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不注意で、生まれ変わりました。  作者: 水無月ツクナ
第二章 選択した先に?
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2-17 レオンと会話。



 『ディア草』は他の薬草とは違い、骨折や大きな傷が治ったり、魔力を回復させる薬の材料にもなる為、冒険者や国家騎士たちまで重宝しているが、生育に難しいためゼノン国では栽培が出来ていないらしい。

 国が管理している薬草園でも年に数回は枯らしては新しい株を手に入れるようだ。


 ユーリはダンテから国が管理している薬草園について詳しく聞いたのだ。

 ダンテの話では大きな温室で他の植物と一緒に植えられて管理をしているそうだ。


「ダンテさん。薬草園が温室って事なの?」


「あぁ。そうだよ。

 いつも色んな花が咲いて綺麗だったよ。」


 ユーリは王宮に行った時、二階から温室があったのを思い出した。


「・・・温室だったから育たなかったのか・・・?」


「「???」」


 ユーリがそっと呟いたのを聞こえたサムとダンテはユーリの前に体を伸ばしたのだ。


「ユーリちゃん。どう言う事?」

「温室では駄目とは?」


 ユーリは二人の勢いに驚き、ソファから落ちそうになったのをレオンが咄嗟に手を伸ばし、助けてくれたのだ。


「おい。サムとダンテの旦那。

 ユーリ嬢ちゃんを怯えさせんなよ・・・。

 ほら。ちゃんと座りなおせよ。」


 レオンは二人をジロッと睨み、ユーリを再びソファに座らせたのだ。


「「すいません。レオンさま。ユーリちゃん(さん)も。」」


「大丈夫だよ。サムさん。ダンテさん。

 助けてくれてありがとう。レオンさん。


 あ・・・。

 これはただの想像なんですけど・・・。

 もしかしたら、『ディア草』って高温多湿向きじゃないのかもしれないと思ったんです。」


「「「「高温多湿??」」」」


「はい。四季・・・。

 暖かい時期と寒い時期、一年間を通して気温の変化があった方が育ちやすい?って言うのかな?

 あまりムシムシした空気も苦手なんだと思います。


 あとは・・・、野生の『ディア草』が生えてた所ってあまり日光が当たらない場所だったと思う・・・。

 でも、全く日光が当たらない場所でもない。

 木の葉っぱで日光を遮って、あまり当たらない感じだったかな?

 風も良く通る場所で、良くシロバナと一緒に生えてたような・・・。」


「シロバナですか?」

「雑草ではないですか??」


 ユーリが地球の知識と『ディア草』を見つけた場所を思い出しながら話した。


「シロバナと『ディア草』の関係は良く分からないけど・・・」


「ほぉ・・・。

 という事は、わざわざ温室を作る必要はないという事じゃな?

 思ったより早く、儂の薬草園が出来そうじゃな・・・。

 大きな木のそばかぁ・・・。あの辺が良いじゃろ。」


 ユーリの隣でユーリとサム、ダンテが話しているのを聞いていたディオンが嬉しそうに顎を撫でながら言ったのだ。



 その後、話はまとまっていったのだ。

 ダンテは今日中にギルドに退職届けを出し、明日の昼までに荷物をまとめると言って屋敷を後にしたのだ。


 翌日の昼からユーリとレオン、シン。

それとダンテを含めた四人で屋敷から近い森に野生の『ディア草』が生えている場所を見に行く手筈になったのだ。

 サムはディオンと共に屋敷に残り、ダンテの荷物の手配やユーリから聞いた薬草園の候補地を決めるそうだ。


 ダンテは忙しいが楽しそうにウキウキして準備から森へと向かったのだ。

 フィリウスとセシルも近くの森までなら魔獣が出る心配はないので、渋々ユーリを森へ行くことを送り出してくれたのだ。



「ダンテさん、レオンさん。森に着いたよ~。」


 ユーリは今までの馬車ではなく、初めての荷馬車の移動で嬉しくシンが馬を操る隣に座って、森が見えてきたので中にいる二人に声を掛けたのだった。


 荷馬車は少し森の中を入り、小さな小屋の前に止まったのだ。

 以前、クロードとライと一緒に森へ遊びに来た時に泊まった小屋である。

 今日はもう夜も近付いて来ているので、シンは馬の世話、レオンは薪などの準備をし、ユーリとダンテは夕食の準備をして、それぞれの仕事が終わるとみんなで食事をした。

 夕食の片付けをダンテがするのでユーリも手伝うつもりだった。


「おい。シン。

 ダンテの旦那を手伝ってやれ。

 ユーリ嬢ちゃん。久しぶりに俺と外でお茶でも飲むか。」


 レオンは暖かいお茶を二つ入れて、ユーリを外へ連れ出す。


 ユーリたちは小屋の近くで丸太の上に腰掛け、レオンはユーリに飲み物を手渡す。


「ユーリ嬢ちゃんとあの森で出会ってから、もう結構時間が経ってたな・・・。」


 レオンは前置きもなく空を見上げながらそう呟く。

 それを聞いたユーリはレオンの顔を見るが、表情が分からないのでそのままレオンと同じように夜空を見上げた。


「そっか・・・。

 もうそんなに時が経っていたとはな・・・。

 色んな事があり過ぎて、そんなに時間が経った事なんか気付かなかったよ。」


「そうだな。俺も気付かなかったよ。」


 レオンは二人きりになってから初めてユーリの顔を見た。

 ユーリはレオンの顔を見た瞬間、息を飲んだ。

 いつも優しく穏やかな顔でユーリを見守ってくれていたレオンが、少し張り詰めた空気を纏い、真剣な目をしている。


「ディオンさまから昨日ユーリ嬢ちゃんに言うように頼まれたんだ・・・。

 ここには、フィルもセシルさま、サムも居ない。

 ユーリ嬢ちゃんが旅立つには良い機会じゃねぇか?」


「え・・・。」


「初めて会って、森を出た時から森に戻りたそうにしていたじゃねぇか。

 最近じゃ、そんな素振りを見せなかったが、準備はしたじゃねぇか。


 誰もユーリ嬢ちゃんを追い出そうとは思ってねぇよ。

 むしろ、ずっとこのままあの屋敷に暮らしてほしい。

 俺だって、出来るならずっと一緒に居て欲しいし、離れたくない。


 俺たちの我が儘でユーリ嬢ちゃんを縛り付けたくはない。

 育ててくれたじいさんに会った後、世界を見て回って満足したらまたこの地に戻ってきて欲しい。

 出来れば、たまに手紙や連絡を寄越してくれないか。

 近くまで来たら、屋敷に顔を出してくれたらいつでも歓迎する。とディオンさまも言ってたぞ。」


「レオンさん・・・。」


「何、今から出発しろとは言ってないぞ。

 ダンテの旦那に『ディア草』が群生してる場所まで案内するんだろ?

 あのおっさん、森での移動がまるでなってねぇし、体力もあんまりなさそうだぞ?

 時間がかかりそうじゃないのか?」


 レオンが小屋の方を指差してニヤッとした。

 そして、二人は顔を見合わせ、プッと吹き出し笑いあった。


 小屋に戻る前にユーリが「薬草園について気掛かりだ。」と言うと、レオンは「なぁ~に。そんなのはディオンさまやダンテの旦那。大人たちに任せておけ。」と言ってくれた。


 実際、畑仕事の経験もないし知識があったとしても皆の前で話した事以上の事は分からない。

 一年育てた実績があるダンテもいるし、サムとヘレナの方が薬草について詳しい。

 ユーリが出来る事と言えば、素人だからこそ生まれる柔軟な発想ぐらいだ。


 レオンは持っていた飲み物を飲み干すと、「小屋に戻るか。」と言って二人は一緒に小屋に戻ったのだ。




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