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ギルティなギルロッテ様  作者: 月迎 百
ギルティなギルロッテ様
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1 噂の令嬢

この前に書いていたのが長ーい連載物だったので短いお話を書きたくなって『ギルティ』という言葉から連想して始めた物語です。

異世界ですが時代背景は英国ヴィクトリア時代をなんとなくイメージしています。

ホームズとポアロの間ぐらいの世界観です。


読み切りでミステリーっぽい短編で紡ぐ構成に憧れ書き始めた物語ですが、3つの短編を書いたところで、短編で続けるの難しいなとなり……、連載でやり直すことにしました。

短編で読んでくれていた方、本当に申し訳ありません……。

短編1話分(約1万字)を6~7話ぐらいに短く載せていく予定です。

どうぞよろしくお願いします。

 ウィリアム・ヒューバート伯爵は愛娘を本当に大切に思っていた。


 娘のシャルロッテを嫁になどやりたくなかったし、婿を取ることも考えたくもなかったが……。

 シャルロッテが18歳になる頃、とうとうシャルロッテに相応しい婿を……と考えるようになった、が、ここに大きな障害が立ちはだかったのだ。


「何でそんな唐変木とお嬢様が婚約しなきゃならないんですかっ?!」

 伯爵に食って掛かったのはシャルロッテの幼馴染でもあり、メイドのリアーナである。


「待て! 話を聞けっ!

 リアだってシャルロッテの噂は知っているだろう!!」


「だから、早く何とかした方がいいと申し上げたじゃないですかっ!

 いい男よけになるって、放っていたのは旦那様でしょ!

 商会の宣伝にもなるからってお嬢様に黒いドレスばかり着せるからっ!!」


 ヒューバート伯爵は愛娘の姿を思い浮かべたようでにっこり微笑んだ。


「シャルロッテは本当に黒いレースや紗の生地の服が良く似合うよな。

 あの淡い金の髪に澄んだ青い瞳、そして肌の白さを引き立てるヒューバート商会のブラックドレス!!

 シャルロッテのおかげで、我が商会のブラックドレスは大変人気があるんだぞ!」


「でも……、本当はシャルロッテ様はもっとかわいらしい服が好きなんですよ!!

 それに本当は素直でかわいらしい女性なのに!!

 知ってますよ私、シャルロッテ様に黒いドレスばかり着せるのは、最初から男性を寄せ付けないための策でもあったんでしょう!!」


 ヒューバート商会は様々な事業を行っているが、中でも服飾、特に染色においてはこの国一番の技術力を持っていると言われている。


 染色の技術は黒に一番よく表れる。


 ヒューバート商会の黒は褪せず、変な反射もせず、光を柔らかく吸収するようなこっくりとしした深い色味をしている。

 漆黒とでもいうのか、ムラの無いその黒は本当に美しく、上品ですらある。

 シャルロッテ・ヒューバート伯爵令嬢はそんなブラックドレスをいつも身に纏っていたのだ。


 その美しさからまだ嫁にも行っていないのに『ブラックウィドー』(黒い未亡人)とあだ名をつけられている。


 そしてもうひとつ彼女には不気味なふたつ名があった。

『ギルティなギルロッテ様』


 誰が言い出したかわからないが、彼女に恋してしまった男性が自ら命を絶ったとか、彼女に婚約者を取られた令嬢が心を病んだとか……。

 いつも喪服のような黒いブラックドレスを着ているせいもあり、犠牲者の喪に服しているだとか、その呪いがかかっているとかなんとか……。


 シャルロッテ自身もそんな噂や不気味なあだ名を付けられていることは気がついているが、自分自身そんなことは全くないことをわかっているので、商会の最新デザインで一番美しい黒のブラックドレスを着続けている。


 リアーナは他の令嬢や令息から距離を取られてしまっているシャルロッテを心配して、伯爵に相談していたが、その度に「それはいい男避けだ!」「シャルロッテには黒が似合うし、我が商会の黒は誇るべき技術と上品さがある素晴らしいもの」とかなんとか、言われ続け……。


 それでやっと婚約まで漕ぎつけられそうな話が……。


「何でよりによって、『母の胎内に感情を忘れてきた男』と噂になっているくらい無表情で有名なルーベルト・カッシーナ公爵令息が婚約相手……何ですかっ?!」


「いや、なかなかいい話だよ。

 ルーベルトは宰相の次男で、容姿もなかなか整っているし、頭もいい。

 確かに黒髪に黒い瞳、メガネをかけた長身で姿もいい。

 まあ、世間では『冷酷メガネ』とか、そんな風に言われているが……。

 ほら、どことなく、そうじゃないのに、世間に誤解されてるところがシャルロッテと似ているじゃないか?」


「私は公爵令息の噂が嘘か真実かは知りませんので……。

 で、もう23歳になるのに今まで婚約のこの字すら聞かれなかったのに、どうして、急に……」


「とりあえず、カッシーナ公爵と私で、噂のせいで縁遠いふたりを会わせてみようと決めたことなんだ。

 何とか一度会うだけでも! リアーナ、頼むよ。

 シャルロッテに話をしてみてくれないか?」

「何で私が?!」

 リアーナは驚いて叫んだ。


「シャルロッテはリアの言うことは素直に聞くからな」

「……自分で薦められない人に会ってみろということは私にはできません!!」


「わかった……、じゃあ、リア、君がルーベルトにまず会ってみてくれないか?」

「な……、どういうことですか?!」

読んで下さりありがとうございます。

短編と連載の間でバタバタしてしまい、申し訳ありません。

これからもどうぞよろしくお願いします。

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