表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
107/246

伊達政宗、輝宗を殺すのは伊達じゃない その肆

 ホームズとの戦いを終えて刀を回収すると、仁和がやって来た。

「ん、どうした仁和」

「作戦が出来ましたので、これから会議などをしようと」

 もう作戦が出来たのか。早いもんだ。

「なあ、仁和。輝宗を殺さなくても良いんじゃないか?」

「覚悟を決めたのではないんですか?」

「ああ。師匠が何とかしてでも助けてくれるかもしれないんだ。その可能性、あると思うが」

「異世界のシャーロック・ホームズという、彼ですか?」

「そうだ」

「まあ、その可能性も捨てきれなくはないです。しかし、すでに作戦が出来ましたので、一応当初の予定通りに進めてみませんか?」

 このまま輝宗を殺さない方法を考えているより、動いていた方が幾分(いくぶん)はマシか。

「一理ある。早速会議を始めよう」

「了解しました」

 今回はホームズにも会議に出席してもらった。こうして、俺、小十郎、景頼、愛姫、仁和、ホームズの六人が集結した。

 仁和は書類などを眺めながら、司会進行をする。「まずは私の作戦などを発表いたしましょう」

 おそらく仁和の作戦は、歴史通りのことをするのだと思う。俺のその読みは的中し、仁和は史実と同じことを話していった。やはり最後は、俺が輝宗を殺すこととなる。


 翌日、当主に俺が就任してすぐのことだ。俺の家督相続を祝うために、小浜(おばま)城の城主である大内(おおうち)定綱(さだつな)が俺の元にやって来た。

 定綱は伊達氏の宿敵の蘆名(あしな)氏・佐竹(さたけ)氏陣営に属していた。が、こちらに寝返ってきたのだ。

「このたびは伊達家の家督相続、おめでとうございます」

「うむ」

「これからは伊達家のために尽力いたします。つきましては、米沢城下に屋敷を(たまわ)りたい次第です」

「なるほど。定綱殿の言っていることはわかった。米沢城下の屋敷を貴殿に差し上げよう」

「ありがたき幸せ。今夜はわたくしが家督相続祝いに酒などを振る舞います」

「毒は盛っていないだろうな?」

「はい。盛ってなどいません」

「ハッハッハッ! 面白い。ぜひ、貴殿の酒を飲んでみようではないか!」

「はっ! すぐにでも持ってきましょう」

 定綱は終始笑顔だった。よほど俺の機嫌を取りたいようだ。これも史実通りか。

 俺は定綱が寄越してきた酒を本人に飲ませ、それから俺も一口いただいた。

「うまいな」

「でしょう? この酒はなかなか手に入らないものでございまして、今回は特別に取り寄せたのです」

「やるではないか」

「ええ、もちろんです」

 この会話はいつまで続くのかとため息をもらすと定綱はすかさず、体調が(すぐ)れないのですか、と尋ねてきた。

「そんなんじゃない。最近は疲れているからな」

「さようで......。ゆっくり疲れを取ってください」

「わかっておる」

 定綱はその後、かなり頑張った。俺が当主になったことを、全力で祝った。ここまでされるとありがた迷惑だ。だが、我慢しかない。今はこの苦痛に耐えなくては。

 史実だと、政宗は定綱を待遇(たいぐう)したんだよな。そこはしっかりやらないといけないから、俺もこいつをもてなすとするか。

「定綱殿。食事を振る舞いたい」

「構いません」

 俺は定綱の食べ物を用意させ、持ってこさせた。その食べ物を俺が一口ずつ手をつけ、それから定綱は食べ始めた。

「美味しいですね。なかなか歯ごたえがあるのに、味がしっかりしています」

「そうだろうそうだろう。ここの料理人が、定綱殿のために腕に()りを掛けていたんだ」

「それは嬉しいですな」

「頑張らんでもうまいもんが、頑張ってよりうまくなった。最高以外のなにものでもないだろう」

「その通りです」

 こうして満足した定綱は帰って行った。俺は奴に渡す屋敷の用意を始めた。

「仁和! 定綱にあげる屋敷はどこにするのがいい?」

「ここでは?」

「なら、ここにしよう」

 米沢城下に、定綱にあげるための新たな屋敷の建設が開始された。俺は建設に関わらないから遠目で見るだけだが、随分大変そうだ。重機もないから、本当にこの時代の建設は至難だな。人力だし、やらされる方もたまったもんじゃない。

 珍しく煙草を再び吸ってみたくなり、景頼のいる場所に向かった。景頼は二十一世紀の煙草を数万箱も持ち込んでいるのだ。蔵書は燃え去ったが、煙草は無事だったとうれし涙を流していた記憶がある。

「景頼。煙草を貸してくれ」

「煙草ですね? 私と同じく、七つ星で良いですか?」

「七つ星で大丈夫だ」

 久々の七つ星だ。前世で愛用した煙草が、こんな形でまた吸える時がくるとは思わなかった。

 景頼から煙草を受け取り、着火させてから口にくわえた。すると、廊下を駆ける足音がした。一瞬ビビったが、それが仁和だとわかるとホッと胸を撫で下ろした。

「何か用か? 屋敷は完成したのか? いや、まだ早いか」

「屋敷はもうじき完成するでしょう。間近です」

「それは良かった。仁和も一本どうだ?」

「結構です。......それより、重要な報告があります」

 仁和は呼吸を整えてから、閉じていた目を開いて俺を見た。「政宗殿に寝返ったと思われていた定綱殿が、再度寝返った模様。現在定綱殿は、また蘆名氏・佐竹氏陣営にいます」

 俺は煙草を手に持った。

 昨日、本作が300ptを超えました! ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ