーに参加している貴族たちも眉をひそめている。

 彼らの中にはリューデ家がオネット家に手を差し伸べた“美談”を記憶している者も多い。その美談の裏側がこうして白日の下に晒されてしまったのだから。

 家令がフィノアの受けた所業を読み終えると、パーティー会場の目は一斉にリューデ家に注がれた。非難や軽蔑を含んだ、容赦のない視線だった。“針のむしろ”という言葉ですら生温い光景だ。


 もはやリューデ家の殆どの人間は観念した様子だった。顔が絶望に染まっている。

 だが、ドネルだけは違った。


「今読み上げられたものなど、全部作り話だ! 私は関与していない! 私はフィノアを何年も大切に育ててきた! 実の娘のつもりでなぁ!」


 堂々と言ってのける。

 もはや、彼の言うことを信じている者はこの場にはいないが、それでも足掻く。このしぶとさもまた、貴族当主としての歪んだプライドが成せる業なのかもしれない。


「お見苦しいですよ、ドネル殿」


「見苦しくて結構! 私は無実! 無罪! 潔白! ずっとフィノアを大切にしてきたのだから!」


 癇癪を起こしたように、保身に満ちた弁解をばら撒く。

 もはや勝負はついており、罠にかかり檻に閉じ込められた害獣のような状態だが、これ以上わめかれるとパーティーの進行にも支障をきたす。

 さて、どうしたものかとエリオスが思案していると――


「私の前でも“潔白”と言えるのかね?」


 低くしわがれているが、会場によく響く声だった。

 現れたのはエリオスの父ウィラス・ラツォルン伯爵であった。

 エリオスが年を取り、髭を蓄えるとこのような威厳ある紳士が出来上がる、といった風情の容貌をしている。


「父上……!」


 エリオスとしても父の登場は予想外だったらしい。

 若いエリオスにはまだ強気に出られたが、伯爵の登場にドネルもついに押し黙る。


「あ……う……」


 ウィラスは執事からワインの入ったグラスを受け取る。


「君らのフィノア嬢に対する仕打ちはいわば家庭の問題、公的な機関に訴えることは難しいかもしれん。しかしながら、これほどの大きく華やかな場で自分たちの所業があらわになった君たちの行く末を想像すると……」


 ワインを一口飲む。


「ワインの味も苦くなるというものだ」


 伯爵から直々の“これからの君たちによき未来はないだろう”という宣告だった。

 リューデ家の者たちは一家揃って愕然とする。

 ウィラスが息子に向かって視線を送る。エリオスはそれに応じるようにうなずく。


「これ以上、この会場の酒や料理の味を悪くするわけにはいきません。申し訳ありませんが、あなた方にはご退場願いましょう」


 エリオスが手を挙げると、衛兵たちがドネルたちをエスコートするように動き、彼らを会場から追い払った。

 裁きを受けた亡者たちが鬼によって地獄の門に連れて行かれるような光景であった。

 それを見届けたエリオスは父ウィラスに振り向く。


「父上、どうもありがとう」


 フィノアも追随するように頭を下げる。

 これに、ウィラスははにかむ。


「息子の晴れ舞台で、少々でしゃばりすぎてしまったかな?」


「いや、僕も彼らの扱いには手を焼いていた。父上が出てきてくれて助かったよ」


 ウィラスは首を横に振る。


「お前も見事な進行だった。立派な息子を持って誇らしいよ」


 父子のやり取りに、パーティー参加者たちが自然と拍手を送る。


「さあ、私の出番はここまでだ。あとはエリオス、そしてフィノア嬢、君たちの時間だ」


 若き二人は声を揃えて「はい」と答える。


 エリオスがフィノアに向き直る。


「フィノア、君と出会う前、僕は見聞を広めるため、各地を旅していた。そんな時だったよ。“ある町に夜会の真似事をしている娘がいる”という噂を耳にしたのは」


 フィノアは黙って聞いている。


「その時、僕は君を一目見たいと思った。だけどそれは単なる好奇心に過ぎなかった。変わった女の子を見てみるのもいい勉強になる、くらいの感覚だったと思う」


 だが――


「町中で夜会を演じている君を見て、僕の背筋に衝撃が走った。あんな感覚を味わうのは生まれて初めてだった。この子は“本物”だ。そう思ってしまったんだ。そして気づいたら、君に自己紹介をし、ダンスに誘ってしまっていた」


 フィノアも当時のことを思い出し、微笑む。


「あの時は素敵な男性に声をかけられたと胸がときめいたことを今でも覚えています。町の人々との楽しい日々に、さらなる彩りが添えられた。そんな気持ちになりました」


 彼女がエリオスの正体を知ったのは、『繁栄の葡萄』を手渡され、ドネルたちを追いやる策を説明されていた時だったが――


「あの時も驚きはありませんでした」


「なぜ?」


「エリオス様がどこか名家の出というのは察しがついていましたし、それにエリオス様が何者であろうとエリオス様はエリオス様です。受け入れようと心に決めていましたから」


「フィノア……」


 長い沈黙。

 会場中の誰もが見守っている。

 やがて、エリオスの喉仏が動き、絞り出すように切り出す。


「実はね……フィノア」


「なんでしょう?」


「この『繁栄の葡萄』は単なる家宝やブローチではなく、ラツォルン家では代々愛の証として使われてきたんだ」


 エリオスの目に緊張が宿っている。言葉も珍しくたどたどしい。

 会場がしんとする中、父ウィラスのみ、わずかに笑む。


「すなわち、生涯をかけて愛すると誓った女性にプロポーズをする時に渡すものなんだ」


 エリオスの一言一句を、フィノアは真剣な眼差しで聞く。


「だから、今再び、これを君に手渡す」


 エリオスの手から、フィノアの手へ『繁栄の葡萄』が移る。


「我が愛するフィノアよ。どうか、この僕と婚約をして欲しい」


 フィノアはうっすらと笑んだ。にこやかで、柔らかな後光が差すかのような温かな笑みであった。


「はい。喜んでお受けいたします」


 伯爵令息の威光を示すためのパーティーは、いつしか悪徳貴族の断罪式になり、ついには若き二人の婚約式となった。


 出席者たちは二人をひときわ大きな拍手で称える。


「おめでとうございます!」

「お幸せに!」

「いやぁ、素晴らしいパーティーだった!」


 今まさに婚約したばかりの二人は周囲からの祝福に、はにかみつつも手を振って応じた。

 そしてそのままパーティーは大盛況で幕を下ろす。

 屋敷の外、夜空に浮かぶ月と星も、新たなスタートを切ろうとする二人を後押しするように、あでやかな輝きを放っていた。



***



 程なくして二人は結婚――フィノアは改めて生家であるオネット家の人間に戻り、それから結婚するという手続きを踏んだ。

 令嬢フィノア・オネットからフィノア・ラツォルンになったのである。

 エリオスはラツォルン家の跡取りとして、父の補佐をしつつ、自身も精力的に活動。未来のラツォルン家当主に相応しい貫禄と実績を着々と身につけていく。

 フィノアもまた、元々庶民たちに好かれる性質の令嬢である。領民たちとすぐに仲良くなり、大勢から慕われる貴族夫人となっていく。エリオスと二人で町を歩いたら、フィノアの方により多くの市民が群がり、エリオスが苦笑いする一幕もあった。


 一度はフィノアを手放したオネット家も息を吹き返した。領地経営の危機は続いていたが、エリオスが援助を施し、元々フィノアの父は領民に慕われていたこともあり、民たちが奮起。再興への道を歩んでいく。

 フィノアの実父はフィノアが辛い目にあっていたことを知り、「私を罰してくれ」と涙ながらに謝罪したが、フィノアは全て水に流した。

 一方でフィノアを虐げていたリューデ家は、所業を暴露されたことで大きく評判を落とした。なまじフィノアを引き取ったことが美談として扱われていたためか、フィノアに対する長年の仕打ちは加速度的に広まる。

 貴族らにはそっぽを向かれ、領民には見放され、落ち目の人間に金を貸す商人などいない。貴族としての体裁を保つことも難しくなっていく。やがて貴族としての地位を剥奪され、その領地は心ある貴族の管理下に置かれることとなった。


 さて、幸せながらも多忙な日々を過ごすフィノアとエリオスであるが、ある日たまたまお互いに時間が空くということで、夫婦水入らずでデートをすることにした。

 ところが――


「私ったらうたた寝をしてしまうなんて!」


 日光が程よい暖かさだったこともあり、フィノアは屋敷のソファで眠ってしまい、待ち合わせに少し遅れてしまった。


「ごめんなさい……!」


 先に着いていたエリオスは、遅刻の理由を優しく問いただす。


「怒らないから正直に話してごらん」


 フィノアはうなずくと、正直に打ち明ける。


「ソファでうとうと眠っていたら、あなたにぎゅっと抱き締めてもらえる夢を見てしまったの。起きた後もしばらく余韻に浸っていたくて、少しぼんやりしていたら、出かける準備が遅れてしまって……」


 これを聞いたエリオスは照れ臭そうに人差し指で頬をかく。


「ずるいなぁ。こんなこと言われたら、怒るどころか嬉しくなるしかないじゃないか」






おわり

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― 新着の感想 ―
「このこは本物だ」 ーーー恐ろしい子。 って◯ラスの仮面が浮かんできました(笑) フィノアのパッパは、小の犠牲で大を為す、ができなかったんだね。でも結局はそのせいで長く領地を立て直すことができなか…
フィノア、随分我慢したなあ………。 ワタシなら我慢ならずに下克上咬ますかも? 女の子じゃ、そうはいかないだろうけど。 エリオスはフィノアに聞く前にキッチリ調べて欲しかった気もする。 でもそうすると「…
お父さんから聞いた話なのですが… お父さんが小学2年生の時、友達のしんちゃんと悪いことばっかりしていたそうです。 まぁ、イタズラで済む範疇だとは思いますが。 ある日曜日、学校に忍び込んで、「煙幕ごっこ…
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