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ギルティなギルロッテ様  作者: もよもよよ 
過去の罪とこれからの私達
31/34

31 戦闘開始

異世界ですが魔法はなく、何となく文化的な発展度とかイギリスのヴィクトリア時代後期をイメージして書いています。

恋愛&ちょこっとミステリーな話になりました。(もう完結まで書き終えてます)

最後までお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。

 エドワードとリアーナはすぐに婚約し、ヒューバート伯爵家とカッシーナ公爵家、アルトール辺境伯爵家、メリメ伯爵家とたくさんの有力貴族に協力してもらいながら、領地改革や農地改革、鉱山の開発など新しい公爵領のために動き始めた。


 一番大きな街にあった行政のための施設を新しくし、自分達は古い領主の屋敷をそのまま使うことにした。


 ルーベルトは治安警備局の仕事があるため、時々しか来られないのを残念がっているほど、その仕事は面白いもので、ロータス公爵の名前は新しい民思いの領主だと評判になり、3か月後、領地の民に祝福されながらエドワードとリアーナは結婚式を挙げた。


 父である国王陛下からは祝福の言葉が届いたが、母であるエリザ・ミンツ子爵令嬢からは何も届かず無視されている。

 ミンツ子爵夫妻(エドワードにとって祖父母であり、エドワードを養子にしてくれた)によると、やはり王位継承者に名を連ねているべきだったとか、嫁が貴族出身ではないことを理由に祝福を言うことはとうていできないと話しているらしい。


 リアーナは少し落ち込んでいたが「これから認めてもらえるように頑張るのみ!」といつものように前向きな言葉を言うと、エドワードとともに良く働いている。


 

 新年を迎え、王城でジェームズ第1王子の10歳の誕生日と新年の祝いのパーティーが開催されることになった。


 ルーベルトがシャルロッテを迎えにヒューバート伯爵家に行くと、シャルロッテは久しぶりにブラックドレスを着ていた。

「……何があったのかな?」

 ルーベルトはその場にいるエドワードに聞いた。


「いや、今日が戦いの正念場だって……」

 エドワードも少し困ったように言った。

 リアーナも緑の美しいドレスを着ていた。

 シャルロッテがにっこりする。

「やっと緑のドレスを着せてあげられるわ!」

「緑?」

 エドワードの問いに答えるシャルロッテ。


「メリメ家のお茶会覚えてる?

 リア、緑を着たがったのだけれど、私がローエングリンを気にしてやめさせてしまったの」

「緑って……、もしかして俺の目の?」

 エドワードがそう言ってリアーナを見ると、リアーナが恥ずかしそうに俯いた。

「よく覚えてますね。お嬢様は……」


「あの時から!! 

 もう早く言ってくれれば、あんなに苦労して、頭を怪我することもなかったのに!!」

 エドワードの言葉にみんなで笑う。


「まあ、今は幸せなのだからいいのでは?

 結局、私達よりエドとリアの方が先に結婚したし……」

 ルーベルトがシャルロッテを見て言う。


「ええ、もう少しで過去に決着がつくの。 

 そうしたら、ルーベルトのことをルーと呼べるかも……」


「あ、私の方が先にエドって呼んじゃってた……」

 リアーナが気がついて、エドワードに困ったように笑いかけた。


 王城に到着するとローエングリン公爵家のロザリーと公爵家を出てランス子爵となったアンドリューが出迎えてくれた。


「なんで、アンドリューが?!」

 エドワードは驚いたが、シャルロッテはニコニコしている。

「アンドリューとロザリーは私の友になりました。

 リアにももう話して紹介したわ。

 仲の良いお友達よ。

 面白いと思っておふたりには内緒にしてたけれど」

 ルーベルトもエドワードも複雑そうな表情だ。


 アンドリューが進み出てエドワードに言う。

「エドワード、遅くなったがリアーナとの結婚おめでとう」

「ああ、ありがとう」

「絶対、幸せにしろよ。

 リアは俺が15歳の時から恋し続けてた女性なんだから、絶対に幸せにしなきゃ許さないからな!!」

「なんだよ。お祝いしてるのか、怒っているのか、わからん奴だな」

 エドワードがそう言いながら見せつけるようにリアーナを抱き寄せる。


「うー、やっぱり、こいつ、仲良くなれる気がしない……」

 アンドリューが呻く。

 ロザリーがアンドリューを慰めるように肩をポンポンと叩いた。

「エドワード様!

 弟はリアの幸せのためならと身を引いたんですから、本当に幸せにして差し上げてよ!」


 シャルロッテがアンドリューに笑いかける。

「ありがとう、アンドリュー。

 さて、これから、エドワードのお母様とお会いする予定なんだけど、その時、ご一緒にお願いできるかしら?」

「ああ、リアのためなら!」


「アンドリュー? お嬢様?

 何をするおつもりなの?」

 リアーナが恐る恐る聞いた。


「リアを嫁と認めないお母様に、ガツンと言ってやるんです!

 いいわよね、エドワード!」

「……ああ。

 俺はご一緒したくないけどな……」

「それでいいです。いない方がやりやすいので」



 みんなで会場に移動しながらエドワードはシャルロッテに囁いた。

「もしかして、前に言ってたもうひとりの気がついている人って……」

「そう……、アンドリューです。

 でも、彼はリアのためにそれを利用するのはあきらめてくれた。

 そして、私の友になってくれた……。

 商売でも頼りになる人ですよ。

 エドワードも仲良くしては?」

「う……、まあ、おいおい」


「「リアー!! エド!!」」

 子ども達の大きな声が響き、手を振る姿が見えた。


 アルトール辺境伯爵家のダイアナとマーク、そしてメリメ伯爵家のジョンだ。

 ジョンのそばには見慣れない異国の服を着た男女がいる。

 バスク国王夫妻だ。

 親善という名目で短期間であるが、やっと王妃の母国であり、息子のいるこの国に来ることが叶ったのだ。

 ロンディノス王国の国王と王妃がジェームズ第1王子10歳とキャサリン第1王女6歳を連れて現れ、挨拶を交わしている。


「ジョン様の御両親、来られたんですね!」

 リアーナのうれしそうな声にエドワードが「挨拶しに行こう」と誘い、ふたりはそちらの輪の中に入って行った。


 会場の隅の方の離れたテーブル席からエドワードとリアーナを眺める人々の姿があった。


 男性はエドワードと同じ色味の金髪をきれいに整え、立派な髭を蓄えている。

 そのそばに女性がふたり。

 ひとりは黒髪、もうひとりは淡い金髪だった。


 シャルロッテとアンドリューは頷き合い、近くのテーブルに陣取った。

 ルーベルトとロザリーもついてくる。


「シャルロッテ?」

 ルーベルトの声に頷いてから小さな声でシャルロッテは言った。

「エリザ・ミンツ子爵令嬢はご存じですよね。

 黒髪がカタリナ・ワイズ男爵令嬢で……、今はバイエルンの石炭王の妻カトリーヌ。

 そして、あの男性が……エドワードの本当の父親です」


「!! どういうことだ?!」

「後で、ちゃんと説明しますから、今は、私のすることを見守って下さい。

 これが終われば、私はルーベルトのことをルーと呼べます」


 シャルロッテは強い目でルーベルトを見た。

「わかった。

 無理はしないで。ここで見守る」


 ルーベルトはシャルロッテを抱き寄せると頬にキスした。

読んで下さりありがとうございます。

後3話で完結です。

最後までどうぞよろしくお願いします。

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