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ギルティなギルロッテ様  作者: 月迎 百
ギルティなギルロッテ様
3/34

3 メイドの少女

どうぞよろしくお願いします。

 庭に面したテラスで、伯爵とリアーナ、ルーベルトとエドワードが向かい合って座っている。

 ヒューバート伯爵は挨拶とお互いの紹介だけ済ませると、ルーベルトの父と話があると退席した。


 リアーナはメイドであるが、一応貴族筋の娘であり(父親が子爵家次男)、貴族令嬢としてのマナーも身につけている。

 そのため、貴族令息ふたりと対峙しても堂々としたものだった。


 赤毛というのだろうか、濃い金髪というより銅に近い色味で、オレンジ色のような不思議な輝きのある髪色をして、大きな青い瞳が日差しにきらきらと輝いている。

 歳はシャルロッテと同じ18歳。

 今日はいつものメイド服ではなくシンプルな水色のワンピースを着ている


 エドワードがルーベルトを見ると緊張して無表情になっている。

 エドワードはため息をついて、リアーナに話しかけた。


「なんとお呼びしたらいいだろうか?」

「リアーナでけっこうです。

 ……ミンツ子爵令息様」

「エドでいいよ。

 ならリアーナと呼ばせてもらうよ。

 シャルロッテ嬢の友人として、接するから、どうぞよろしく。

 ……どのようにルーの、いやルーベルトの人となりを知るつもりだい?」


「私と本音でお話をして頂ければ、わかるかと存じます」

 リアーナは微笑んだ。


「ずいぶん自信があるんだね?」

 エドワードは好奇心を隠さずに言った。


「……まあ、お嬢様と一緒に行動してますと、人の行動や隠された意図やそういうものに敏感になりましたから……」


 エドワードはたちまち申し訳なさそうな表情になる。

「すまない、嫌なことを思い出させたか。

 ただ、俺もルーも、君の前では本音で話そうと決めたんだ。

 だから、遠慮せずに何でも聞いてくれ」


 ルーベルトは少し微笑んでエドワードを見ると頷いた。

 そんなふたりの様子を見ているリアーナ。


「それでは、ルーベルト様に質問があります」

「なんだろうか?」

 食い気味に聞き返すルーベルト。


 リアーナはそんな様子を見て笑う。

「緊張されてます?

 私はただのメイドですから!」


 ルーベルトの表情がふっと緩み、頷いた。

「緊張している。

 私は女性と話をするのに慣れていなくて……。

 別に女性嫌いというわけではないのだが……」

「なるほど。

 それで緊張して顔が強張り、無表情になっていたというのが、噂の真相ですか……」

 リアーナが腑に落ちたという表情で頷いた。


「シャルロッテお嬢様のことはご存じですか?」

「ああ、遠目から見かけたことなら、何度か……」

「印象は?」

「ああ、きれいな子だなとは思っていたが……」

「ふむ、恋愛対象的には?」

「!! それは、そんな大それたこと……」

「なるほど……。

 好ましくは思って下さっていたようですね」

「……はい」


 ルーベルトはすっかりリアーナのペースに巻き込まれている。

 エドワードはリアーナの度胸の良さに驚いていた。


 リアーナは次々に質問を重ね、頷き、考え、話を進めていく。

 すっかりルーベルトはリアーナに心を許してしまったようだ。


「こちらばかり情報を開示するのはつまらないな。

 シャルロッテお嬢様のことも教えてくれよ」

 エドワードはつい口を出した。


 リアーナは不審気にエドワードを見てから言った。

「あなたはルーベルト様の親しい御友人ですか?」

「あ、ああ」


「エドワードは私の唯一の親友だ」

 まるでかばうかのようにルーベルトが言う。

「唯一の親友……。

 それでは立場が違えど、私と同じような立ち位置の方だと思ってよいでしょうか?」


 エドワードはリアーナの強い視線にドキッとして答える。

「ああ、そうだと思ってくれるとうれしい」

「わかりました。

 ルーベルト様、私のことはリアとお呼び下さい。

 お嬢様もそう呼びますので」


「と、言うことは、私は合格したのか?」

「はい、まだ薦めるというところまではですけど、噂のような冷酷な方ではないとわかりましたので、お嬢様にお会いしてみたらと伝えます」

「!! ありがとう! リア!」


 リアーナとルーベルトで次に会う約束を決めると、リアーナと伯爵は帰って行った。


 ルーベルトはうれしそうな表情でエドワードに話しかける。

「リア、話しやすくていい人だった。

 彼女のような人がそばにいてくれたら、安心だな」


「そうか?

 俺のこと、何にも言ってなかったぞ?

 まるで空気みたいに扱いやがって。

 結局シャルロッテ嬢のこともよくわかんないし……」

「直接、会って話せということなんだろう」

「……なんかルー、リアーナの方を気に入ったんじゃないんだろうな?」

「そんなことないよ。

 ただ、今まで、あんなにじっくりと自分の話を聞いてくれた女性はいなかったし、話しやすかったし、感動している」

「感動ねぇ……。

 まあ、かわいい子だったな。

 きれいというよりは、かわいいという感じだ」

読んで下さりありがとうございます。

これからもどうぞよろしくお願いします。

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