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ギルティなギルロッテ様  作者: 月迎 百
過去の罪とこれからの私達
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32 過去の責任

異世界ですが魔法はなく、何となく文化的な発展度とかイギリスのヴィクトリア時代後期をイメージして書いています。

恋愛&ちょこっとミステリーな話になりました。(もう完結まで書き終えてます)

最後までお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。

 エドワードが新妻のリアーナと一緒に子ども達と楽しそうに話をして遊んでやっている。

 その姿を微笑ましそうに見ながらカトリーヌは言った。

「やっと、これで、終わりましたかね」


「ああ、次代へ上手く、遺恨なく引き継げて良かったよ」

 グリース公国の実業家アスラン氏が笑う。


「でも、エドワードが平民を嫁にするとは意外でした。

 あの子には王家の血が流れていて、王になる素質のある子です。

 グリース公国の公女様となら本当にふさわしく、王になれる可能性も高くなるはずだったのに……」

「エリザ、もう言うな。

 私達だって王位より真実の愛を選んだのだから……」

「まあ、そうですわね、アスラン」


 エドワードがリアーナ連れて挨拶にやってくる。

「母上、お久しぶりです」

「ロータス公爵になられたのよね。

 おめでとう。

 そして、結婚……、まあ、おめでとう」

 エリザはため息混じりのおめでとうをエドワードとリアーナにぶつける。


「ありがとうございます。

 妻のリアーナ・ロータスです。

 リア、俺の母のエリザ・ミンツ子爵令……、もう子爵令嬢は付けなくても?」

 エドワードが皮肉そうな薄笑いを浮かべる。


「そうね。令嬢という歳ではないわね。

 エドワード、私もそろそろ自分の幸せを求めようと思うわ。

 アスランと正式に結婚しようと考えています」

「それはめでたいことです。

 いつ結婚されるのかと思っていましたよ」


 エドワードはアスランを見て「母をよろしくお願いします」と言った。


「ああ、幸せにするよ、任せてくれ。

 エドワードは……、息子、だな。

 これからもよろしく頼む。

 リアーナ、娘と思うよ。よろしく」

「はい、よろしくお願い致します」

 リアーナは微笑んで、アスランとエリザに美しい所作で礼をした。


「バイエルン王国ビスマルク男爵夫人ですね。

 初めてお目にかかります。

 エドワード・ロータスです」

 カトリーヌは目を細めた。

「初めてでは、ないのよ。

 あなたが子どもの頃、お会いしたことがあります。

 私達、親友でしたから」

 カトリーヌはエリザと目を合わせて微笑む。


「そうなんですか……。 

 ロンディノス王国出身でいらしたのですね。

 これからもよろしくお願いします」


 エドワードとリアーナは子ども達に呼ばれ、戻っていく。


「ふふ、いい男に育っているじゃない。

 ヘンリーはなかなか上手に育てたようね」

 カトリーヌが微笑む。

「……アーサーの息子だもの」

 エリザが呟く。


 そこへヘンリー国王陛下がやって来た。

 シャルロッテとアンドリューを連れている。

 従者達がこのテーブル席に他の者が近づかないように警護を始めた。


「あら、国王陛下! お久しぶり」

 エリザがにこやかに声をかける。


「エリザ、久しぶり。

 グリース公国では楽しくやっているみたいだな」

「ええ、心配して頂いてありがとう。

 エドワードのこと、育てて守って頂いて、本当に感謝しています。

 でも……、エドワードには……」

 アスランがエリザの手を握って黙らせる。


「まあ、約束より半年早くエドワードは王室から抜けたことになったが……、それは約束を守れず申し訳ない。

 理由があってね。

 エドワードが希望したことと、私達の過去の秘密を知った者達がいてね」


 エリザがシャルロッテとアンドリューを気にして「ヘンリー!!」と小声で鋭く名を呼んだ。


「いいんだ。彼女達は知っている。

 彼女に言われたんだ、おおやけにしたくなければエドワードをさっさと自由にしろとね」


 シャルロッテはにっこりと微笑んだ。

 ブラックドレスは彼女に戦う力を与えてくれる。


「大変でしたわ。

 私のほかにも気づいた者がいて、私が説得して止めましたのよ」


「君が……、何を?」

 アスランが戸惑ったような声を上げる。


「大体のことを……。

 エドワードの本当の父親はアーサー第1王子だったこと。

 ヘンリー第2王子とエリザ・ミンツ子爵令嬢の結婚は偽装だったこと。

 アーサー第1王子がバイエルン王国の王女との結婚を回避するために、カタリナ・ワイズ男爵令嬢に協力してもらい心中事件を……でっち上げて、国外逃亡したこと……。

 まだ続けた方がいいでしょうか?」


「なんで……」

 カトリーヌが呆然と呟く。


「最初はジェームズ王子が10歳までというのに引っ掛かかり、疑問に思いました。

 メリメ伯爵家で昔の写真を見て、若い頃のアーサー第1王子があまりにもエドワードに似ていて、そして写真の4人。第1王子、第2王子、エリザ様とカタリナ様を見て……。

 第1王子とエリザ様の距離感の近さを感じました。

 そして調べました。

 修道院に行かれたカタリナ様のその後を……」


 シャルロッテはカトリーヌを見た。

 カトリーヌの顔が引き攣っている。


「その後……、バイエルン王国へ行かれたことまではわかりましたが、そこからわからず……。

 でも、求めていれば目に耳に入ってくるものですね。

 石炭王ビスマルク男爵のカトリーヌ夫人がロンディノス王国出身と聞いて、もしやと思ったら、ね」


 アンドリューを見て楽しそうに微笑むシャルロッテ。


 アンドリューが話し始める。

「私が不思議に思ったのは、何故、ワイズ男爵家があれほどのスキャンダルを起こしたのにそのまま存続できたのか、ということでした。

 調べるとヘンリー国王の即位祝いの恩赦としてということがわかり、心中事件を調べ直しました。

 アーサー第1王子の生死は不明なんですよね。

 カタリナ嬢の証言しかない。

 カタリナ嬢は打ち上げられて助かったけれど、第1王子はそのまま溺れて海に流されたと死体なきまま死亡とされた……」

読んで下さりありがとうございます。

後2話で完結です。

少しでも面白い、最後が気になると思ったら、ブックマークして頂けるとうれしいです。

もう少しですが、お付き合い下さいませ。

今日の午後と夜に最後の2話を投稿する予定です。

どうぞよろしくお願いします。

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