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伊達政宗、信長救出は伊達じゃない その陸

 仁和は頭の回転が早い。尋常(じんじょう)ではないほどに早かった。そのお陰で、俺が何をしなくても話しが進んでいった。

 絶縁体のもので俺が自分の体を覆ってヘルリャフカに近づく。そこで天候(てんこう)を操って雷を落とし、ヘルリャフカにだけダメージを与える。こんな作戦はぶっちゃけ()けだ。失敗したら俺は死ぬかもしれないのだ。それでも、そういうことをしないとヘルリャフカを倒せないのは事実。

「賭けに出る前に、他にもヘルリャフカにダメージを与えたいんだがどうすればいい?」

「政宗殿の言っていた通り、金属攻略が必須ですね」仁和は金属片を持ってきた。「政宗殿のお力があれば、金属片ならば破壊することが出来るでしょう」

「いやいやいや、出来ない!」

「ご冗談を」

 仁和の顔は大真面目だ。ここで金属片を破壊出来なかったら、仲間からの信頼が落ちてしまう。それだけは避けたい。だが、金属片を容易(たやす)く破壊することは非常に難しい。頑張ってみても出来るかどうか......。

 どうやったら金属片を破壊出来る!? 俺は咄嗟(とっさ)に右手の拳を握って金属片を叩いた。すると、大きい音とともに金属片は潰れた。何で?

 俺が右手で金属片を潰したところを見ていた家臣どもは歓声(かんせい)を上げた。

 俺は仁和に顔を向ける。「仁和、これが狙いか?」

「はい。政宗殿の家臣からの信頼は上がりました」

 どうやら、仁和は気を利かせてもろい金属片を持ってきたようだ。やはり、トップには向いた人材だったか。

 それからも仁和との話し合いは続き、ある程度の攻撃方法は決定した。これからはその攻撃方法の練習に移る。

「よしっ!」

 まず、仁和に言われた通りに神力を使って水を生成して、二時間から三時間の間に少しずつ温度を下げていく。その過程を省くために、倍速にさせる。少しずつ温度を下げて三時間(ぶん)経過した水を、前方に発射する。ここまでに3秒程度を要した。しかも、神様への申請の項目は五個か六個もある。

 さて。俺の目の前に発射された水は、空中で氷となった。仁和いわく、少しずつ水の温度を下げることによって過冷却(かれいきゃく)(すい)というものになるらしい。水が凍る0度を下回っても凍らない状態のことで、衝撃を受けると凍り始めるのだそうだ。

「おお! 仁和の言った通り、ヘルリャフカの(あし)()めくらいなら使えるな!」

「ええ、少しは役に立つことでしょう」

「いやぁ、仁和はすごいな! 未来人衆を統率する力を感じるな」

「ありがたき幸せ。......他にも、いろいろと作戦などを準備していますが」

「良いね。次いってみよー!」

 仁和の次のアイディアは『ヘルリャフカの金属攻略』に至る。どうすればいいのか尋ねると、簡単ですよ、と返事が来た。

「金属攻略が簡単なわけはないだろ?」

「いえ、400年後の未来には科学というものが存在しています」科学があることは知っているが、転生者とは言えまい。「科学については後ほど説明するとして、その科学を利用すれば金属など余裕で攻略出来ますよ」

「ふむ。どうやるのだ?」

「『王水(おうすい)』はご存知ですか?」

 まずいな。一応、前世は未来人なんだが......。知らない名前が出てきた。王水? 知るか。

「何だ、王水とは?」

「科学薬品というものです。この王水を使えば金属攻略は可能になります」

「その『王水』とやらの性質は?」

「各種金属を溶かします」

 なるほど、そういうことか。ヘルリャフカを守る金属さえ溶かせれば、心臓部を攻撃し放題だ。逆に、俺が何で思いつかなかったのか不思議でならない。

 だが待てよ、溶かすと言ったら誰もが想像するのは『硫酸(りゅうさん)』だ。王水じゃなくて、硫酸でも良いんじゃないか?

 でも、転生者とバレるからそれを聞くことは出来ない。どうしようか......。困ったら、まずは小十郎だな。

「仁和。俺は席を外すが、すぐに戻ってくる」

「承知しました、政宗殿」

「うむ」

 金属攻略に闘魂(とうこん)燃やす家臣団の中から小十郎を見つけ出して、誰もいない場所まで連れてきた。

「神辺。話しがある」

「うん。それはわかるんだけど、無理矢理引っ張るのはやめてくれ」

「おっと、すまん。つい、急いでしまった」

「で、僕に話しって?」

「仁和が科学薬品についての話しを持ち出してきたんだけど、神辺ってくわしい?」

 小十郎はものすごい勢いで、何回も首を横に振っていた。「いやいやいや! 僕が知るわけないじゃん!」

「だよなぁ」

「何? 仁和はなんて言ったんだ?」

 俺は、仁和が言ったことを()()まんで伝えた。

「くわしくは知らないけど、確かに金属溶かすなら硫酸しか考えられないな......」

「俺達、馬鹿だしな」

「そうなんだよ」

 その後、二人で話した結果は、景頼なら何かわかるんじゃないか、というものだ。早速、景頼を呼び出した。

 景頼は焦ったように走ってきた。

「どうしました、若様?」

「科学は得意か?」

「科学、でしょうか? まあ、ぼちぼちです......。ある程度なら出来るとは思います」

「さすが景頼だ!」

 その後、景頼から説明を受けた俺は、仁和の元へ戻った。

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