はにカミまーく
このお話はフィクションです
マッチングアプリを始めて1週間が経った。
そこから何人かの人とやりとりをしていたが、今でも強く印象に残っている人がいる。
初めてきちんとチャットのやり取りをした人で、30代半ばのエンジニア。
はにかむ笑顔の写真がチャーミングで年上なのに可愛く思えてしまう。
好きなアニメは麦わらのやつ。王道すぎて何も言えない。
ちなみに年収は1000万円越えだ。
最初からこんなにハイスペックな人とマッチングするなど夢にも思わず、詐欺に遭うのではないかと疑いを隠せない。
アプリで結婚した友達に相手のプロフィールを見てもらい、大丈夫そうとのお墨付きをもらう。ちょっと安心。
やり取りの中で、年齢的にも子供が欲しいので真剣に結婚相手を探していることがよくわかった。
将来を見据えた真剣な話もできるし、日常会話も普通に楽しい。
ただ、絵文字は30代半ばを匂わすチョイス。
ええではないか。ええではないか。
1週間ほど、ほどよい距離感のチャットを続け、ついにビデオ電話をすることになった。
ドキドキしながらビデオをつけると、あのはにかんだ顔が動いている!
オンラインだから当然のことだけど、画面越しに本物の彼がいて感動した。3次元だった。
あっという間に1時間くらい話して、またお話ししようとのお返事をもらう。
これは、ついに最初のマッチングで運命の人に出会えたのでは!!?3話目にして、最終話の予感!(2度目)
しかし、現実は厳しいたけ。
数日後に彼から長文のチャットが届いた。
なんと、他の女の子とお付き合いをすることになったらしい。
かなり気持ちも高まっていただけに、結構ショックだった。
でも、最後まで丁寧にお返事を書いてくれて本当に良い人だったなと思った。
嗚呼、これがマッチングアプリ。
恋愛はタイミング。
さよなら1000万。
心の底から彼の幸福を願って、海の藻屑箱へ送った。