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不注意で、生まれ変わりました。  作者: 水無月ツクナ
第三章 旅立つ者たち。
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3-5 シンと盗賊。ルイス



 ギルド内はユーリと『ブロンドの盾』のメンバー、いつの間にか来ていたカイの奥さんが生後8か月の赤ちゃんを連れてやって来た。

 ユーリはカイの奥さんに一度抱かせて貰い、そしてそのままカイが自分の家に戻る。

 ユーリは食事をリュウと済ませ、二階の借りた部屋で早々に寝る準備をし始めた。


「まぁ、いくら旅慣れて居ようとまだ子供だもんな。」


「ユーリちゃんには、あんたたちの酒の相手なんかさせられないわ。」


 ルイスと受付のお姉さんがそう話すと、ギルドの職員と『ブロンドの盾』のメンバーは寂しそうにしたり、笑ったりして夜は更けて行った。




 一方、シンはというと…。

 ユーリたちが盗賊と遭遇した夜、遭遇地点に立っていた。

 シンは、血痕を見つけるとすぐに、警戒をしながら街道沿いにある森を見つめた。


「荷馬車が盗賊にでも襲われたのか?

 いくつか、血痕が森の中に続いているな…。」


 シンは音を立てないように森の中を進む。

 少し森を進んだ所に少しだけ開けた場所に焚火を中心に五人の男が座っていた。

 一番奥に座っている男は片腕を怪我しており、もう二人ほど足や体に布を巻いている。

 五人が何やら会話しているようで、シンは警戒しつつギリギリ会話が聞こえる範囲まで近づき、耳を傾けた。


「あの荷馬車を……。」


「……途中から……少女と白い狼が……。」


 シンは途切れ途切れであるが盗賊たちの会話を聞こえた。


(どうやら、荷馬車を取り逃がしたらしいな。

 原因となる乱入者は少女と白い狼……。ユーリさんとリュウに似ている…。

 彼女たちもこちらの方向に進んでいるらしいし…。可能性は高いな…。

 だが、こいつらをこのまま野放しには出来ない。……捕まえるか。)


 シンは決意を固め、近くに落ちている枝をわざと踏んだ。

 盗賊たちはその音に反応し、全員が立ち上がり周囲を警戒し始めた。


 シンは盗賊たちがいる場所から目視では見えない木々の中を走り抜ける。

 そして、一人ずつ素早く急所に一発食らわせ気絶させ、また木々の中に戻る。

 そして、最後にリーダーであると思われた男の背後に音もなく近付くと、首に手刀を入れて気絶させた。

 シンは手際よく盗賊たちの手足を縛り、先ほど周囲を回っていた時に見つけた枝や葉っぱに隠された荷車を見つけていたのでそれに盗賊たちを詰め込んだ。


 シンは盗賊たちを乗せた荷車をひきながら無言で町に向かう。

 一度、盗賊たちが荷車の激しい振動で目を覚まし騒いでいたので、シンは立ち止まり腰に掛けていた剣を彼らが見える位置で黙って鞘から抜いた。

 彼らは怯えた表情や、中には失禁をする者もいたが大人しく荷台で運ばれたのだった。

 シンは、早歩きにしては早すぎる速さで進み、夜が明ける頃には町に着いた。


 町の門番をしている衛兵たちは、何やら物凄い音と共に森の方向から砂埃が向かってきている。

 それを見つけた衛兵は、もう一人の門番をしている衛兵に声を掛けると、すぐに他の衛兵や隊長を呼びに向かう。


 隊長を含む衛兵五人は、それぞれ門の前や上で緊張したまま土埃が次第と小さくなっていくのを見つめていた。

 門の上にいる隊長は望遠鏡で土埃の正体を確認すると、一人の若い男が荷車をひいている。

 若い男は町に近付くに連れ、速度を落としているようで音と土埃が消えなくなり、門の前に着くと立ち止まり、荷車は置いて一人で門へ近付いてくる。

 衛兵たちは剣に手をかけたり、槍を構えて若い男を警戒する。


「おい。そこで止まれ。

 貴様、何者だ。この町に何用か?」


 門の上にいた隊長らしき男は門の下に飛び降りると、槍よりも一歩前に出て、近付いてきた男に声を掛ける。

 声を掛けられた若い男は黙って、自分の懐から身分証である冒険者カードと革で出来たケースを取り出す。

 皮のケースから一通の手紙を出し、そのまま隊長の前へ差し出す。

 隊長は片手で部下に合図をしたら、一人の部下が若い男から身分証の冒険者カードと手紙を受け取り、そのまま隊長へ渡したのだった。


 隊長は初め、冒険者カードと若い男を見比べ警戒をしていたが、手紙を読むと隊長は片手を上げ、他の衛兵はすぐに警戒を解いた。


「サラレイン領主さまとレオンさまとのお知り合いのシンさまで間違いございませんね。」


 隊長がシンに冒険者カードと手紙を返しながら、確認をした。

 シンは「あぁ。」と答え、小さく頷いた。


「荷車の中身を確認させて頂いてもよろしいですか?」


 隊長にそう尋ねられ、シンは無言のまま頷くと周りにいた衛兵たちが荷車の中を確認した。

 荷車の中は五人の男が入っており、リーダーらしき男以外の四人は気絶し、そのうち一名は失禁した後があった。

 リーダーらしき男はガタガタ震えており、衛兵を見ると近付いた。自らの悪事を吐きつつ泣きつく。


「早朝に荷馬車を襲っていたら白い狼を連れた少女に腕を折られ、夜には仲間と酒を飲みながら…グスングスン…。

 森から音がしたと思ったら、仲間が一人ずつ倒れていくし、気付いたら荷車に乗せられてて……、マジで怖かった……。

 もう悪事なんかしない。罪も認める。

 ……だから、早くあの男から離してくれ…。」


 そう盗賊のリーダーが話すと、衛兵たちは何か何だかわからないが盗賊たちを一人ずつ叩き起こし、門の下にある牢屋に連れて行った。


「シンさま、まだ町の住民たちは寝ておりますし、事後確認もする必要があります。

 盗賊たちも反省しており、確認作業は本人たちの証言だけで済むはずです。

 ひとまず、門の中にある仮眠室で一休みして下さい。」


「あぁ。ありがとう。あと、私は敬語を使わなくて構わない。」


 シンは仮眠室に入ると、備え付けの簡易ベッドに横になり目を閉じた。



 衛兵たちは盗賊たちから話を聞き、報告書を記入しつつ、『ブロンドの盾』から聞いた報告書とのすり合わせなどをし、確認が取れた頃には町の住人たちが起き出す時間になっていた。

 一人の衛兵がルイスを呼びに行き、盗賊たちと顔を合わせ、本人たちか確認をさせた。


「あぁ、こいつらで間違いない。

 ところで、こいつらを連れてきたのは誰だ?」


「今、仮眠室で寝ている。

 シンとか言う少年で、領主さまとレオンさまの紹介状を持っていた。」


「ほう。そうか。」



 隊長がルイスに確認を取ると、隊長はルイスと執務室に居ると衛兵の一人に連れてこられたシンが入って来た。


「初めまして。シンくんだったか?

 オレはこの町周辺の護衛をやってる『ブロンドの盾』リーダー・ルイスだ。

 よろしくな。」


 ルイスはシンに片手を差し出すと、シンは片手を出し二人は握手をした。

 シンはボソッと自分の名前だけ短く言った。


「で、シンくん。

 報奨金やこの町に来た理由を聞きたいだが……。」




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