声色と、甘々
このお話はフィクションです
マッチングする時点で、他の女の子から一般の5倍くらいいいねされているイケメン。
仕事は営業らしい。自分の魅力に気づいているとしか思えない。年収もそれなり。
プロフィールの写真からしてリア充臭しかしない。かっこいいのに、どこかふにゃんとした仕草に世の中女子たちはメロメロ、とみた。
この感じは知っているぞ。リアリティショーで赤いバラを渡していくやつだ!
多くの魅力的な女性の中から最後の1人まで残れるのか。ほぅ、やってやろうじゃないか。
すぐに返事が来た。
しかも嫌じゃない感じのタメ語。うまい。
プロフィールには書いていなかったが、好きなアニメは約束がネバーするやつらしい。
リア充もアニメは見る。さすがニッポンの文化。
その日のうちに電話をすることになった。展開が早い。
バラを渡す方は多くの女性も見定めなければならない。1人の嫁候補に使える時間は限られているのか。
電話をすると、写真通りの甘々ボイス。
普通に緊張して、コミュ障特有の無意味な笑いをしてしまう。
そして5分後、彼に予定があるとのことで電話は終わった。
心の中でチリンチリンと坂の東さんのベルが聞こえる…
女の子たちとお別れの抱擁をすることなく、呆気なくこのショーは終わった。
スピードが早すぎて悲しむ間もなかった。
彼に真実の愛が見つかるのを願って、海の藻屑箱へ。