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鮮血のダンジョンマスター──彼が史上最悪の魔王と号されるに至るまで──  作者: 想いの力のその先へ


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愛おしさ

「……あたくしに諸部族連合、かつてのダンジョンへ赴け、と?」


 俺の言葉に、ビックリしたような信じられないものを見る顔を向けてくるジャネット。


「……あぁ、そうだ」

「ちょっ、本気ですの?」


 まぁ、彼女の驚きも分からなくもない。おおよその理由も予測できている。


「あたくし、あそこのダンジョンマスターだったんですのよ? そのまま返り咲いて離反、なんて――」

「……するのか?」

「いえ、あのぅ……」


 困惑した様子のジャネット。そもそも、そんな指摘をするやつが離反などするものかよ。だからこそ、俺はあえてジャネットに任を与えようしているんだ。

 それよりも、ジャネットにはこちらの方が問題な気もするが――。


「それに、なにもお前ひとりを行かせる訳じゃない」

「……共をつける、と?」

「あぁ、ルードを知ってるだろう」

「あの、ホブゴブリンの?」

「あれの第二夫人、セラをつける。あれは元々、外交。交渉の仕事を任せていた。諸部族連合にも顔が利く。なにより、お前とも少なからず縁がある」

「……縁がある? 知りませんわよ、そんな人間」


 当惑している。当然だ、ジャネットがこちらの世界にいたのは五百年も前。本来なら縁なんてある筈もない。


「……ルーシー・セント・クレア、という名に聞き覚えは?」


 名前を聞いた途端、苦り切った顔になる。それもまた当然、なにせその名は――。


「えぇ、えぇ。よぉく覚えています。あの小娘、アンネローゼの側近のひとり、でしたわね」

「そうだな、その通り。そしてセラの名はセラ・セント・クレア。セント・クレアの末裔かつ、ルーシー・セント・クレアの直系の子孫だ。この事はアンネローゼの子孫であるリーゼロッテからも確認が取れている」

「…………………………うそでしょ」


 先ほどとは別の意味で、信じられないといった顔になって呟く。こんな近場に宿敵の、しかも直系の子孫が集まっているなど考えたこともなかっただろう。その事は彼女の長い沈黙、そして掠れた声色からも容易に見て取れた。

 まぁ、それも仕方ない。彼女からしてみれば油断していたところに特大の爆弾を投げ込まれたに等しい。それで冷静にいろ、というもの酷な話だ。

 ま、酷な話だろうがなんだろうが、今後の布石のため行動をともにしてもらう必要があるが。


「…………っ、確かに縁があるようですわね。ですが主さま。あたくしにそれを伝えて、なおかつその者と行動をともにしろ、と?」

「そうだ、これは命令だ。ダンジョンマスターとしてのな」


 ぎりぃ、と歯軋りの音が響く。顔は苦々しげに歪んでいる。子孫とはいえ、かつての宿敵と行動を共にしろ、と言ってるんだ。ある程度不満が出るのは分かっていた。

 そして分かっていれば、宥める手段の一つや二つ用意するとも。

 俺は席を立つとジャネットの側へ寄る。突然の行動にジャネットは訝しんでいる。……この後の行動。もし、ナオが見ていたら確実に止めていただろうな。

 耳許で、それこそそのままキスできてしまいそうな距離で囁きかける。


「むろん、その事で不満を持つのも理解している。だから、ちゃんと褒美も用意しよう」

「は、ぁ――…………っ。ほう、び……?」


 なるべく、甘ったるい声で囁きつつ頬を優しくなでる。それだけで悦楽を感じたのか、瞳の奥をとろん、と蕩けさせ、頬を薄桃色へ上気させる。

 本人はバレてないつもりなんだろう。しかし、撫でている頬から体温が上がっているのはバレバレだし、抑えようとしているようだが、抑えきれず身体がぴくぴく、と震えている。本当に可愛らしいものだ。

 しかし、この程度で終わらせるつもりはないぞ?

 俺は服を肌蹴させ、首筋をこれ見よがしに露出する。


「……………………ぁ」


 無音、いや、しゅるっ、とジャネットが身動ぎした際の布切れの音が響いた部屋の中、ごくり。と唾を呑み込む音が大きく響き渡った。

 本人は唾を呑み込んだことにすら気付いてないだろう。じっ、と肌蹴た首筋を見つめている。視線に熱量があれば、そのままボッ、と発火してしまいそうだ。それくらい一心に見つめていた。


「俺の血がお望みか? ……それとも――」

「ひっ――。は、ぁ……」


 ジャネットの下腹部、ちょうど子宮があるであろう部分をいやらしさを感じさせないよう、しかしねっとりと擦る。

 彼女からしたら、急な刺激に腰が引けている。ただ、気持ちが良いのも確かなようで、刺激から逃れたい理性と、もっとしてほしい本能がせめぎあい、結果としてかくかく、と腰が前後へ動いている。

 だいぶん、追い詰められているのだろう。股を擦り合わせ、何かに耐えようとしている。だが、堪えきれないようで、よくよく見るとつぅ、と透明な液体が太ももから垂れている。

 俺はそれに気付かないふりをしながら、最後のトドメ――。


「――こちらがお望みか?」

「ひ、ぁ…………!」


 トントン、と軽く下腹部を叩く。それで限界だったのか膝から崩れ落ちる。

 むろん、それを予測していた俺はジャネットの脇から背中へ腕を回して支える。まぁ、そんなことをすればジャネットの豊かな双丘が胸板へ押し付けられることになってしまい、ぎゅむ、と柔らかい感触を伝えることとなる。

 ジャネットからすれば泣きっ面に蜂かもしれないが、犬に噛まれたとでも思って諦めてもらおう。

 俺に支えられたジャネットは、のろのろとした動きでこちらを見上げてくる。目には涙が溜まり、口許からあふれたよだれがつぅ、と一筋垂れている。


「……きちんと、責任。取ってもらいます、わよ……!」


 彼女の強がりを聞いて、口角がつり上がるのを感じた。きっと、いまの俺は嗜虐的な笑みを浮かべていることだろう。


「……責任、か。どのように責任を取ってもらいたい?」

「………………ばか」


 ぷい、と顔をそらすジャネット。彼女の可愛らしい仕草に、いつの間にか愛おしさを感じていた。

 こういうのも悪くない。そう、素直に思えたのは久し振りだった。

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