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伊達政宗、隻眼の覇者は伊達じゃない その拾壱

 江渡弥平の討伐に向かう前、俺は助っ人としてとある人物を呼び出した。自称・能力者である真壁河親だ。

「師匠に呼ばれてやって参りましたっ!」

「師匠とは呼ぶな!」

 この真壁はどういうわけか、舎弟(しゃてい)とは認めてもいないのに師匠と呼んで来やがる。

 なぜ対江渡弥平戦にこいつを呼んだのかと言うと、目には目を歯には歯を、である。魔術師(ペテン師)には能力者(ペテン師)を、というわけだ。

「師匠、呼んでくださりありがとうございます。対江渡弥平戦と伺っておりますので、お役に立てるよう頑張る所存です」

「おい真壁。お前のペテン師としての能力はどれくらい向上したんだ?」

「ペテン師って......人聞きが悪いじゃないですか、師匠」

「お前は元からペテン師だろーがっ!」

「ええと、先輩からある程度学びまして、時間に関係なく雨乞いをして雨が降るようになりました」

「雨乞いか。どんな仕掛けで降らしているんだ?」

「高所で焚き火をすることによって天にいるという神々に刺激を与え、無理矢理にでも雨を降らせるという仕掛けです」

「古い雨乞いの方法だな。科学的にもその方法で雨は降るから、まあ仕掛けとしては十分ではあるが」

 この男、あれだけ時間がありながらペテン師としての能力があまり成長していない。これならば、江渡弥平側にいると思われる魔術師に敵うか否か怪しいぞ。

「真壁殿!」すると仁和が、深く考えながら真壁に話し掛けた。「あなたは能力者として仕事をしているのであれば、陰陽師(おんみょうじ)に会ったことがあるのではないですか?」

 陰陽師、というと安倍晴明みたいな奴を想像しちまう。真壁はペテン師だとしても自称は能力者だから、陰陽師とも何度か顔を合わせたことはあるはずだな。

「陰陽師、ですか? 彼らのことはあまり好きではないのですが......」

「もしかすると、敵方にいる魔術師というのは陰陽師なのかもしれません」

「陰陽師とは何度か会ったことがあります。ただ、奴らにはそこまでの力はありませんよ。師匠には及びません」

「では現在、陰陽師最強と言われている人はいますか?」

「最強の陰陽師は知りませんが、師匠でも注意すべき陰陽師が二人います。一人はずる賢い計略家である(くろがね)凌牙(りょうが)。もう一人は単純な戦闘力では右に出る者がいない御影(みかげ)(かなめ)。今回敵方だという魔術師がもし、二人のうちどちらかだった場合は逃げることを優先してください。彼らは危険です」

「鐵凌牙、御影要......ですね。覚えました。ついでに二人の容姿はわかりますか?」

「鐵の方は中性的な顔に弱々しい体付き、だけど目はやけに鋭い。髪の色は黒で短髪、額に十字の傷があります。御影は長身に加えて骨太、筋肉もモリモリです。不自然に隆起した胸板が特徴かな。常に無表情で、髪の色は薄い白。肩に掛かるほどの長髪だよ」

「容姿も覚えました。もし二人のうち片方でも敵方にいたならば、すぐに退却命令を下しましょう」

「話しが早くて助かります。御影はともかく、鐵に標的にされたら死ぬまで解放はされないでしょうから」

「ではその二人の容姿に合致する人物を見つけ次第、私や政宗殿に報告をするように配下全員に伝えておきましょう」

「ありがとうございます」

「いえ」

 鐵凌牙に御影要、だとっ!? くそカッコイイ名前じゃねーかっ! うらやましいっ! ちくしょう、俺の両親は横久なんてダサい名前を付けやがって......。

 特に鐵凌牙! 上の名前も下の名前もカッコイイとか、チートでしかねぇ。親のネーミングセンスに加えて、一族の名にまで(めぐ)まれるとは()せん。もし会ったら絶対に倒してやる。

「よっしゃ、つまり鐵と御影をボコれば良いんだな!?」

「ちょ、師匠! 何を血迷っているのですか!?」

「政宗殿、少し落ち着いてくださいませ。何があるのか知りませんが、真壁殿がせっかく忠告してくれなのを無駄にはしないでください!」

「あ、ああ。そうだったな。二人の名前があまりにも強そうでカッコイイから、ついムカついたんだ」

「何ですか、そんなくだらない理由ですか」

「何だとはなんだ、仁和!? お前だってカッコイイ名前じゃねぇーか! カッコイイ名前の奴はダサい名前の奴の心情をわかるはずがない!」

「ええそうですよ! 私はカッコイイ名前ですから、政宗殿の気持ちはまっっっっったくわかりません!」

 仁和寺の仁和に夕凪の凪で仁和凪。女のくせにカッコイイ名前だ。俺も改名出来るならしたいのだが、伊達政宗に転生してしまったからには、政宗を改名することは出来ん。歴史を変えてしまうからな。

 転生を選んで良かったのだろうか。今でもその疑問は残るが、今ここにいる奴らと会えたのは転生したお陰だ。名前には恵まれなかったが仲間には恵まれたということで、転生の件は許してやるとするか。


「何が『許してやるとするか』ですか。私の計画を無茶苦茶にしておいて、君が私を許したとしても私は君を許さない。名坂横久ぁ!」

 伊達政宗及びアマテラスが自分の好きなように計画を進めているが、それは彼らだけに限ったことではない。彼女もまた、自分の計画を進行させていたのだ。

 彼女の名はアーティネス。人柱にしてアマテラスの娘、名坂横久を伊達政宗に転生させた張本人である。

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