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伊達政宗、妻を助けるのは伊達じゃない その参

 目が覚める。かなり混乱している。誰かが話しかけてきた。

「僕は真壁。わかるかな?」

「......」

 思うように口が動かないから、俺はうなずいた。

「君は能力者だったか。噂の独眼竜だね。鏡を見たかい?」

 真壁は鏡を持ってきた。眉から右目のまぶたを通り右側の頬に気持ちが悪い線があった。ちょうど失明している方だ。

「竜は雷を操る。そして、君の右目に竜が宿ったようだ。顔の線は竜だ」

 あとで確かめたら、雷が人体を通った跡であるリヒテンベルク図形というものらしい。が、他者はそれを竜だと言う。独眼竜という名前が先歩きをし、あとから竜が宿った。舐めてんのか、ゴラァ!

 真壁は愛姫に能力を試したが、治らなかった。それも当然だと思うが、俺以外は真壁が能力を持っていると信じている。

 急な展開で理解が難しいが、俺は独眼竜・伊達政宗として認められ、神の使者としてある程度は神力を酷使出来た。アーティネスいわく、この神力は人を傷つけることには使えないらしい。

 俺はその力を使い、薬を簡単に作れることが出来ると知った。これなら愛姫を助けることも可能だ。早速特効薬を作るために力を尽くした。

 まず、最初に未知の植物が何か、ということを考えた。すぐに答えは出た。特効薬の素になるのかもしれない。未知の植物を混ぜて特効薬を生成し、愛姫の体内に入れた。これといって効果は見られなかった。

「何でだ?」

 右目に手を添えながら、未知の植物の使い道か何なのか推理を進める。しかし、推理が行き詰まる。では、その未知の植物を発酵させてから薬を作ってみよう、ということになった。発酵させるとしても、どのように発酵させるかは重要だ。基本は麹菌だろうが、携帯していた植物が発酵していないことからも、簡単に発酵させることが出来るということだ。なら、唾液だな。

 ふざけてはいない。口噛み酒、という酒がある。唾液によって発酵させる酒で、唾液を使って未知の植物を発酵させてみることにしてみた。

 数日後、発酵させた植物を神力で薬にして愛姫に夜中にこっそりと服用させる。また数日の間は経過を確認したが、症状は改善しない。なら、この植物はなぜ小瓶に入っていたんだ!?

「ふぅ」

 ため息をもらすと、どっと疲れがこみ上げてきた。あくびをして、頭を掻く。片手間に病などについて書かれた本を読んでいき、愛姫の症状にピッタリと当てはまるものを見つけた。


『妊娠』


 である。食欲不振はつわりだ。それに、吐き気などの愛姫の症状も納得がいく。食べ物を持っていった時に倒れたのも、つわりと言えるだろう。問題はその後だ。

 愛姫が五郎八(いろは)(ひめ)を生むのは1594年だったはずだ。いくらなんでも、妊娠は早すぎる。今は1581年だぞ。だとすると......不倫。それなら、愛姫が俺への態度が変わったのも説明がいく。

 俺は日本刀を手に取り、誰と不倫をしたのか考えた。小十郎はたしか、愛姫がつわりで倒れた時に食膳を片付けるように俺に言った。小十郎は、つわりだと知っていたのか。あいつか。あいつが愛姫と......!

「くそがああぁぁ────!」

 日本刀を握って、部屋を飛び出した。小十郎を探すために、いつもよくいる場所を回ったが奴は見つからない。日本刀を(さや)から抜き、鞘を放り投げる。日本刀を両手で持ち、小十郎の部屋に押し入った。そこにも小十郎の姿はないから、畳やら壁やらを日本刀でズタズタに突き刺していった。

「若様!」

 成実が現れた。この忙しい時に、成実が邪魔をしてきやがった。

「退け、成実!」

「小十郎殿を探しておられるのですか!?」

「あぁ?」

「小十郎殿は若様に何をしたのでしょう?」

「退け!」

「若様、一度落ち着いてください。憤怒は立派な大罪の一つです! ()骨頂(こっちょう)でございます!」

「知るかぁ! 小十郎はどこだ!」

「若様!」

 成実と話しても時間の無駄だ。俺は成実に日本刀の先を向け、心臓に目掛けて走り出す。成実は、さすがは武士だ。うまく俺の日本刀を避け、体制を整えた。

「若様はそのようなことをするお方ではありません! 気を確かにしてください!」

「邪魔だぁ!!」

 成実を強制的に追い越し、小十郎を探し回った。奴は危険を察知して隠れているのか、なかなか姿を見ることは出来ない。段々怒りが最高潮に達し、日本刀を関係のない者にまで向け始めた。それを知った成実は、景頼を連れて俺の元に戻ってきた。

 俺の荒れ狂う姿を見た景頼は、声を荒げた。「何をなさっているのですか、若様! 暴れるなどと、それでも一介の次期当主ですか!?」

「貴様、よく俺に指図(さしず)出来たもんだな!」

 俺は景頼から一歩後退し、身をかがめた。一時は日本刀を放り投げて捨てようとしたが、景頼のいる奥に小十郎の姿があった。俺は好機とみて、景頼を倒し、小十郎に近づいた。

「小十郎! 何も言わなくても、罪状ぐらいは理解しておるな?」

「な、なんのことでしょう!?」

 急に剣先を向けられた小十郎は、汗を大量に流した。

「とぼけるな!!」

 小十郎を本気で殺そうとした時、俺の(おこな)いを止めた者が一人いた。そいつは、愛姫だった。

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